もはやどこからツッコんでいいのか分からない! 吉村作治のインタビュー記事の内容が凄まじい
サイバー大学で替え玉受験を許していたことや、発掘資金の詐欺事件などスキャンダルでにぎわせたあと一時期はなりを潜めていた吉村作治氏。最近またテレビに出てきては、「日本の祭りはエジプトが起源」という謎の自説を展開しているようです。
もちろん日本の祭りなんてエジプトと一切関係ないですし、神輿や狛犬がエジプトに繋がるわけがありません。端的に言えば「エジプトのピラミッドとメキシコのピラミッドは同じピラミッドだから起源が繋がっているはず」と言いだすのと同じレベルの、一昔前のオカルト雑誌とかに載ってる系の説の類です。思いつきと「何となく似てる」以上の根拠はありません。(あるなら是非出してくださいw)
そんな氏の、驚くべきインタビュー記事を見つけてしまいました。ど、どこからツッコめばいいのこれ!
吉村作治「エジプト起源の神輿、祭り興しで地方再生を」
https://books.google.co.jp/books?id=Iax1BgAAQBAJ&pg=PA142&lpg=PA142&dq=%E7%A5%9E%E8%BC%BF%E3%80%80%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88%E8%B5%B7%E6%BA%90&source=bl&ots=aDr7jWHmLe&sig=_uNU2Jh78iymHfZ2RPe0h10mA3I&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjbkpSbvLnTAhVGxrwKHT0IAYgQ6AEIQDAI#v=onepage&q=%E7%A5%9E%E8%BC%BF%E3%80%80%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88%E8%B5%B7%E6%BA%90&f=false
<ケンカを売っている対象>
・古代エジプト好き
・古代日本史好き
・キリスト教研究者
・イスラム教研究者
・ユダヤ教研究者
・仏教徒、仏教関係者
・西洋史研究者
etc.
<どのようにケンカを売っていますか?>
たとえばこんな感じで、「ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の神は聖人であり、人間崇拝の宗教である」と断じています。また、また仏教も祖先崇拝だから「人間崇拝の宗教」と言い、それらを前提として話を展開します。い、一般教養レベルの知識からツッコミが必要なの?
各宗教の基本中の基本を理解していない。勘違いにしてもちょっと酷すぎて「えぇ…」って感じになるやつ。むしろ何がどうなってこんな勘違いに辿り着いた。
ただ、吉村氏はこういう「勘違いなのに自信たっぷりに断言してケンカを売る」ということをよくやらかします。それでも「名誉教授」とか「学長」とかも肩書きをもらえてご飯が食べられる。日本の大学の未来はアカルイデスネー(死んだ眼をしながら)
このインタビュー記事の凄まじいところは、上記のような勘違いを元に「日本や古代エジプトの自然崇拝は素晴らしい」という自説を展開しているところです。日本古来の宗教である神道は自然崇拝であり自然を大事にしているが、それ以外の世界中の大宗教は人間崇拝なのでいけない、人間崇拝の間違った宗教によって近代化している、というような話になっていて、どこからどうツッコんでいいのか途方に暮れてしまう。
まず近代化の定義が分からないのですが、資本主義のことを指しているのならそれは宗教じゃなく経済活動の話。
ついでに言うと「近代化」している「ヨーロッパ」の中でもチェコのように無宗教者の多い国やアイルランドのように精霊信仰が10%程度残ってる国もあったりするんですがたぶんそんな細かいことよりまず「一神教とは何か」という一般教養の話からしたほうがいい気がするコレ。
というわけで、氏のインタビューは前提から結論まで間違ってるわけです。
そして以下はいつものエジプト関連の部分です。
<吉村氏、やっぱりまだ"クフ王の第二の船"を自分が発見したと言い張っていた>
何回目になるかわかりませんが、百回ウソをつくなら二百回訂正するのがうちのスタンスです。
まず、「第二の船」の発見者は、第一の船と同じエジプトの学者カマル・アル=マラーハ(Kamal El-Malakh)で、発見年は1954年です。早稲田隊がやったことは石のフタの中にカメラを差し込んで中の映像を撮った部分なのですが、どういうわけか自分が発見したことにしたいようなのです。日本国内でなら何を言ってもバレないだろう、という数十年前の感覚なのだと思いますが、残念ながらそんな時代はとっくに終わりました…。
