アマゾン旅~ エンジェル・フォールへ行こう。
当初はあまり興味なかったんですが、せっかくベネズエラに行ったわけですし、そもそもこの機会逃したら二度と行けなくなる(ベネズエラの政情不安で入国できない)可能性もあるわけなので、よっしゃ行くかー、という気合で向かったエンジェル・フォール。
ロライマ山と同じ、カナイマ国立公園内にありますが、辿り着くには以下のステップを踏む必要があります。
(1) サンタエレナの空港からセスナで1時間半くらい飛んでカナイマへ
(2) カナイマの空港から20分かけて船着場へ
(3) ボートで川を遡ること4-5時間
(4) 上陸地点からトレッキング1時間
→滝の展望台に到着
これが必須行程です。ショートカットはありません。※水量の比較的少ない時期に個人でヘリを飛ばせば、滝の目の前の中洲に降りられるそうです。いくらかかるかは知りませんが…。
なんでそんなにかかるのよ?? という話ですが…
・滝の目前は密林。川の水位が浅く最後はボートで乗り付けられないので歩くしかない
・最寄の村から滝の目前まではひたすら川を遡る必要あり
・最寄の村に近いところは浅瀬・急流があり徒歩で川辺を歩かないといけない箇所あり
…だからなのです。
川の水位は雨の量で変化するため、徒歩を余儀なくされる距離は「その日」単位で変わります。また水の勢い次第で川を遡る速度も変化します。ちなみにここの川は乾季になると上流のほうはほぼ干上がってしまうそうで、そのためエンジェル・フォールは雨季にしか見られない滝です。
日帰りツアーの場合は最寄の村のあるカナイマから朝4時とか5時とかに出発。夕方の6時とか7時に、真っ暗になる頃にようやく戻ってくるというハードコースになります。
滝のふもとに一泊の場合はそこそこ余裕がありますが、密林の中であまり整っていない設備での夜営になるため冒険者のバイタリティが求められます。上等だコルァ。
んでガイドブックには「宿泊はラトンシート島」って書いてあるんだけど全然島じゃなかったしラトン(ねずみ)なんて居なかった。
滝目の前の川を挟んで両側に宿泊施設があるのですが、ご覧のとおり 宿泊施設=ハンモックを吊るせるスペース なんである。いまはベネズエラの国境事情などにより観光客がほぼ姿を消しており、ガラッガラでした。なぜか日本人観光客ばかりに会いました。シルバーウィークだから? 4社くらいツアーとすれ違ったかな…
ハンモックを吊るすとこうなりますね。
屋根はあるけど壁がなく、横から雨がすっごい振り込むので、中の方のハンモックが安全。
ちなみにここ、ベッドの宿泊施設もあります。
相部屋で毛布が臭いのガマンすればベッドに寝られます。日本の山小屋とほぼ同じ雰囲気。違うのは、二段ベットなのにはしごがない(!)こと、窓ガラスなどという上等なものはなく窓は網のみなので夜中に雨が降り込んだり、灯りをつけていると虫がモリモリ入ってきたりすること、ですかね…
夕食時間が過ぎると自家発電が停止されてしまうので真っ暗、冗談ぬきに漆黒の闇。もちろんトイレも闇
深夜に雷雨に見舞われご覧の通り辺りは水溜りとなりもはや屋根の下から出られない状態に。懐中電灯かヘツドランプはとにかく持っていけ。
まぁこのへんのサバイバル仕様でも気にしないなら、一泊するのオススメします。なにしろ辿り着くのに時間がかかるんで、日帰りで一瞬しか滞在しないのは、移動距離を考えるとちょっと勿体無いです。
なおシャワーは、川の水が直結されて出てくるやつなので…まぁ、あれだ。
川で泳いでも一緒ですよ? 一泊なんで汗拭きタオルでもいいんじゃねーか的な気がします。山小屋泊まりみたいなもんですし。
朝イチの靄の中で見る滝は美しかった。
このために雨降りしきる中で寝たと言ってもいいくらいの。
で宿泊地からエンジェル・フォール真下の展望台までの徒歩移動ですが、フツーの山道でした。高尾山の稲荷ルートくらいのもん。別に技術は何もいらないし、体力もそこそこでOK。早い人ならさくっと40分で登れそうなくらい。ただし普段歩きなれていない人にはちょっとキツいかな…。とりあえず高尾山登ってみれば、いけるかどうかは計れそうです。
石が若干滑りやすいですが、山歩きに馴れていればクロックスでも十分いける。ていうか自分がそうでした。
歩行時間は短いですが、虫やキノコや植物と興味深いものがたくさんあります。
ここを越えると晴れて滝の真下へ。
ぶっちゃけ、至近距離だと デカすぎて何がなんだかよくわかりません
ちなみに撮影してないですが「展望台」=崖に向かって突き出した岩、です。手すりなんぞ当然あるはずもなく、そりゃー自撮りに夢中な客がよく転落するわけだわと納得の仕様。岩の上は10人も乗れば一杯になるくらい狭いです。
