ヴァイキングシップでグリーンランド北部を目指せ! チャレンジ航海、間もなくゴール
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こないだ、日本の学者たちがやった「三万年前の航海を再現する!」とかいうプロジェクトをボロクソに言ったので、「まともな航海実験というのはこーいうのを言うんです、これなら認められるでしょ?」っていうのを紹介したい。どこが違うのか見てください。
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レプリカのヴァイキング船でグリーンランドを北上する6週間のプロジェクトがいよいよ大詰め。
記事はこれ
Replica Viking ship will recreate Norse voyages in Greenland
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.jp/2016/05/replica-viking-ship-will-recreate-norse.html#0HpUx6bLLCy7kFEB.97
プロジェクトの進行状況はこちら(首都にあたる都市Nuukがゴール)
http://www.vikingeskibsmuseet.dk/en/professions/the-ships-voyages/skjoldungen-in-southwest-greenland-2016/
※当初予定では8/13到着予定。記事を書いてる時点ではまだゴールしてないけど、進行が順調なので公開時にはもしかしたらもう着いてるかも
このプロジェクトは、およそ1000年前のヴァイキングたちの航路を再現しようというもので、グリーンランドの南西の港を出発して沿岸沿いにグリーンランド最大都市ヌークを目指している。元になっている船はデンマークのRoskildeというフィヨルドで1962年に見つかったヴァイキング船。(1030年頃にノルウェーで作られたものだと見られている。)
再現しようとしている航海が行われたであろう時代/民族の船をきちんと再現しています。
船のメイキング画像もプロジェクトのページにあるので、船大工好きな人はワクテカしながら見ましょう(笑)
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★ワンポイント★
ここでおさらい。グリーンランドに移住したヴァイキングは、いつどうやってやってきたのか。その地図とかは以下。
https://55096962.seesaa.net/article/201106article_2.html
グリーンランドは、ノルウェーのヴァイキングたちがアイスランドに向う途中で航路を外れて偶然発見したという言い伝え(サガ)が残ってます。
985年に移民船団が送り込まれた記録があり、移住先は、今回の船が出発したあたりの南西部の港です。そこから、ヴァイキングたちの大規模な集落が作られる西部までの道のりを、同時代のノルウェーの船で再現しようというのがこのプロジェクト。
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この船は、もちろん、小さすぎて外洋を渡ることはとても出来ない。
けれどグリーンランドに移住した人々もおそらく同じような船を使っただろうという仮定での再現ですね。グリーンランドへのヴァイキングの移住は結局失敗し、短期間で全滅してしまうので、移住者たちがどんな暮らしをしてたのか実はよく分からないのです…。
移住地が複数に分かれていたことは遺跡から分かっているので、それらの間を海路で行き来してたはずだけど、どんな感じで沿岸を航海してたのか分からないから、やってみよう! ただし完全な再現にはならないよ。というプロジェクトですね。「夜は上陸して寝るつもりだけど、適当なところが見つからなかったら舟の中で寝るよ。」なんて言ってて、かなり本格的。もちろん、イザというときのための携帯電話なども持って出発したみたいだけど。
重要なのは、「1000年を経た後に、一体どのような情報が手に入るのか。」と検討されていること。そう、たった1000年であっても、海の状況も陸の景観も大きく変化する。たとえ同時代の船を再現して同じ航路を辿ったところで、何の意味もないかもしれない。
それは当然考慮されるべき前提です。
しかし、1000年前にグリーンランドで使われた可能性の高い船を再現し、ヴァイキングたちが航海しただろう同じ夏の季節に、同じくらいの人数で海を渡ることは、無意味ではないだろうなと私も思う。それは、彼らが再現しようとしているものとその手法に確かな関連があり、検証手順に妥当性があると思えるから。
まず、「この小さな船では外洋は越えられないから」と沿岸部を六週間かけて北上しようとしている現実的な部分だけでも、牽引船にほとんど引っ張ってもらって遠足しただけの惨めな航海とは別次元。
航海日誌の魚釣ってる写真や、船の上で朝を迎えたらめっちゃ霜が降りるとかの体験談でも、意味あることやってんですよ。厭味になっちゃいますけど。
というわけで、
まともな実験考古学もあります!
ちゃんとした航海実験も世の中にはあります!!
