エジプト周辺のエジプト的美術 キプロス島のエジプシャンは面白いぞ!

メシがマズいと言われるイギリスですが、デリで巻き寿司が手に入り、中国人移民の経営する屋台でヤキソバが食える今となっては超イージーモードです。むしろマクドすらマズいアメリカのほうが死ねます。

という余談は置いといて、大英博物館所蔵のエジプトコレクションの中にある「キプロス島」コーナーお勧めですよって話。

キプロス島というのはココね

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エジプトじゃないじゃん! なんでエジプトのものが出るの?

…いやいや。プトレマイオス朝時代はエジプト領土の一部だったこともあるんだよココ。クレオパトラ7世の時代もエジプトだった。
ちなみに、それより前の新王国時代の末期以降から、エジプト人もそれなりに移住してた模様。
地中海航路の要所がこの島にあったので、物流網を通じてエジプト以外にもギリシャやシリア、トルコなどからヒトとモノが流れ込んでいて、色々な文化がまじった状態になってるんですよ。

混じり具合によって面白いモノが出てます。
たとえばこれ、ハトホル様の顔つき壷なんだけどビミョーにギリシャ風になってる。

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髪型はハトホルの髪型と言われる外向きにクルっとカールしたやつで、髪型自体はエジプト風。でも顔つきやデザインの仕方はギリシャ風。

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完全にギリシャになっちゃって「誰だよ」なのがこちら、ベス神はまぁ判る。わかるけど、その隣にいるのがプタハ神だって言われても 全くわかりません(笑) 誰。イメチェンしすぎ。っていうか髪の毛フッサになりすぎ

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僕らの知ってるプタハ様は… こう… ですね…。

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神様だけじゃなくて人間、ファラオ像も、キプロス産のやつはなんか色々まじってます。
このブロンズのファラオ像(黒いやつ二体)なんかは、片足を出すスタイルこそエジプト風だけど、頭身や顔のディティールは別モノ。

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多分これは、海を渡ったすぐ向かい側のウガリットの主神、バアルの像あたりの影響を受けてるのかなぁと思ったり。

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エジプトから直輸入された本物はもちろん完全にエジプトなんだけど、現地で作られた「コピー品」は、だいたいこんな感じで近辺の文化様式が入り混じってて、元ネタを探すと面白いです。文化圏と文化圏の境目ならではの品。エジプトのやつより見た目チャチいじゃーんとか思ってしまうのは勿体ないのだ。



ただ、
文化の入り混じるにも良い方向と悪い方向がありまして…

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このトゥエリス像だけは解せぬ


だめだろこれ。誰なのこれに検収印押したの。リテイクでしょどう考えても。こんなの納品させちゃ駄目。
カバじゃなくてタヌキじゃねーかよっていうね。

面白いけどやり直しでお願いします!

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