ネトゲ運営における経営者の視点 月額課金MMOにアイテム課金を導入するメリットとは
以前やっていた大航海時代OnlineっていうMMO、長らく月額課金だったのがついにアイテム課金も上乗せするそうで、「ふーん経営厳しいんスねー」って感じで眺めているのだが、「アイテム課金するなら月額は廃止してくれよ」という意見を見かけたので、いやいやそれは違うよという話をしてみる。
アイテム課金を導入するのは、月額+アイテム課金でようやく利益が出る収益構造だからだと思われる。
そもそも大航海時代Onlineは、月額を支払ってるのにログインしていない というコスパのいい顧客が一定数いることによって、最低限のインフラ設備と手抜きのアップデートでサービス可能な状況を作り出しているMMOである。月額を廃止すると、そのコスパのいい顧客からの分捕りがなくなってしまう。
サービス開始から10年越えてる古参MMOなのでいまさら新規が入ってくることもなく、長年続けているユーザが主体だが、その人たちは今まで月額であることに特に不満も抱いていないか、不満はあっても許容している。従って、
・月額からアイテム課金に移行したところで新規ユーザは増えない。
・月額ユーザがとつぜんアイテム課金に大金をつぎ込んでくれる見込みは薄い。
月額を廃止することによるメリットとデメリットを考えると、断然後者が大きいのである。
「でもアイテム課金を導入したらイヤになって引退する人が出るでしょう」
…出るかもしれない。
しかし、たとえ引退者が出たとしても、その減った人数の月額分以上に、残ったユーザがアイテム課金してくれれば何の問題もない。
実際にシミュレーションしてみよう。
<仮定>
現在の課金ユーザ数: 2000人
現在の月額: 1,500円
*大航海時代Onlineは厳密には「オプション課金」というものがあるので、既に月額+オプション課金で1アカウント2,000円以上の単価がかかっているのだが、そのへんは複雑になるので今回はナシで計算する
<現在の月額のみの収益>
1,500円 × 2000人 = 3,000,000円
-------------------------------------------合計 3,000,000円/月
<月額+アイテム課金にした場合の変化>
A.現在のユーザのうち3%がイヤになって引退 【60人】
B.残りユーザの10%がアイテム課金に手を出す 1人あたり平均 500円UP 【175人】
C.残りユーザの1%が廃課金者となる 1人あたり平均 10,000円UP 【19人】
D.それ以外のユーザは月額課金のみを続ける 【1746人】
B.のユーザからの収入 2,000円×175人 = 350,000円
C.のユーザからの収入 11,500円×19人 = 218,500円
D.のユーザからの収入 1,500円×1746人 = 2,619,000円
-------------------------------------------合計 3,187,500円/月
…えー、…お分かりいただけただろうか。
3%の人間を引退させてでも、残留者の1%に廃課金(それでも一人1万円だが)させるほうが儲かるのである。世の中のアイテム課金がいかにボロい商売か判ると思う。
さらにここに、「現状のままサービスを続けると毎月1%ずつ課金停止(引退)者が出る」「収入が2,500,000を切るとサービス停止」という条件を加えてみることにする。
すると3ヶ月目には既に赤字に突入してしまうため実質サービス余命は2ヶ月。
これをアイテム課金ありのパターンで計算してみると、4ヶ月目まで赤字にならないのでサービス余命は3ヶ月。1ヶ月伸びたことになる。詳細は下の表の通りだ。
(今回は、アイテム課金導入の初月に3%が引退した上で、月額のみ+アイテム課金ありの総人数から一定数の引退者が毎月出る、と想定して計算している)
※見えてないけど裏で小数点が発生しているため、整数で計算するのと若干、総額がずれている。
つまり、月額課金のみで先細りに経営するよりも、ユーザの反発を買ってでもアイテム課金を導入するほうが延命できる、という結果になる。本当はここに、アイテム課金システムの開発費用や運営人件費の上昇も考慮する必要があるのだが、細かい話になるので今回はおいとくとする。
実際の収益モデルとか接続人数とかは分からないのだが、おそらくアイテム課金導入にあたっては、似たような収益予測が立てられて会議にかけられていると思う。そして「アイテム課金を導入したほうが儲かる、サービスを長く存続させられる」と判断されたから、運営方針の変更となったのだ。
これが、ネトゲ運営側の視点である。
重要なのは「いくら儲かるか」「いつまで儲け続けられるか」であり、そこにユーザの満足度という視点はない。ユーザの不満が問題視されるのは、それによって収益が減る場合のみである。運営が冷たいのではない。オンラインゲームを運営するとは、そういうことなのだ。
#良心的な運営は、死んだ運営だけだ
なお、「大航海時代にはなぜ1Dayチケットがないのか」といった意見もあるので、ついでに計算してみよう。
1Dayチケットを200円で販売するとしよう。
一番シンプルな仮定として
現在の課金ユーザ数: 2000人
現在の月額: 1,500円
ここに、
A.それによる復帰者が30人出たとする。
B.今まで月額でフル課金していたユーザのうち「イベントの時だけログイン出来ればいーや」と月額課金から1Dayに移行してしまうユーザが10人出るとする。
という式をいれてみる。すると、
A. 200円×30人 = 6,000円
B. 1,500円- 200円×10人 = 13,000円
A-B = -7,000円
1Dayチケットを導入すると収入が大幅に減ってしまうことになる。現状のユーザ推移からするにAはほとんど増えず、Bのほうが多くなりそうなので、このシステムはおそらく採用されないだろう。
