小さな鳩の大冒険 飼育された鳩の歴史を調べてみた

というわけで以前調べようとしていた鳩の飼育の歴史についての続き。
やっぱり資料の量は少なかったけど、それなりのことは判った。

画像


ほとんど研究されてない中でも、一応、最近のトレンドであるDNAからの祖先の割り出しは行われていた。

Pigeon DNA proves Darwin right
https://www.nature.com/news/pigeon-dna-proves-darwin-right-1.12334

結果、現在飼育されている鳩はすべて、中東あたりで飼いならされたカワラバトから進化してるようだということだった。

古代のメソポタミアやエジプトでも飼育された鳩と思しき古い記述が出てくるので、無難な結果だ。無難すぎて面白みはないのだが(笑

まず鳩の場合、その性質上、DNAを解析したところで起源は確実には分からない。
何故かというと、「飼育」といっても半分放し飼いのようにして飼うためで、時々戻ってこないやつがいたり、飼育されている鳩のところに野生の鳩が来て交雑したりする。なので、確実に「飼育された種」と「野生の種」の区別が出来ない。美しい変わり羽根を持っていたり、真っ白だったりする、明らかに飼育された種と判る現代の鳩などは、本当に最近になって出てきたものに過ぎない。

鳩の飼育は、ヒエログリフや楔形文字による文字記録だけで紀元前3,000年(今から5,000年前)くらいまでは遡れる。そこから後が飼育された鳩の確実な歴史となるだろう。最初の飼育の試みは最大1万年前くらいまで遡れるという説もあるが、鳩の骨は細くて脆いので遺物として残り難く、物証に乏しい。

ただ、確実に言えるのは「飼育化された鳩は現在では世界中にいる」ということ。

日本にも町中にたくさんいるあのドバト連中が、その子孫たちなのだ。そう、あのドバト、実は日本には飛鳥時代くらいにやってきた外来種なんである。元は中国から猫などといっしょに渡ってきたものだという。1,500年くらい前は舶来の珍しい鳥だったようなのだ。今は…まぁ、なんか、半分くらい野生に戻っちゃってるけど。
中国へもシルクロードを通しての伝来で、その元を辿っていくとやはり中東方面に辿り着くはず…というのが、現在の主流な説のようだ。

ということは、鳩の飼育は古代のオリエント世界のどこかで始まって、そこから広まっていったことになる。今やどこにでもいるドバト、実は人間と一緒に世界を駆け巡る旅をした種だった、ということになるのかもしれない。ノアの箱舟に乗ったことがあるかどうかは分からないが、ラクダの商隊や遠洋貿易船には、きっと乗ったことがあるに違いない。

この記事へのトラックバック