【聖地巡礼】トリノ・エジプト博物館に行って来た
イタリアはトリノにあるエジプト博物館(Museo Egizio、略称はME)
本国エジプトのカイロにあるカイロ博物館に次ぐ、世界第二位のコレクションを誇るというエジプトマニアの聖地の一つ。
http://www.museoegizio.it/
現在、エジプト本国の治安はかなり悪く、日本のニュースにあんま流されてないだけで連日のように町中で爆発やら警官殺害やら発生していて、とてもプラっと行ける状況ではないので、代わりにトリノでエジプト成分を補給してきたったわ!!
えー、
エジプトマニアの皆に、とても大切なことを伝えようと思います…
入館から脱出まで、余裕で4-5時間かかります
見ても見ても終わらねえ、流石は世界第二位と言われるだけはある…ッ。
まず入り口の死者の書で「アアア゛アア! 完品だアア!」ってなって、トリノ王名表で「アアア゛! ほ、本物だァァ!」ってなって、トリノ・エロティック・パピルスの前で「フヒッ」てなりながら舐めるように眺めてしまい、うんあれだ、不審人物だねこの人。エジプト本とか図録とかでお馴染みの品が生で見れるんですよ。ぜったい皆知ってるっていうやつ。
オーディオガイドはデフォルトでオプションについてくる(英語・イタリア語・フランス語、アラビア語、だったと思う)ので、ガイド聞きながら見る人だとさらに時間がかかるかもしれない。
なので、ここに行く時は半日潰す気持ちでほかの観光予定を入れないのをオススメする。
そしてもうひとつ。
朝イチからめちゃくちゃ混雑してます
開館前の行列で写真の通りでございます。チケ買うのにぐるーっと並びましたね…エエ…。
昔はもっと空いてたらしいんだけど今はこのザマ、午後になると入場規制まで。
たぶんなんだけど、エジプトの治安がアレでエジプトに行けないエジプトファンがここに流れているような気がする。(ちなみにイタリアからエジプトまでってほんの数時間のフライトなんで、地理的にめっちゃ近いです。ヨーロッパ在住人的に、エジプト行くのとトリノ行くのは大して時間違わないっていう感覚)
後ろから次から次へと団体客が押し寄せてきて、午後遅い時間になると外に出るしかなくなった(´・ω・`)
二日とっておけば良かったなあ。
トリノ博物館は、展示の仕方がすごく巧い。
ひとつは説明文の付け方である。
入り口入ってすぐのあたりに博物館のコレクションを作った過去の人々のコーナーがあるのだが、ドロヴェッティやスキアペリーニなんかの業績をうまいこと表現してたと思う。当時の発掘なんて宝探しと変わらないし、ほとんど略奪に近い状態でエジプトから持って来られてる品が多いんだけど、それをヘタに隠してすまし顔するのではなく、「彼らのお陰で学問の扉が開かれ、エジプト学の曙が始まった」という方向に向けていた。
またオーディオガイドや館内の説明文にアラビア語が入っていたのには舌を巻いた。アラビア語にも色々方言があるから、エジプト人がやってきて完璧に分かるかどうかは定かではないが、「エジプトから持ち出したもので勉強させてもらってます、代わりに保管してるだけですよ。本国の人たちは安心して見ていってね」というタテマエをしっかりアピールできるつくりなのだ。大英博物館は確か母国語表記はなかったと思う。代わりに入館料が無料(喜捨制)になっていて、誰でも自由に見られるようにしてますよーという方法でタテマエを見せているのだが。
そして展示のほうだが、何より光の当て方がよく考えられている。
遠くのほうから全体を照らすようにあててるのだが、モノの材質が感じられる光なんである。そして場所によっては、そのモノが実際に使われる場面(=自然光の中)ではどう見えるか、が考慮された証明になっていた。
だから、石はどんな材質の石か手触りが想像できるし、表面がきれいに磨かれているのか、ノミの跡が乱暴に残っているのか、固い石なのか、柔らかいのかも感じられる。ツボなんかだと、ろくろ製なのか、手づくねなのかまではっきりわかる。
これだ、この展示方法が見たかったんだよ…と内心思いましたね。日本の博物館は、概して光の当て方があんまり巧くない。ばーっと明るく照らすか保存のために暗くすることしか考えなくて、そのモノがいかにそのモノらしく見えるかとか考えてないと思うんだ。ぜひトリノ博物館に行ってモノの見せ方を勉強してほしい。生活用品には太陽の光。墓の内部は薄暗く。神殿の奥深くに飾られる神像は黒背景の神秘的な部屋で神殿の窓から差し込むような高い光にぼんやり浮かび上がる。部屋ごとに雰囲気変えてあったのもよく考えられていたと思う。
写真撮影もフラッシュ焚かなければOKになってて、皆けっこうスマホでぱちぱち撮りまくってたし、気合の入ったひとは一眼レフ首から提げて頑張ってた。そのせいもあって渋滞してたんだけど…
セクメト様のサイドのカルトゥーシュの上に自分の名前書いてるよドロヴェッティー!!
