タイトルに偽りあり「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」ミイラ映画と見せかけてこれゾンビ映画じゃねーか!
説明しよう。
「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」とは、1932年の映画「ミイラ再生」のリバイバル作品である。元の映画をアレンジしつつ最新のCG技術にトム・クルーズなどの花形俳優を投入して作られた、実に金をかけた! …失敗作品である。
公式
http://www.themummy.jp/
B級映画かと思っていたが、実際に見てみたらそうではない。こぢんまりと纏まっているし、痛々しさがあるわけでもないし、金はちゃんとかけているのでチープさもない。主役たちの演技もうまい。ただ、致命的なまでに「見せ方」と「構成」に失敗してしまって、映画としての面白さはほとんどない。
どうしてこうなったのか、原作映画も一応見たので何となく分かる。この映画は、原作に必要以上に忠実であろうとしたことが、そもそもにして最大の敗因だと思われる。取捨選択に失敗したのだ。
同じ映画を原作にした「ハムナプトラ」は、使って面白いところだけチョイスしてうまく切り貼りしたから、続編が作られるくらいのエンタテイメントに仕上がった。しかし今回の映画は、使っても面白くないだろソレという部分まで律儀に取り込んでしまった。
たとえば恋人として選んだ相手をナイフで刺す儀式の部分とか…。(原作映画だと刺されるのは貧乳おっぱいな女性だったが)
単に邪悪なミイラが蘇って大暴れするだけなら派手なエンタテイメントになっただろうに、死の神との契約がどうのとか二重人格の博士とか色々設定詰め込みすぎた。そこにさらに、舞台を「現代」にしてリアリティを出すために主人公がイラクで過激派と戦ってた軍人だとかロンドンの地下鉄工事中に墓が発見されたとか余計な設定を盛るもんだから猶更、本題が薄れてしまっている。
設定の説明に時間をかけたのはいいとして、肝心のミイラ王女が大暴れしはじめるのがラスト30分、おまけに王女のパワーたるやキッスした相手をゾンビ(!)に変えるのと幻覚のみ、森の中をテクテク歩いておいかけてくるわ、銃なんかにあっさりやられるわ、全然怖くないっていうかこれホラー映画じゃないよね…? 的な肩透かし感。ラスボスバトルが1対1の生身の殴り合いで5分くらいで終わってるのもポカーン。
そして敵がミイラ王女にゾンビ化された人間と、墓場から蘇ってきた十字軍の亡霊ズだったりする。
そもそもミイラ王女のビジュアルからしてミイラじゃなくてゾンビだし、もはや「…これエジプトにする意味あったん?」という感じ。なんでエジプトの王女が十字軍の亡霊を操って襲ってくるのか、なんでキッスした人間をゾンビに出来てるのかとか良く分からないうえに、その程度の力で世界は滅ばないはずなので絶対悪にしちゃスケールが小さい。怖くない。全然怖くない。ホラーやアクションというジャンルではない。じゃあなんのジャンルかって言われても困るけど。
これは紛れもなく失敗したリバイバルである。
打ち切り感満載のエンディングの後、「原作リスペクトだけはあったんだけどなぁ…」という残念感だけが残る映画であった。
あと最後にこれだけ言っておくけど、敵の「王女」は全然悪ではなかった。
むしろ古代世界でも現代世界でも愛に報われず、ヒドい目に遭わされるかわいそうな人である。彼女はべつに世界を滅ぼしたかったわけではない。自分の王国が欲しかった、居場所が欲しかった、報われたかったというのが行動の動機で、現代においてもほとんど人殺しをしていない。多くても数十人とかそんなレベル。むしろ謎の組織のハイド博士のほうがダントツでヤバイ。
かわいそうな王女をボコボコにして縛り付けて封印するだけの、見方によってはかなり酷いことをしている映画である。どうせリバイバルするのなら、彼女にも少しくらい救済を与えてあげてもよかったんじゃないのか。新たな恋を探して世界に旅立つEDとかさ。
●悪い点
・アクションシーンが少なすぎ
・ていうかほぼ予告編に使われてるシーンしか見せ場がない
・ミイラ王女が弱すぎるし全然邪悪でもないので危機感がない
・ミイラ映画というよりゾンビ映画
・謎の研究機関いらなかったね…
●良い点
・おトムのテイスト全開
・エジプト王女にコキ使われる十字軍の亡霊に泣いた
・モブのみなさんごくろうさまです
●ツッコミ
・新王国時代ならせいぜい3,500年前であって5,000年前じゃない
・なんであの遺跡を墓所だと思ったんだ考古学者
・古代の遺跡なのに鎖と滑車で作られた近代的な仕掛けがあって草
・セトが死の神になっててなんか最初は違和感あったけどそもそもセトじゃなくても別に何でもいいくらい影が薄い設定だった
●最大の難点
ちょっとだけ期待していたラッセル・クロウとおトムの殴り合いが全然萌えなかった
なんだよあれ全然違うよなんだよあれ、ああいうの求めてたんじゃねーんだよマッドサイエンティストらしく閉じ込めて実験してやる的な感じとかできねーのかよ鎖で縛られてるのを見たいのはあっちの女じゃなくておトムなんだよわかってねえよだいたいn
******
[>元になっている古い映画についての記事はこちら
ホラー映画「The mummy-ミイラ再生」のリバイバル版やるらしい。またエジプトミイラが暴れるのか
https://55096962.seesaa.net/article/201612article_11.html
全く暴れてませんでしたね。むしろアメリカ軍がイラクで暴れてましt
1932年の古典映画「The mummy」、恐怖のミイラのモデルはラメセス3世だった。
