Nスペ「大ピラミッド 永遠の謎に挑む」 さらっと流されるピラミッドの現状

尚この番組はタイトルに「プロローグ」とついているので分かるとおり ほぼ内容なし である。
NHKさんも金出してるし、とりあえず今の段階で分かってること出してモト取らないといけないから作ったんだろうな大変やな、って感じ。

NHKスペシャル シリーズ古代遺跡透視 「プロローグ 大ピラミッド 永遠の謎に挑む」
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2016068400SC000/


ミューオンを使った透視技術(ミューオグラフィ)にいては過去に記事を作ってるのでそっちをドウゾ


ピラミッドの内部構造を透視する? ミューオグラフィーの可能性
https://55096962.seesaa.net/article/201511article_1.html

ミュオン(ミューオン)を利用したピラミッド透過プロジェクトの近辺
https://55096962.seesaa.net/article/201601article_29.html


ぶっちゃけ、これ以上に大した情報は出てませんでした…。
ただ一点だけ。これサラっと流されてるけどヤバイよね、と思った画像があった。これ。

画像


何かというと、ピラミッド内部のスキマに噴出している塩の結晶
ミューオンを受信するためのパネル設置のために内部に入った際に撮影されたものだ。

この塩は、ピラミッドの立つ地盤およびピラミッドを構成する石材自体から染み出している。石材に水がしみこむ→気化する→気化する際に塩分が内側から噴出してくる→石材が劣化する→これを繰り返して石材内部のひび割れが大きくなっていき、いずれ石材は崩壊する。

ギザのスネフェル王のピラミッド前にいる大スフィンクスも、同じように塩分で崩壊していっている。現在スフィンクスがぼろぼろの状態で、何度も修復されまくっているのは単に風化したからではない。ピラミッド内部に大量の塩の結晶があるということは、スフィンクスと同じように、ピラミッドも塩分による崩壊が内部でじわじわ進行していっている証拠なのだ。地盤から上がってくる水分を止めることはできない。百年後か、千年後か、それとも一万年後かは分からないが、ピラミッドはいつかは必ず崩壊する。(形あるものはいずれ…という話でもあるが) だから、このスキャン・プロジェクトは、何かセンセーショナルな発見をすることよりも

 いま在る姿を出来るだけ正確に記録して残す

ということが最も重要な課題だと思っている。



*****

さて、ここから蛇足となるが、この「ピラミッド・スキャン・プロジェクト」、過剰な期待はしてはいけないと思っている。おそらくセンセーショナルな発見は出てこない。

ミューオグラフィはそれほど精度は高くない。と言ってしまうと語弊があるが、要するに、ピラミッドの石を1コ1コ判別できるほど細かく分析できるかというと、そうじゃないということだ。メディアでは「透視」などと言われているが、ほんとうに内部を透視できるわけではない。魔法とか超能力じゃないんだから…。

何か発見があるとしても、完了してから数年以上経って、データが詳細に分析されたあとだろう。自分の乏しい知識からしても、ミューオグラフィーのデータが見てすぐ結果がすべて分かるようなものとは思えない。


ピラミッドの中に未知の「部屋」があるか。
おそらく可能性は低い。

なぜなら、部屋を作る必要がないからである。どのピラミッドも、最も重要な玄室は完成している。途中で何度も設計図を変更したせいだろう、複数の玄室があるクフ王のピラミッドでさえ、最後に作られた玄室は完成されている。それ以上ものを作る必要はないし、また、作るスペースがない。

ピラミッドはただの石組みなのだ。一定以上の空間を作れば、その上部の石積みが軟弱になり崩れやすくなる。内部の空間は出来るだけ少ないほうがいい。だから、必要以上に部屋を作ることが出来ない。


では未知の「空間」はあるか。
それはあるだろう、しかも大量に。

ピラミッドは、建てられた当時のままの姿ではない。おそらく内部では崩壊が進み、石材が欠けているようなところもあると思う。エジプトには地震も起きる。かつてアレキサンドリアに在ったファロスの灯台が消失したのも、度重なる大地震によるものと考えられている。地震で石がゆるんでスキマが空いてしまっている箇所も当然あるだろう。

また、ただ石を積み上げただけでは重量が過多になってしまい下のほうの石がつぶれるので、上部にはおそらく石の間に一定量のスキマが空けられている。(そして砂かガレキか何かが詰めこまれていると思う)

それを部屋と誤認してまたぞろ大騒ぎになるかもしれないが、ツタンカーメンの惨状を思い出して、茶でもすすりながら座って見ててほしい(笑) どうせ、データの解析には年単位でかかる。慌てて出された不正確な結論に飛びつかないように。五千年の歴史からすれば五年十年なんて短いもんよ。まったり、まったりな。

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