【聖地巡礼】ベルリン新博物館(Neues Museum)に行ってきた

基本ソロ冒険者な中の人ですこんにちは。

本国エジプトの治安がアレでナニで一人ぷらり旅とかちょっとヤバそうな感じなので、今のうちに世界のエジプト博物館めぐりとかやっとこうかなってことで今まで行ったことの無いあたり巡り中。といっても大体ヨーロッパなんだけど。

今回はドイツの首都ベルリンにある「新博物館」に来てみたぞ。
ここは、かの有名なネフェルティティの胸像があるとこですね。博物館の集まる「博物館島」の中にあり、どの博物館も見ごたえがあるので一日出られなくなるという魔の島でございます。

今は改装中で入れない博物館もあるので、まだなんとかなる(ギリ一日で見終わる)。


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*行った時はなぜか「エジプトと中国」という謎の企画展やっていた。通常料金で見られる。


さすがに有名どころの博物館だけあってコレクション数はけっこうあり、質も高い。
よくエジプト本で見かけるティイの像の頭部、実物は意外とちっちゃい!

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これもよく見かけるハトシェプスト像。
実物は男装の女王というより貧乳ファラオにしか見えん、でもこれが作られた時点で彼女はアラフォーである。しかも未亡人。これでツンデレだったりすると尚良し。

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これはあまり見かけることのないプトレマイオス3世。ギリシャのクーロス像っぽいフォルムに仕上がっている。顔はバリバリのギリシャ系。

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ネフェルティティ像は撮影禁止で、2階奥のラスボス部屋みたいなところに一体だけぽつんと置かれており、四人くらいの警備員にがっつり囲まれていた。写真を撮ろうと試みる不届き者はつまみ出されるのである。なおネフェルティティ像の手前にはアマルナ美術コーナーもある。

全体として、この博物館は照明にあまり力を入れておらず、展示品の見え方は太陽光の状態に左右されると思ったほうがいい。晴れた日の午前中と、曇りの日の夕方とで二回訪れたのだが、後者は展示品がほとんど見えない部屋もあった。(三階の先史時代のコーナーとかは特に…。) 光がナナメに当たっていないと見えない浅い浮き彫りの置かれている部屋とか、晴れた日の午前と曇りの日の午後では展示品の印象が全く異なる場所もあった。それはそれで面白いのだが、多くの人はここには一生に一回しか来ないだろうし、常に最高のコンディションで見せてくれたほうがいい。

このへんは、大英博物館やトリノ・エジプト博物館の展示のうまさと比較するとちょっぴり残念なところである。

あともう一つ、展示方法で難アリなのが何の脈絡もなく無関係な文化の品をエジプトに混ぜているという点。たとえばこれ、左がエジプトの新王国時代の猫を抱く少女で、右が古典期マヤのジャガーを抱く女性。

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いやまあ…抱いてるのが似てるっていうのは分かる…なんか動物抱いてる女性像だねっていう共通点はある…が…、なんでこれをエジプト像ばかり並んでる部屋にポソっと入れるのか。ただ単に「見た目が似てるね」しかない。意味が分からない。あとこの部屋のエジプト像は時代順に並べられているのだが、古典期マヤとエジプトの新王国時代だと2000年違うので部屋の主旨にも合っていない。


こちらはアステカのヘビらしいが、これもエジプト像のコーナーにぽそりと混じっていて、コジツケはさらに酷い。

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古代エジプトでは蛇と鷹が神聖なものとされたがアステカでも同様で、アステカの首都テノチティトラン(現在のメキシコ・シティ)は鷲が蛇をとらえてサボテンにとまった場所に作られている…といった説明書きがつけられていたのだが、エジプトの蛇はコブラだし鷹が食べるものではない。アステカのは大鷲かコンドルだろうし、種類も違うし「神聖」さの中身も全然違う。ていうか鷹とか鷲とか蛇とかが出てくる神話は山ほどあるので、結びつけようとする意味が分からない。

実は特別展の「エジプトと中国」もこれらと全く同じことをしていて、エジプトの騎馬の図と、中国の騎馬像を並べて展示してあったり、エジプトと中国の壷を並べて展示してあったりして「見た目が似てる」から並べてあるのだとしか思えない幼稚な展示で何の勉強にもならなかった。自分の親しんでいるものとあまり知らないものとの見た目を比較するというのは、初心者の最初の興味のとっかかりとしてはいいかもしれないが、この博物館に来る人がそんな素人レベルの展示を求めているとは到底思えない。

結果として、「コレクションは一流だが、ここの学芸員は展示物をちゃんと理解しているのだろうか…」という不安が残る訪問となった。



まさかとは思うが、ドイツさん未だにアーリア人による文明起源説とか白人の祖先が全ての文明を築いた超古代文明説とか信奉してたりはしないんだよね…?
古代エジプトと古典期マヤを並べて比較されると嫌な予感しかしないんですが。

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