「白人」はもはや多数派ではない。現代アメリカの現実と数十年後の未来

最近あんまり面白い特集がないなと思ってたけどひさしぶりに尖った記事があった。
ナショジオ9月号「白人が少数派になる日」。

ナショナル ジオグラフィック日本版 2018年9月号
日経ナショナルジオグラフィック社
2018-08-30

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記事
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO34408730R20C18A8000000

" 18歳未満の人口だけを見れば、あと2年で非ヒスパニック系の白人がマイノリティーに転落する。その証拠に音楽や映画、テレビなどではすでに白人以外の人々が主流になっているし、企業にとっては肌の色より利益が重要だから、広告も白人以外をターゲットにしたものが目につく。"


移民の国アメリカ―― その変化は急速に進み、今時点で南部を中心に多くの州で「非ヒスパニック系白人」と呼ばれるアメリカ人は少数派になりつつある。流れ込んできているのは中南米からの移民とアジア人と黒人(アフリカ系と思われるが、奴隷の子孫なのか現代アフリカからの移民かは分類に記載されておらず不明)。

今のままでも今後数十年で「非ヒスパニック系白人」は少数派となる。
アメリカは今、アイデンティティの転換期を迎えていると言える。

これは、たとえば「少数派の移民は弱者だから優遇してあげましょう」という上から目線の政策が意味を成さなくなるということ。自分たちの優位な立場を失いたくない、これが現在のトランプ政権を生んだ基盤の一つとして存在する。また、自分たちこそマジョリティである、という意識も、あと数十年もしないうちに、現実の統計と一致しなくなる。ゆえに揺らぎが生まれる。受け入れられない大人たちと、比較的柔軟に対応できる若者たちと。

かつて自分たちの祖先も移民だった人々が「元々住んでいた自分たちの伝統」を主張し、後続の移住者を排除しようとしている。実に皮肉めいていて面白いが、これが移民で最も成功した国の現状なのである。


「移民がそれまでの住民を上回る」。
これはアメリカだけではなく、これからEU諸国でも確実に起きる事象である。既に多くの国で、移民を制限しようとする動きが広がっている。人口が減っては経済に悪影響が出る。しかし文化や伝統、何より自分たちのアイデンティティを変更したくない。慣れ親しんだ自分の世界を他人に変えられたくない、というのは、人間感情としては当然の反応と言える。

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この記事は、とっておいて何十年後か、「その時」が来てから読み返すと面白いかもしれない。
近い将来、早ければほんの数十年後、アメリカでもEUでも、かつて多数派だった、いわゆる「白人」が少数派になる日が来る。

その時、世界の見え方は、どう変わっているのだろうか?

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