「太陽の船」と呼ばれているものは、本当に太陽の船かどうかは判りません。諸説あります。
発見時の1954年時点では「太陽の船なのでは?」という説が有力だったようですが、現在は、むしろそう断言する学者は少数派のように思われます。なぜならクフ王の船は二隻ではないから。以下のように、船を収めた穴は複数見つかっており、その中からは現存はしないものの木切れが見つかっていて、かつて船があった可能性の高い穴もあります。ということは、船は二隻ではないので、「太陽の船」とは言えなくなってしまいます。
[>クフ王の「太陽の船」復元について <太陽の船ではない可能性を、お忘れなく!>
https://55096962.seesaa.net/article/200807article_30.html
クフ王のピラミッド(舟坑は今のところ5つ。加えて、衛星ピラミッドの脇にも在る)
吉村氏が「太陽の船」と呼ぶ最大の根拠は前提からして成立していません。
また、「ヨーロッパの学者は」とひとまとめにして語っているのは、個々の学者がどのような学説を唱え、どんな論文を書いているか追えていないからだと思います。
色んな説がありますので、参考までに以下をどうぞ。
[>クフ王の「太陽の船」を巡る諸説と、本当の発見者
https://55096962.seesaa.net/article/201107article_39.html
ちなみに最近掘り上げられた二隻目の船は、現時点で既に、一隻めとは構造が違うらしいことが見えてきてます。ということは一隻めとペアではない可能性が出てきたわけですが、このインタビュー記事を見ると、昔からの自説をこっそり変えて、その新事実を「自分だけは予想していた」と誤認識させるよう誘導しているように見えます。他の学者や既存の説に全く触れずに自分の説だけが正解のように述べるのは、オカルト・トンデモ本ではよくあるテクニックです。もっとも、最近では海部氏など他の学者の本でも堂々と使われていますが。
<相撲と神輿はエジプト起源?!>
そしてようやく本題に入ります。
元々はここにツッコミを入れたかった。
吉村氏が「相撲の起源はエジプト」と言っている根拠は、おそらくベニ・ハッサンの個人墓の壁画に描かれている、一般的には"レスリングの図"と呼ばれているものだと思われます。
[>ついにエジプト人が相撲をとる時代になりました。
https://55096962.seesaa.net/article/201109article_21.html
これは第五王朝の時代の墓の壁画。取っ組み合いの図のほかにフェンシングに似た棒で殴りあう競技や組み体操のようなものなど、様々なスポーツの風景が描かれています。しかしルールはわかりませんし、こんな取っ組み合いの絵なら世界中どこでもフツーにあります。これをもって「相撲の起源は古代エジプト」とは、全く根拠がないということです。
ちなみに古王国時代は紀元前2,500年前ですが、たとえば日本の平城京くらいの時代に伝来したとすると3,200年のひらきがあることになります。そして距離は…
…お分かりいただけましたでしょうか。
これ、完全に無関係ですよね(笑)
3千年以上の時を越えて、間の文明圏を全部すっ飛ばして東の海の果てまで影響を及ぼせるとか古代エジプトどんだけファラオマジックなの。
ちなみに日本が京の都を築く頃の時代だと、エジプトはもうイスラム化始まってます。
神輿にしても同様です。
お祭りの時に神像を台に乗せて練り歩く図は古代エジプトには沢山ありますが、「で?」ですよね。偉い人や神様を神輿に載せて担ぐのなんて世界中一般的な発想です。どうしてそれが日本の祭りの起源になるのか全く意味が判りません。見た目がなんとなく似てる、という以上の根拠もないようですし、マジメに反論するのも面倒くさくなる内容です。
テレビで取り上げられても、頻繁に雑氏なんかに顔を出してても話しの中身はこんなもんです。
しかも本業のエジプトでもこれなんでお察し下さい。
あと毎回なんかあるたびにツッコミを入れさせられるぼくの苦労もわかってください
名前を見たら回れ右でいいです。まともな話が出てきませんから…。
もちろん日本の祭りなんてエジプトと一切関係ないですし、神輿や狛犬がエジプトに繋がるわけがありません。端的に言えば「エジプトのピラミッドとメキシコのピラミッドは同じピラミッドだから起源が繋がっているはず」と言いだすのと同じレベルの、一昔前のオカルト雑誌とかに載ってる系の説の類です。思いつきと「何となく似てる」以上の根拠はありません。(あるなら是非出してくださいw)
そんな氏の、驚くべきインタビュー記事を見つけてしまいました。ど、どこからツッコめばいいのこれ!
