シリア問題の「終わりの始まり」。…まだ収束していないどころかこれから始まりだよ!
「今世紀最大の人道危機」なんてキャッチフレーズ(?)のつけられたシリア問題。ISの脅威が収束に向かってからは報道もめっきり少なくなり、あれほど沢山いたドヤ顔でこの問題を語る人々の数も減った。しかし、もちろん問題は何一つ解決していない。むしろ悪化している。
そんなシリア問題について、ずっとコラムを書き続けている著者の本がこれ。Web上に公開されているコラムで切れ味の鋭いのを見かけたら結構な確率でこの人なので嫌でも覚えた。2017年の頭に出された本なのでその時点までの状況しか反映されていないが、とりあえずそこまでの流れはわかりやすく追える。
この著者は理想論なんて振りかざすことなく、現実的な物の見方をするのがいい。いい意味での中立である。正義も悪もない。アサド政権が強権的であり、弾圧を行ったことは確かだろうが、アサド政権下のシリアは「豊かで強い国」だったこと。アサド政権を攻撃した欧米諸国の主張に根拠はなく、一国家の主権を蹂躙した越権行為であること。反政府勢力のいずれもポスト・アサドとはなりえなかったこと。内乱と見せかけて政府と反政府組織の双方を支援する諸外国の代理戦争となっていったこと…。
シリアからの難民の流出が問題になり、ISの台頭がまだそれほど危機と思われていなかった頃、ネット上では欧米メディアを無邪気に信じて、非人道的なアサド政権は打倒すべきと強弁を振るう人も少なからずいた。
それよりもっと前には、「アラブの春」は純粋な民主化運動で、混迷に陥っている国々もいつかは独裁者を打ち倒して自由を手に入れると信じている楽観的な人もいた。
さらにうんざりしたのは、民主化運動は独裁者に抑圧されたその国の人たちが、ネットの力を借りて草の根で声を上げて実行していると主張する声だった。
最後の三つ目に言えば、今でもそうだったと固く信じている人がいるくらいだ。何故そう信じられるのか全く分からない。それぞれの国で起きていた、個々のデモや衝突を見ていなかったとしか考えられない。特に興味もなく、うわべのニュースをなんとなく流していたのでなれば、本当の当事者が発信するものか国外の無関係な人たちが発信する情報かの区別くらいついただろうし、ネット上の動きと実際のデモの動きが連動していなかったことも見えていたのではないかと思われる。(少なくともエジプトはそうだった。なんでエジプト系でもないアメリカ人が当事者みたいな発言してしかも拡散されてんの?? みたいなのとか…。)
シリアの場合も、国外から煽っていた活動家がいたことや、外部に向けて流される情報はそれぞれの勢力に都合がいいよう解釈されたものだったことがデータとともに示されている。
シリアでの"内乱"は、諸外国が、自国に都合のいい勢力に支援することによって泥沼と化し、当事者であるシリア国民はおろか、けしかけた外部勢力にも、誰にも終わらせることが出来なくなってしまった。著者が「乗っ取られた」と評するこの状況こそ「終わりの始まり」だ。
しかし最後に書かれているように、いつかは「彼ら自身がシリアを取り戻」さなくてはならない。
私も、その日が早く来ることを願わずにはいられない。
そんなシリア問題について、ずっとコラムを書き続けている著者の本がこれ。Web上に公開されているコラムで切れ味の鋭いのを見かけたら結構な確率でこの人なので嫌でも覚えた。2017年の頭に出された本なのでその時点までの状況しか反映されていないが、とりあえずそこまでの流れはわかりやすく追える。
この著者は理想論なんて振りかざすことなく、現実的な物の見方をするのがいい。いい意味での中立である。正義も悪もない。アサド政権が強権的であり、弾圧を行ったことは確かだろうが、アサド政権下のシリアは「豊かで強い国」だったこと。アサド政権を攻撃した欧米諸国の主張に根拠はなく、一国家の主権を蹂躙した越権行為であること。反政府勢力のいずれもポスト・アサドとはなりえなかったこと。内乱と見せかけて政府と反政府組織の双方を支援する諸外国の代理戦争となっていったこと…。
シリアからの難民の流出が問題になり、ISの台頭がまだそれほど危機と思われていなかった頃、ネット上では欧米メディアを無邪気に信じて、非人道的なアサド政権は打倒すべきと強弁を振るう人も少なからずいた。
それよりもっと前には、「アラブの春」は純粋な民主化運動で、混迷に陥っている国々もいつかは独裁者を打ち倒して自由を手に入れると信じている楽観的な人もいた。
さらにうんざりしたのは、民主化運動は独裁者に抑圧されたその国の人たちが、ネットの力を借りて草の根で声を上げて実行していると主張する声だった。
最後の三つ目に言えば、今でもそうだったと固く信じている人がいるくらいだ。何故そう信じられるのか全く分からない。それぞれの国で起きていた、個々のデモや衝突を見ていなかったとしか考えられない。特に興味もなく、うわべのニュースをなんとなく流していたのでなれば、本当の当事者が発信するものか国外の無関係な人たちが発信する情報かの区別くらいついただろうし、ネット上の動きと実際のデモの動きが連動していなかったことも見えていたのではないかと思われる。(少なくともエジプトはそうだった。なんでエジプト系でもないアメリカ人が当事者みたいな発言してしかも拡散されてんの?? みたいなのとか…。)
シリアの場合も、国外から煽っていた活動家がいたことや、外部に向けて流される情報はそれぞれの勢力に都合がいいよう解釈されたものだったことがデータとともに示されている。
シリアでの"内乱"は、諸外国が、自国に都合のいい勢力に支援することによって泥沼と化し、当事者であるシリア国民はおろか、けしかけた外部勢力にも、誰にも終わらせることが出来なくなってしまった。著者が「乗っ取られた」と評するこの状況こそ「終わりの始まり」だ。
しかし最後に書かれているように、いつかは「彼ら自身がシリアを取り戻」さなくてはならない。
私も、その日が早く来ることを願わずにはいられない。