貴様ラメセス2世にでもなったつもりか。そんなことをしてもセクメト様は召還できないから、あの世で覚悟するんだな!
こういう、収蔵品の来歴をそれとなく示すような痕跡なんかは図録には載ってこないんで、現地にいかないと見られないよ! デカさとか重量感も目の前にいかないと分からない。写真OKになったことで、アクセス性と環境に加えてコスパでもエジプトを越えた感がある。果たして、日本の援助で作ってる新しい大エジプト博物館は、トリノ・エジプト博物館を越えられるのか。
これだけのために遥々日本から行った甲斐は十分にあった…。
格安航空券ポチれば、宿代入れて10万以下でいけるから、エジプトに行けないエジプトマニアは、ここに行けばいいと思うよ!
なお、中の人、エジプト博物館でガッツリ観光して、さらに大通りでやってたブックバーゲンに掴まってうっかり本屋巡りしてしまったせいで、マジで他は展望台に上ったくらいしか観光してないっす。だってウンベルト・エーコだよ、薔薇の名前だよ? この看板は卑怯だって…。絶対アーケードに入っちゃうやつやん…。
キリスト教の聖人本がずらーっと並んでる一角に何故かガンジーのコーナーがあったのは謎。あと日本でやってた春画展のカタログが何故か古本コーナーに出品されてたのも謎。エジプト本もあったし、来年のカレンダーもあったし、楽しかったのでよろしかろう。
さて、次は…どこの国のエジプト博物館に… いきますかねえ…。
本国エジプトのカイロにあるカイロ博物館に次ぐ、世界第二位のコレクションを誇るというエジプトマニアの聖地の一つ。
http://www.museoegizio.it/
現在、エジプト本国の治安はかなり悪く、日本のニュースにあんま流されてないだけで連日のように町中で爆発やら警官殺害やら発生していて、とてもプラっと行ける状況ではないので、代わりにトリノでエジプト成分を補給してきたったわ!!
えー、
エジプトマニアの皆に、とても大切なことを伝えようと思います…
入館から脱出まで、余裕で4-5時間かかります
見ても見ても終わらねえ、流石は世界第二位と言われるだけはある…ッ。
まず入り口の死者の書で「アアア゛アア! 完品だアア!」ってなって、トリノ王名表で「アアア゛! ほ、本物だァァ!」ってなって、トリノ・エロティック・パピルスの前で「フヒッ」てなりながら舐めるように眺めてしまい、うんあれだ、不審人物だねこの人。エジプト本とか図録とかでお馴染みの品が生で見れるんですよ。ぜったい皆知ってるっていうやつ。
オーディオガイドはデフォルトでオプションについてくる(英語・イタリア語・フランス語、アラビア語、だったと思う)ので、ガイド聞きながら見る人だとさらに時間がかかるかもしれない。
なので、ここに行く時は半日潰す気持ちでほかの観光予定を入れないのをオススメする。
そしてもうひとつ。
朝イチからめちゃくちゃ混雑してます
開館前の行列で写真の通りでございます。チケ買うのにぐるーっと並びましたね…エエ…。
昔はもっと空いてたらしいんだけど今はこのザマ、午後になると入場規制まで。
たぶんなんだけど、エジプトの治安がアレでエジプトに行けないエジプトファンがここに流れているような気がする。(ちなみにイタリアからエジプトまでってほんの数時間のフライトなんで、地理的にめっちゃ近いです。ヨーロッパ在住人的に、エジプト行くのとトリノ行くのは大して時間違わないっていう感覚)
後ろから次から次へと団体客が押し寄せてきて、午後遅い時間になると外に出るしかなくなった(´・ω・`)
二日とっておけば良かったなあ。
トリノ博物館は、展示の仕方がすごく巧い。
ひとつは説明文の付け方である。