吉村作治「エジプト起源の神輿、祭り興しで地方再生を」
https://books.google.co.jp/books?id=Iax1BgAAQBAJ&pg=PA142&lpg=PA142&dq=%E7%A5%9E%E8%BC%BF%E3%80%80%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88%E8%B5%B7%E6%BA%90&source=bl&ots=aDr7jWHmLe&sig=_uNU2Jh78iymHfZ2RPe0h10mA3I&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjbkpSbvLnTAhVGxrwKHT0IAYgQ6AEIQDAI#v=onepage&q=%E7%A5%9E%E8%BC%BF%E3%80%80%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88%E8%B5%B7%E6%BA%90&f=false
<ケンカを売っている対象>
・古代エジプト好き
・古代日本史好き
・キリスト教研究者
・イスラム教研究者
・ユダヤ教研究者
・仏教徒、仏教関係者
・西洋史研究者
etc.
<どのようにケンカを売っていますか?>
たとえばこんな感じで、「ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の神は聖人であり、人間崇拝の宗教である」と断じています。また、また仏教も祖先崇拝だから「人間崇拝の宗教」と言い、それらを前提として話を展開します。い、一般教養レベルの知識からツッコミが必要なの?
各宗教の基本中の基本を理解していない。勘違いにしてもちょっと酷すぎて「えぇ…」って感じになるやつ。むしろ何がどうなってこんな勘違いに辿り着いた。
ただ、吉村氏はこういう「勘違いなのに自信たっぷりに断言してケンカを売る」ということをよくやらかします。それでも「名誉教授」とか「学長」とかも肩書きをもらえてご飯が食べられる。日本の大学の未来はアカルイデスネー(死んだ眼をしながら)
このインタビュー記事の凄まじいところは、上記のような勘違いを元に「日本や古代エジプトの自然崇拝は素晴らしい」という自説を展開しているところです。日本古来の宗教である神道は自然崇拝であり自然を大事にしているが、それ以外の世界中の大宗教は人間崇拝なのでいけない、人間崇拝の間違った宗教によって近代化している、というような話になっていて、どこからどうツッコんでいいのか途方に暮れてしまう。
まず近代化の定義が分からないのですが、資本主義のことを指しているのならそれは宗教じゃなく経済活動の話。
ついでに言うと「近代化」している「ヨーロッパ」の中でもチェコのように無宗教者の多い国やアイルランドのように精霊信仰が10%程度残ってる国もあったりするんですがたぶんそんな細かいことよりまず「一神教とは何か」という一般教養の話からしたほうがいい気がするコレ。
・一神教とは全知全能の唯一神を崇める宗教です。最初に興ったのはユダヤ教ですが、ユダヤ教の中でモーセ個人を神として崇拝することはありません。
・"預言者"は存在しますが、神の代理人という立場であり神ではありません。ただしイスラム教のことが良く分からない十字軍の時代あたりのヨーロッパ人は、イエスやマホメットを神だと勘違いしてました。
・キリストは人間ですが「三位一体」というトリックにより神の一部でもあるということになりました。つまり神であり神の子であり人間です。ただしイスラム教はイエスを神の子とは認めず、預言者の一人とします。
・一神教を崇める側からは、仏教は「ブッダという人間が開いたものだから宗教というより哲学じゃないの?」という疑問を出されることがあります。
というわけで、氏のインタビューは前提から結論まで間違ってるわけです。
そして以下はいつものエジプト関連の部分です。
<吉村氏、やっぱりまだ"クフ王の第二の船"を自分が発見したと言い張っていた>
何回目になるかわかりませんが、百回ウソをつくなら二百回訂正するのがうちのスタンスです。