テレビショー向けのしょっぱい実験の中にロマンはない。まともな実験のほうを見てください。何よりヴァイキングシップってめっちゃワクワクするじゃん? いこうぜ…教会を襲撃しに…! (`・ω・´)
http://www.vikingeskibsmuseet.dk/index.php?id=4923&tx_ttboats%5Bswords%5D=skjoldungen&tx_ttboats%5Btt_boats%5D=114&tx_ttboats%5BbackPid%5D=4924&cHash=086a85f6834057b6fcd9ceea711896f5
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おまけ
海を渡る人類、史上最初に南アメリカに到達した人々の話をしたい
https://55096962.seesaa.net/article/201607article_13.html
あの三万年前のなんちゃらがどれだけおかしいことをしてたのか、こっちの方向からも説明してます。
あれはまともな実験考古学ではないし、そこにロマンなんてないから。
こないだ、日本の学者たちがやった「三万年前の航海を再現する!」とかいうプロジェクトをボロクソに言ったので、「まともな航海実験というのはこーいうのを言うんです、これなら認められるでしょ?」っていうのを紹介したい。どこが違うのか見てください。
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レプリカのヴァイキング船でグリーンランドを北上する6週間のプロジェクトがいよいよ大詰め。
記事はこれ
Replica Viking ship will recreate Norse voyages in Greenland
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.jp/2016/05/replica-viking-ship-will-recreate-norse.html#0HpUx6bLLCy7kFEB.97
プロジェクトの進行状況はこちら(首都にあたる都市Nuukがゴール)
http://www.vikingeskibsmuseet.dk/en/professions/the-ships-voyages/skjoldungen-in-southwest-greenland-2016/
※当初予定では8/13到着予定。記事を書いてる時点ではまだゴールしてないけど、進行が順調なので公開時にはもしかしたらもう着いてるかも
このプロジェクトは、およそ1000年前のヴァイキングたちの航路を再現しようというもので、グリーンランドの南西の港を出発して沿岸沿いにグリーンランド最大都市ヌークを目指している。元になっている船はデンマークのRoskildeというフィヨルドで1962年に見つかったヴァイキング船。(1030年頃にノルウェーで作られたものだと見られている。)
再現しようとしている航海が行われたであろう時代/民族の船をきちんと再現しています。
船のメイキング画像もプロジェクトのページにあるので、船大工好きな人はワクテカしながら見ましょう(笑)
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★ワンポイント★
ここでおさらい。グリーンランドに移住したヴァイキングは、いつどうやってやってきたのか。その地図とかは以下。
https://55096962.seesaa.net/article/201106article_2.html
グリーンランドは、ノルウェーのヴァイキングたちがアイスランドに向う途中で航路を外れて偶然発見したという言い伝え(サガ)が残ってます。
985年に移民船団が送り込まれた記録があり、移住先は、今回の船が出発したあたりの南西部の港です。そこから、ヴァイキングたちの大規模な集落が作られる西部までの道のりを、同時代のノルウェーの船で再現しようというのがこのプロジェクト。
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この船は、もちろん、小さすぎて外洋を渡ることはとても出来ない。
けれどグリーンランドに移住した人々もおそらく同じような船を使っただろうという仮定での再現ですね。グリーンランドへのヴァイキングの移住は結局失敗し、短期間で全滅してしまうので、移住者たちがどんな暮らしをしてたのか実はよく分からないのです…。
移住地が複数に分かれていたことは遺跡から分かっているので、それらの間を海路で行き来してたはずだけど、どんな感じで沿岸を航海してたのか分からないから、やってみよう! ただし完全な再現にはならないよ。というプロジェクトですね。「夜は上陸して寝るつもりだけど、適当なところが見つからなかったら舟の中で寝るよ。」なんて言ってて、かなり本格的。もちろん、イザというときのための携帯電話なども持って出発したみたいだけど。
重要なのは、「1000年を経た後に、一体どのような情報が手に入るのか。」と検討されていること。そう、たった1000年であっても、海の状況も陸の景観も大きく変化する。たとえ同時代の船を再現して同じ航路を辿ったところで、何の意味もないかもしれない。
それは当然考慮されるべき前提です。
しかし、1000年前にグリーンランドで使われた可能性の高い船を再現し、ヴァイキングたちが航海しただろう同じ夏の季節に、同じくらいの人数で海を渡ることは、無意味ではないだろうなと私も思う。それは、彼らが再現しようとしているものとその手法に確かな関連があり、検証手順に妥当性があると思えるから。
まず、「この小さな船では外洋は越えられないから」と沿岸部を六週間かけて北上しようとしている現実的な部分だけでも、牽引船にほとんど引っ張ってもらって遠足しただけの惨めな航海とは別次元。
航海日誌の魚釣ってる写真や、船の上で朝を迎えたらめっちゃ霜が降りるとかの体験談でも、意味あることやってんですよ。厭味になっちゃいますけど。
というわけで、
まともな実験考古学もあります!
ちゃんとした航海実験も世の中にはあります!!
テレビショー向けのしょっぱい実験の中にロマンはない。まともな実験のほうを見てください。何よりヴァイキングシップってめっちゃワクワクするじゃん? いこうぜ…教会を襲撃しに…! (`・ω・´)
http://www.vikingeskibsmuseet.dk/index.php?id=4923&tx_ttboats%5Bswords%5D=skjoldungen&tx_ttboats%5Btt_boats%5D=114&tx_ttboats%5BbackPid%5D=4924&cHash=086a85f6834057b6fcd9ceea711896f5
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おまけ
海を渡る人類、史上最初に南アメリカに到達した人々の話をしたい
https://55096962.seesaa.net/article/201607article_13.html
あの三万年前のなんちゃらがどれだけおかしいことをしてたのか、こっちの方向からも説明してます。
あれはまともな実験考古学ではないし、そこにロマンなんてないから。