栽培リンゴの起源と拡散ルート ちょっと調べておいた。

「旧約聖書のエピソードでアダムとイブが食べる知恵の実、なぜかりんごってことになってるけど当時のオリエント世界にりんごはねぇよ…」みたいな雑学の話があり、おっそういや、りんごって栽培種の起源どこだったっけ。と調べてみた。

研究してる人いるかなとググってみたら、とりあえずそれらしいものがあった。どん。


New genomic insights reveal a surprising two-way journey for apple on the Silk Road
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2017/08/new-genomic-insights-reveal-surprising.html#AIyHuOBvGgPPat3A.99

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ざっくり要約すると、現在までの植物DNAの解析などから見えている栽培リンゴの起源地はカザフスタン近辺(Malus sieversii)で、そこからシルクロードを通して東西に広がっていく過程で現地の野生りんごと交雑し、各地で独自の種類になっていった。という話である。

これでヨーロッパのりんごとアジアのりんこが、同じ「りんご」と言われながら味も大きさも全然違う理由が判った。それぞれの地域に最初から生えていた野生りんごの差異が、そのまま今に繋がっているということ。日本のりんごは、中国で栽培化されたりんごの系統のようだ。なお、現在では7,500種類ものりんごがあるという。

読んでいて気がついたのだが、りんごは、自家受粉が出来ない果樹だ。つまり、自分の花につく花粉は、他の木のものでなくてはならない。野生のりんごとカザフスタンのりんごが簡単に交雑できた理由は、そこにありそうだ。ただしこれは、優れた実をつけるりんごの木が一本出来ても、もう一本なければ増やせない、ということを意味している。ある程度間までの品種改良は簡単そうだが、最上級のりんごを作るというのは難しそう。
ただし、ググってみたところ現在では自家受粉可能なりんごの品種もいくつか出来ているようではある。



なお、これを調べたのは某アサシンクリード・オリジンズのセリフの中で「りんごを盗んできてあげるよ!」とかがあり、「ん? プトレマイオス朝時代のエジプトってりんごまだ無くね?」と思ったからでもある。うんまあ、多分、今でいう「りんご」はないねこれだと。原種も近くに生えてないし、そもそも栽培化がされていたかどうかも微妙だ。そもそも、りんごの生育に必要な秋口の低音期間がエジプトにはないし、夏が高温すぎるし、雨量(水の量)も全然たりないと思われる…。

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