雨の降らない国エジプトで頻繁に洪水が起きる理由、ようやく把握

2000年代に入ってから、エジプトではしばしば「降雨による洪水」が発生している。
以前記事にしたこともあるが――

エジプト・アレクサンドリアに大雨→町が水浸しに。実は時々豪雨に見舞われるエジプトさんの話
https://55096962.seesaa.net/article/201510article_26.html

これ、日本の基準でいうと全然雨降ってないんですよ。
エジプトの中ではそれなりに雨の降るアレクサンドリアでもこんなもん。

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https://weather-and-climate.com/average-monthly-Rainfall-Temperature-Sunshine,Alexandria,Egypt

しかもこれは1日で降った雨ではない。
洪水のよく起きている冬季の「雨の日」は10日くらいある。10日で50mmの雨なら1回あたりの平均は5mm。そんなもんで道路が水びたしになるわけねーだろ、と思ってしまうのだが…。

改めて調べなおしていたら驚くべき数字を見つけてしまった。
どうも、一回の雨で10~15mm降るだけでキャパオーバーになる らしいのだ。

フラッシュ・フラッドについての資料
http://ecohyd.dpri.kyoto-u.ac.jp/content/files/Flash%20Floods%20Integrated%20Management%20Considering%20Climate%20Change%20for%20Secured%20Development%20in%20Wadi%20Basins/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E6%A6%82%E8%A6%81.pdf

フラッシュ・フラッドは日本語では「鉄砲洪水」と訳されている。土壌に水が吸収されないため、降った雨はより低い場所(枯れ谷)へと流れこみ、広範囲に降った雨が一箇所に集中していく。そして、その集中する場所というのが、たいてい、水辺(川沿い)の町や村で、そこで一気にあふれ出して洪水となってしまうということ。


仕組みはなんとなくわかってるつもりだったが、まさか土壌にそんなキャパの概念があると思ってなかったんだよな。雨って降ったら普通に土に染みこむものだとばかり。でも考えてみたらギザ台地の足元は岩盤だったし、王家の谷も足元ざりざりだったな…そうか…砂漠の国って、そもそも足元に土がないのか…。

15mmで大雨っていうのを知ったあとで↓この表見ると、20mm越えたらもう100年に一度の災害クラスだっていう意味がよくわかる。


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というわけなので、エジプト含むアラブの砂漠の多い国では、10mmを越える雨が一気に降ったら洪水が起きるから谷から離れろ。砂漠の国の10mm=日本でいう「100mを越える大雨」くらいのレベル。

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昔は、雨が降るようになれば砂漠は緑になるんだ、って思ってた。
でもそうじゃないんだ。砂漠にはまず土がないから、雨が降ってもそれを溜めておけないんだ。砂漠に降った雨は枯れ谷を大きな川か海へ向かって流れ落ちていくだけなんだ…。(´・ω・`)

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