入り口入ってすぐのあたりに博物館のコレクションを作った過去の人々のコーナーがあるのだが、ドロヴェッティやスキアペリーニなんかの業績をうまいこと表現してたと思う。当時の発掘なんて宝探しと変わらないし、ほとんど略奪に近い状態でエジプトから持って来られてる品が多いんだけど、それをヘタに隠してすまし顔するのではなく、「彼らのお陰で学問の扉が開かれ、エジプト学の曙が始まった」という方向に向けていた。
またオーディオガイドや館内の説明文にアラビア語が入っていたのには舌を巻いた。アラビア語にも色々方言があるから、エジプト人がやってきて完璧に分かるかどうかは定かではないが、「エジプトから持ち出したもので勉強させてもらってます、代わりに保管してるだけですよ。本国の人たちは安心して見ていってね」というタテマエをしっかりアピールできるつくりなのだ。大英博物館は確か母国語表記はなかったと思う。代わりに入館料が無料(喜捨制)になっていて、誰でも自由に見られるようにしてますよーという方法でタテマエを見せているのだが。
そして展示のほうだが、何より光の当て方がよく考えられている。
遠くのほうから全体を照らすようにあててるのだが、モノの材質が感じられる光なんである。そして場所によっては、そのモノが実際に使われる場面(=自然光の中)ではどう見えるか、が考慮された証明になっていた。
だから、石はどんな材質の石か手触りが想像できるし、表面がきれいに磨かれているのか、ノミの跡が乱暴に残っているのか、固い石なのか、柔らかいのかも感じられる。ツボなんかだと、ろくろ製なのか、手づくねなのかまではっきりわかる。
これだ、この展示方法が見たかったんだよ…と内心思いましたね。日本の博物館は、概して光の当て方があんまり巧くない。ばーっと明るく照らすか保存のために暗くすることしか考えなくて、そのモノがいかにそのモノらしく見えるかとか考えてないと思うんだ。ぜひトリノ博物館に行ってモノの見せ方を勉強してほしい。生活用品には太陽の光。墓の内部は薄暗く。神殿の奥深くに飾られる神像は黒背景の神秘的な部屋で神殿の窓から差し込むような高い光にぼんやり浮かび上がる。部屋ごとに雰囲気変えてあったのもよく考えられていたと思う。
写真撮影もフラッシュ焚かなければOKになってて、皆けっこうスマホでぱちぱち撮りまくってたし、気合の入ったひとは一眼レフ首から提げて頑張ってた。そのせいもあって渋滞してたんだけど…
セクメト様のサイドのカルトゥーシュの上に自分の名前書いてるよドロヴェッティー!!
貴様ラメセス2世にでもなったつもりか。そんなことをしてもセクメト様は召還できないから、あの世で覚悟するんだな!
こういう、収蔵品の来歴をそれとなく示すような痕跡なんかは図録には載ってこないんで、現地にいかないと見られないよ! デカさとか重量感も目の前にいかないと分からない。写真OKになったことで、アクセス性と環境に加えてコスパでもエジプトを越えた感がある。果たして、日本の援助で作ってる新しい大エジプト博物館は、トリノ・エジプト博物館を越えられるのか。
これだけのために遥々日本から行った甲斐は十分にあった…。
格安航空券ポチれば、宿代入れて10万以下でいけるから、エジプトに行けないエジプトマニアは、ここに行けばいいと思うよ!
なお、中の人、エジプト博物館でガッツリ観光して、さらに大通りでやってたブックバーゲンに掴まってうっかり本屋巡りしてしまったせいで、マジで他は展望台に上ったくらいしか観光してないっす。だってウンベルト・エーコだよ、薔薇の名前だよ? この看板は卑怯だって…。絶対アーケードに入っちゃうやつやん…。
キリスト教の聖人本がずらーっと並んでる一角に何故かガンジーのコーナーがあったのは謎。あと日本でやってた春画展のカタログが何故か古本コーナーに出品されてたのも謎。エジプト本もあったし、来年のカレンダーもあったし、楽しかったのでよろしかろう。
さて、次は…どこの国のエジプト博物館に… いきますかねえ…。