んで展望台からさらに奥に向かって続く道があったんで、どこまで滝に近づけるのか行ってみました。
…写真でいうと↓この赤丸のあたりまででした。水が落ちてくる「真下」までは道が繋がっていません。ていうか道が作れないんだと思います。近づける部分でも、最後のほうは道というより岩壁を上り下りしてる感じになってきます。
近づけたギリギリの場所からみるエンジェル・フォールと、滝つぼもどきの滝。この滝のあたりにはメダカくらいの小魚がいっぱいいます。 滝登りは出来ないだろうサイズだし、大昔からずっとこの水たまりに住んでいたんだろうか…。
この最終地点は水量が少なければ滝の真下までいったり泳いだり出来るらしいんですが、この時は前日夜に土砂降りの雨が降ったんでだめでした。雨がふれば滝の勢いが増して見ごたえがありますが、近づくのが大変になるんで、過ぎたるは及ばざるがなんとやら。
帰りは川を遡るぶんボートに乗ってる時間は少し短いですが、徒歩で山を降り、川を下り、村の船着場からお宿へ、という流れになるので、やはり半日かかります。行くも帰るも遠い…、ここが秘境と呼ばれる理由もなんとなくわかりました。
でもまあ、日本の山でも絶景スポットに行くならこんなもんですよね。
尚、ここに行くには登山ウェアおすすめです。
ジーンズとかだと湿ってほんと乾かない。登山装備は軽いしすぐ乾くのでめっちゃ楽。
あと虫さされにはムヒが効く。とにかくムヒがよく効く。
虫除け振ってもすぐ汗で流れてしまうんで、肌の露出をなるべく減らして最後はムヒで頑張るといいと思います。
あと、「エンジェルフォールには滝つぼはない」とドヤ顔でトリビアを披露する人がいますが滝つぼの構造が違うだけ。
滝の真下は確かにえぐれてるんですよ。ただ岩が固いのでえぐれかたが甘いのと、風で滝の位置がブレるので一点集中で削られていないだけ。真下こんな感じっすね
浅いけれど岩のへこんだあたりに水は溜まってるので、これがエンジェルフォールの「滝つぼ」なんだろうなと。
ちなみにこの距離でも、風向き変わると滝から飛び散った水滴がバシバシ顔に当たってきます。もはや滝というより天から水を連れてくる何か。雨と滝はこの場所では同義だった…。
雲と一体化する滝。
このときテーブルマウンテンの上は雨。
雲から雨を直接吸い取って、滝は勢いを増していく。
エンジェル・フォールは、「落差世界最高の滝」というよりも「刻々と姿を変える変化に富む滝」という印象になりました。
つづく。
ロライマ山と同じ、カナイマ国立公園内にありますが、辿り着くには以下のステップを踏む必要があります。
(1) サンタエレナの空港からセスナで1時間半くらい飛んでカナイマへ
(2) カナイマの空港から20分かけて船着場へ
(3) ボートで川を遡ること4-5時間
(4) 上陸地点からトレッキング1時間
→滝の展望台に到着
これが必須行程です。
なんでそんなにかかるのよ?? という話ですが…
・滝の目前は密林。川の水位が浅く最後はボートで乗り付けられないので歩くしかない
・最寄の村から滝の目前まではひたすら川を遡る必要あり
・最寄の村に近いところは浅瀬・急流があり徒歩で川辺を歩かないといけない箇所あり
…だからなのです。
川の水位は雨の量で変化するため、徒歩を余儀なくされる距離は「その日」単位で変わります。また水の勢い次第で川を遡る速度も変化します。ちなみにここの川は乾季になると上流のほうはほぼ干上がってしまうそうで、そのためエンジェル・フォールは雨季にしか見られない滝です。
日帰りツアーの場合は最寄の村のあるカナイマから朝4時とか5時とかに出発。夕方の6時とか7時に、真っ暗になる頃にようやく戻ってくるというハードコースになります。
滝のふもとに一泊の場合はそこそこ余裕がありますが、密林の中であまり整っていない設備での夜営になるため冒険者のバイタリティが求められます。上等だコルァ。
んでガイドブックには「宿泊はラトンシート島」って書いてあるんだけど全然島じゃなかったしラトン(ねずみ)なんて居なかった。
滝目の前の川を挟んで両側に宿泊施設があるのですが、ご覧のとおり 宿泊施設=ハンモックを吊るせるスペース なんである。いまはベネズエラの国境事情などにより観光客がほぼ姿を消しており、ガラッガラでした。なぜか日本人観光客ばかりに会いました。シルバーウィークだから? 4社くらいツアーとすれ違ったかな…
ハンモックを吊るすとこうなりますね。
屋根はあるけど壁がなく、横から雨がすっごい振り込むので、中の方のハンモックが安全。