「1日だけログインする場合も1,500円の月額をフル課金しろ」「課金できる奴だけログインしろ」という運営の意向も判ろうというものである…。
アイテム課金を導入するのは、月額+アイテム課金でようやく利益が出る収益構造だからだと思われる。
そもそも大航海時代Onlineは、月額を支払ってるのにログインしていない というコスパのいい顧客が一定数いることによって、最低限のインフラ設備と手抜きのアップデートでサービス可能な状況を作り出しているMMOである。月額を廃止すると、そのコスパのいい顧客からの分捕りがなくなってしまう。
サービス開始から10年越えてる古参MMOなのでいまさら新規が入ってくることもなく、長年続けているユーザが主体だが、その人たちは今まで月額であることに特に不満も抱いていないか、不満はあっても許容している。従って、
・月額からアイテム課金に移行したところで新規ユーザは増えない。
・月額ユーザがとつぜんアイテム課金に大金をつぎ込んでくれる見込みは薄い。
月額を廃止することによるメリットとデメリットを考えると、断然後者が大きいのである。
「でもアイテム課金を導入したらイヤになって引退する人が出るでしょう」
…出るかもしれない。
しかし、たとえ引退者が出たとしても、その減った人数の月額分以上に、残ったユーザがアイテム課金してくれれば何の問題もない。
実際にシミュレーションしてみよう。
<仮定>
現在の課金ユーザ数: 2000人
現在の月額: 1,500円
*大航海時代Onlineは厳密には「オプション課金」というものがあるので、既に月額+オプション課金で1アカウント2,000円以上の単価がかかっているのだが、そのへんは複雑になるので今回はナシで計算する
<現在の月額のみの収益>
1,500円 × 2000人 = 3,000,000円
-------------------------------------------合計 3,000,000円/月
<月額+アイテム課金にした場合の変化>
A.現在のユーザのうち3%がイヤになって引退 【60人】
B.残りユーザの10%がアイテム課金に手を出す 1人あたり平均 500円UP 【175人】
C.残りユーザの1%が廃課金者となる 1人あたり平均 10,000円UP 【19人】
D.それ以外のユーザは月額課金のみを続ける 【1746人】
B.のユーザからの収入 2,000円×175人 = 350,000円
C.のユーザからの収入 11,500円×19人 = 218,500円
D.のユーザからの収入 1,500円×1746人 = 2,619,000円
-------------------------------------------合計 3,187,500円/月
…えー、…お分かりいただけただろうか。
3%の人間を引退させてでも、残留者の1%に廃課金(それでも一人1万円だが)させるほうが儲かるのである。世の中のアイテム課金がいかにボロい商売か判ると思う。
さらにここに、「現状のままサービスを続けると毎月1%ずつ課金停止(引退)者が出る」「収入が2,500,000を切るとサービス停止」という条件を加えてみることにする。
すると3ヶ月目には既に赤字に突入してしまうため実質サービス余命は2ヶ月。
これをアイテム課金ありのパターンで計算してみると、4ヶ月目まで赤字にならないのでサービス余命は3ヶ月。1ヶ月伸びたことになる。詳細は下の表の通りだ。
(今回は、アイテム課金導入の初月に3%が引退した上で、月額のみ+アイテム課金ありの総人数から一定数の引退者が毎月出る、と想定して計算している)
※見えてないけど裏で小数点が発生しているため、整数で計算するのと若干、総額がずれている。
つまり、月額課金のみで先細りに経営するよりも、ユーザの反発を買ってでもアイテム課金を導入するほうが延命できる、という結果になる。本当はここに、アイテム課金システムの開発費用や運営人件費の上昇も考慮する必要があるのだが、細かい話になるので今回はおいとくとする。
実際の収益モデルとか接続人数とかは分からないのだが、おそらくアイテム課金導入にあたっては、似たような収益予測が立てられて会議にかけられていると思う。そして「アイテム課金を導入したほうが儲かる、サービスを長く存続させられる」と判断されたから、運営方針の変更となったのだ。
これが、ネトゲ運営側の視点である。
重要なのは「いくら儲かるか」「いつまで儲け続けられるか」であり、そこにユーザの満足度という視点はない。ユーザの不満が問題視されるのは、それによって収益が減る場合のみである。運営が冷たいのではない。オンラインゲームを運営するとは、そういうことなのだ。
#良心的な運営は、死んだ運営だけだ
なお、「大航海時代にはなぜ1Dayチケットがないのか」といった意見もあるので、ついでに計算してみよう。
1Dayチケットを200円で販売するとしよう。
一番シンプルな仮定として
現在の課金ユーザ数: 2000人
現在の月額: 1,500円
ここに、
A.それによる復帰者が30人出たとする。
B.今まで月額でフル課金していたユーザのうち「イベントの時だけログイン出来ればいーや」と月額課金から1Dayに移行してしまうユーザが10人出るとする。
という式をいれてみる。すると、
A. 200円×30人 = 6,000円
B. 1,500円- 200円×10人 = 13,000円
A-B = -7,000円
1Dayチケットを導入すると収入が大幅に減ってしまうことになる。現状のユーザ推移からするにAはほとんど増えず、Bのほうが多くなりそうなので、このシステムはおそらく採用されないだろう。
「1日だけログインする場合も1,500円の月額をフル課金しろ」「課金できる奴だけログインしろ」という運営の意向も判ろうというものである…。