まず、「第二の船」の発見者は、第一の船と同じエジプトの学者カマル・アル=マラーハ(Kamal El-Malakh)で、発見年は1954年です。早稲田隊がやったことは石のフタの中にカメラを差し込んで中の映像を撮った部分なのですが、どういうわけか自分が発見したことにしたいようなのです。日本国内でなら何を言ってもバレないだろう、という数十年前の感覚なのだと思いますが、残念ながらそんな時代はとっくに終わりました…。
「太陽の船」と呼ばれているものは、本当に太陽の船かどうかは判りません。諸説あります。
発見時の1954年時点では「太陽の船なのでは?」という説が有力だったようですが、現在は、むしろそう断言する学者は少数派のように思われます。なぜならクフ王の船は二隻ではないから。以下のように、船を収めた穴は複数見つかっており、その中からは現存はしないものの木切れが見つかっていて、かつて船があった可能性の高い穴もあります。ということは、船は二隻ではないので、「太陽の船」とは言えなくなってしまいます。
[>クフ王の「太陽の船」復元について <太陽の船ではない可能性を、お忘れなく!>
https://55096962.seesaa.net/article/200807article_30.html
クフ王のピラミッド(舟坑は今のところ5つ。加えて、衛星ピラミッドの脇にも在る)
吉村氏が「太陽の船」と呼ぶ最大の根拠は前提からして成立していません。
また、「ヨーロッパの学者は」とひとまとめにして語っているのは、個々の学者がどのような学説を唱え、どんな論文を書いているか追えていないからだと思います。
色んな説がありますので、参考までに以下をどうぞ。
[>クフ王の「太陽の船」を巡る諸説と、本当の発見者
https://55096962.seesaa.net/article/201107article_39.html
ちなみに最近掘り上げられた二隻目の船は、現時点で既に、一隻めとは構造が違うらしいことが見えてきてます。ということは一隻めとペアではない可能性が出てきたわけですが、このインタビュー記事を見ると、昔からの自説をこっそり変えて、その新事実を「自分だけは予想していた」と誤認識させるよう誘導しているように見えます。他の学者や既存の説に全く触れずに自分の説だけが正解のように述べるのは、オカルト・トンデモ本ではよくあるテクニックです。もっとも、最近では海部氏など他の学者の本でも堂々と使われていますが。
<相撲と神輿はエジプト起源?!>
そしてようやく本題に入ります。
元々はここにツッコミを入れたかった。
吉村氏が「相撲の起源はエジプト」と言っている根拠は、おそらくベニ・ハッサンの個人墓の壁画に描かれている、一般的には"レスリングの図"と呼ばれているものだと思われます。
[>ついにエジプト人が相撲をとる時代になりました。
https://55096962.seesaa.net/article/201109article_21.html
これは第五王朝の時代の墓の壁画。取っ組み合いの図のほかにフェンシングに似た棒で殴りあう競技や組み体操のようなものなど、様々なスポーツの風景が描かれています。しかしルールはわかりませんし、こんな取っ組み合いの絵なら世界中どこでもフツーにあります。これをもって「相撲の起源は古代エジプト」とは、全く根拠がないということです。
ちなみに古王国時代は紀元前2,500年前ですが、たとえば日本の平城京くらいの時代に伝来したとすると3,200年のひらきがあることになります。そして距離は…
…お分かりいただけましたでしょうか。
これ、完全に無関係ですよね(笑)
3千年以上の時を越えて、間の文明圏を全部すっ飛ばして東の海の果てまで影響を及ぼせるとか古代エジプトどんだけファラオマジックなの。
ちなみに日本が京の都を築く頃の時代だと、エジプトはもうイスラム化始まってます。
神輿にしても同様です。
お祭りの時に神像を台に乗せて練り歩く図は古代エジプトには沢山ありますが、「で?」ですよね。偉い人や神様を神輿に載せて担ぐのなんて世界中一般的な発想です。どうしてそれが日本の祭りの起源になるのか全く意味が判りません。見た目がなんとなく似てる、という以上の根拠もないようですし、マジメに反論するのも面倒くさくなる内容です。
テレビで取り上げられても、頻繁に雑氏なんかに顔を出してても話しの中身はこんなもんです。
しかも本業のエジプトでもこれなんでお察し下さい。
あと毎回なんかあるたびにツッコミを入れさせられるぼくの苦労もわかってください
名前を見たら回れ右でいいです。まともな話が出てきませんから…。