ちなみにここ、ベッドの宿泊施設もあります。
相部屋で毛布が臭いのガマンすればベッドに寝られます。日本の山小屋とほぼ同じ雰囲気。違うのは、二段ベットなのにはしごがない(!)こと、窓ガラスなどという上等なものはなく窓は網のみなので夜中に雨が降り込んだり、灯りをつけていると虫がモリモリ入ってきたりすること、ですかね…
夕食時間が過ぎると自家発電が停止されてしまうので真っ暗、冗談ぬきに漆黒の闇。もちろんトイレも闇
深夜に雷雨に見舞われご覧の通り辺りは水溜りとなりもはや屋根の下から出られない状態に。懐中電灯かヘツドランプはとにかく持っていけ。
まぁこのへんのサバイバル仕様でも気にしないなら、一泊するのオススメします。なにしろ辿り着くのに時間がかかるんで、日帰りで一瞬しか滞在しないのは、移動距離を考えるとちょっと勿体無いです。
なおシャワーは、川の水が直結されて出てくるやつなので…まぁ、あれだ。
川で泳いでも一緒ですよ? 一泊なんで汗拭きタオルでもいいんじゃねーか的な気がします。山小屋泊まりみたいなもんですし。
朝イチの靄の中で見る滝は美しかった。
このために雨降りしきる中で寝たと言ってもいいくらいの。
で宿泊地からエンジェル・フォール真下の展望台までの徒歩移動ですが、フツーの山道でした。高尾山の稲荷ルートくらいのもん。別に技術は何もいらないし、体力もそこそこでOK。早い人ならさくっと40分で登れそうなくらい。ただし普段歩きなれていない人にはちょっとキツいかな…。とりあえず高尾山登ってみれば、いけるかどうかは計れそうです。
石が若干滑りやすいですが、山歩きに馴れていればクロックスでも十分いける。ていうか自分がそうでした。
歩行時間は短いですが、虫やキノコや植物と興味深いものがたくさんあります。
ここを越えると晴れて滝の真下へ。
ぶっちゃけ、至近距離だと デカすぎて何がなんだかよくわかりません
ちなみに撮影してないですが「展望台」=崖に向かって突き出した岩、です。手すりなんぞ当然あるはずもなく、そりゃー自撮りに夢中な客がよく転落するわけだわと納得の仕様。岩の上は10人も乗れば一杯になるくらい狭いです。
んで展望台からさらに奥に向かって続く道があったんで、どこまで滝に近づけるのか行ってみました。
…写真でいうと↓この赤丸のあたりまででした。水が落ちてくる「真下」までは道が繋がっていません。ていうか道が作れないんだと思います。近づける部分でも、最後のほうは道というより岩壁を上り下りしてる感じになってきます。
近づけたギリギリの場所からみるエンジェル・フォールと、滝つぼもどきの滝。この滝のあたりにはメダカくらいの小魚がいっぱいいます。 滝登りは出来ないだろうサイズだし、大昔からずっとこの水たまりに住んでいたんだろうか…。
この最終地点は水量が少なければ滝の真下までいったり泳いだり出来るらしいんですが、この時は前日夜に土砂降りの雨が降ったんでだめでした。雨がふれば滝の勢いが増して見ごたえがありますが、近づくのが大変になるんで、過ぎたるは及ばざるがなんとやら。
帰りは川を遡るぶんボートに乗ってる時間は少し短いですが、徒歩で山を降り、川を下り、村の船着場からお宿へ、という流れになるので、やはり半日かかります。行くも帰るも遠い…、ここが秘境と呼ばれる理由もなんとなくわかりました。
でもまあ、日本の山でも絶景スポットに行くならこんなもんですよね。
尚、ここに行くには登山ウェアおすすめです。
ジーンズとかだと湿ってほんと乾かない。登山装備は軽いしすぐ乾くのでめっちゃ楽。
あと虫さされにはムヒが効く。とにかくムヒがよく効く。
虫除け振ってもすぐ汗で流れてしまうんで、肌の露出をなるべく減らして最後はムヒで頑張るといいと思います。
あと、「エンジェルフォールには滝つぼはない」とドヤ顔でトリビアを披露する人がいますが滝つぼの構造が違うだけ。
滝の真下は確かにえぐれてるんですよ。ただ岩が固いのでえぐれかたが甘いのと、風で滝の位置がブレるので一点集中で削られていないだけ。真下こんな感じっすね
浅いけれど岩のへこんだあたりに水は溜まってるので、これがエンジェルフォールの「滝つぼ」なんだろうなと。
ちなみにこの距離でも、風向き変わると滝から飛び散った水滴がバシバシ顔に当たってきます。もはや滝というより天から水を連れてくる何か。雨と滝はこの場所では同義だった…。
雲と一体化する滝。
このときテーブルマウンテンの上は雨。
雲から雨を直接吸い取って、滝は勢いを増していく。
エンジェル・フォールは、「落差世界最高の滝」というよりも「刻々と姿を変える変化に富む滝」という印象になりました。
つづく。