https://55096962.seesaa.net/article/201702article_2.html
せっかく蘇るミイラを美女にしたのに、美女設定がいまいち生かしきれてなかったのが残念
「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」とは、1932年の映画「ミイラ再生」のリバイバル作品である。元の映画をアレンジしつつ最新のCG技術にトム・クルーズなどの花形俳優を投入して作られた、実に金をかけた! …失敗作品である。
公式
http://www.themummy.jp/
B級映画かと思っていたが、実際に見てみたらそうではない。こぢんまりと纏まっているし、痛々しさがあるわけでもないし、金はちゃんとかけているのでチープさもない。主役たちの演技もうまい。ただ、致命的なまでに「見せ方」と「構成」に失敗してしまって、映画としての面白さはほとんどない。
どうしてこうなったのか、原作映画も一応見たので何となく分かる。この映画は、原作に必要以上に忠実であろうとしたことが、そもそもにして最大の敗因だと思われる。取捨選択に失敗したのだ。
同じ映画を原作にした「ハムナプトラ」は、使って面白いところだけチョイスしてうまく切り貼りしたから、続編が作られるくらいのエンタテイメントに仕上がった。しかし今回の映画は、使っても面白くないだろソレという部分まで律儀に取り込んでしまった。
たとえば恋人として選んだ相手をナイフで刺す儀式の部分とか…。(原作映画だと刺されるのは貧乳おっぱいな女性だったが)
単に邪悪なミイラが蘇って大暴れするだけなら派手なエンタテイメントになっただろうに、死の神との契約がどうのとか二重人格の博士とか色々設定詰め込みすぎた。そこにさらに、舞台を「現代」にしてリアリティを出すために主人公がイラクで過激派と戦ってた軍人だとかロンドンの地下鉄工事中に墓が発見されたとか余計な設定を盛るもんだから猶更、本題が薄れてしまっている。
設定の説明に時間をかけたのはいいとして、肝心のミイラ王女が大暴れしはじめるのがラスト30分、おまけに王女のパワーたるやキッスした相手をゾンビ(!)に変えるのと幻覚のみ、森の中をテクテク歩いておいかけてくるわ、銃なんかにあっさりやられるわ、全然怖くないっていうかこれホラー映画じゃないよね…? 的な肩透かし感。ラスボスバトルが1対1の生身の殴り合いで5分くらいで終わってるのもポカーン。
そして敵がミイラ王女にゾンビ化された人間と、墓場から蘇ってきた十字軍の亡霊ズだったりする。
そもそもミイラ王女のビジュアルからしてミイラじゃなくてゾンビだし、もはや「…これエジプトにする意味あったん?」という感じ。なんでエジプトの王女が十字軍の亡霊を操って襲ってくるのか、なんでキッスした人間をゾンビに出来てるのかとか良く分からないうえに、その程度の力で世界は滅ばないはずなので絶対悪にしちゃスケールが小さい。怖くない。全然怖くない。ホラーやアクションというジャンルではない。じゃあなんのジャンルかって言われても困るけど。
これは紛れもなく失敗したリバイバルである。
打ち切り感満載のエンディングの後、「原作リスペクトだけはあったんだけどなぁ…」という残念感だけが残る映画であった。
あと最後にこれだけ言っておくけど、敵の「王女」は全然悪ではなかった。
むしろ古代世界でも現代世界でも愛に報われず、ヒドい目に遭わされるかわいそうな人である。彼女はべつに世界を滅ぼしたかったわけではない。自分の王国が欲しかった、居場所が欲しかった、報われたかったというのが行動の動機で、現代においてもほとんど人殺しをしていない。多くても数十人とかそんなレベル。むしろ謎の組織のハイド博士のほうがダントツでヤバイ。
かわいそうな王女をボコボコにして縛り付けて封印するだけの、見方によってはかなり酷いことをしている映画である。どうせリバイバルするのなら、彼女にも少しくらい救済を与えてあげてもよかったんじゃないのか。新たな恋を探して世界に旅立つEDとかさ。
●悪い点
・アクションシーンが少なすぎ
・ていうかほぼ予告編に使われてるシーンしか見せ場がない
・ミイラ王女が弱すぎるし全然邪悪でもないので危機感がない
・ミイラ映画というよりゾンビ映画
・謎の研究機関いらなかったね…
●良い点
・おトムのテイスト全開
・エジプト王女にコキ使われる十字軍の亡霊に泣いた
・モブのみなさんごくろうさまです
●ツッコミ
・新王国時代ならせいぜい3,500年前であって5,000年前じゃない
・なんであの遺跡を墓所だと思ったんだ考古学者
・古代の遺跡なのに鎖と滑車で作られた近代的な仕掛けがあって草
・セトが死の神になっててなんか最初は違和感あったけどそもそもセトじゃなくても別に何でもいいくらい影が薄い設定だった
●最大の難点
ちょっとだけ期待していたラッセル・クロウとおトムの殴り合いが全然萌えなかった
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[>元になっている古い映画についての記事はこちら
ホラー映画「The mummy-ミイラ再生」のリバイバル版やるらしい。またエジプトミイラが暴れるのか
https://55096962.seesaa.net/article/201612article_11.html
全く暴れてませんでしたね。むしろアメリカ軍がイラクで暴れてましt
1932年の古典映画「The mummy」、恐怖のミイラのモデルはラメセス3世だった。
https://55096962.seesaa.net/article/201702article_2.html
せっかく蘇るミイラを美女にしたのに、美女設定がいまいち生かしきれてなかったのが残念