おいやめろ…ブラジルの国立博物館、大火災でコレクション焼失

ブラジルの首都、リオデジャネイロにあったブラジル国立博物館で9/2の夜に大火災が発生。
幸い閉館後で人的な被害はなかったのだが、2,000点に及ぶ貴重な品が焼失した。

爆撃で吹っ飛ばされたシリアの博物館の惨状を彷彿とさせる変わり果てた姿が公開されているのだが、後ろに真新しいオリンピック・スタジアムがそびえたち、手前に、老朽化した国立博物館の建物が写されているのが印象的だ。火災の原因は老朽化による漏電→失火ではないかと報道され、また、建物が古いこともあってスプリンクラーなどの近代的な設備も無かったようだ。

https://www.buzzfeed.com/mauroalbano/brazil-museum-fire-photos?utm_term=.dpNJoOoOAB#.ew1OB0B01g

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リオのオリンピックは、警備員に支払う賃金すらない赤字経営だなどと報道されていたが、さらに博物館の予算なども削られていたという。多くのメディアではブラジル政府の失策という論調で報道し、ブラジル国民の怒りのデモをクローズアップしている。

ただ、失火原因が特定されないうちから予算不足という結論に飛びついて報道するのは微妙だなと思っている。というか、調査されないうちは原因が放火や、職員がうっかり消し忘れたタバコの火だった可能性だってあるわけだ。政府の失策のせいにしたほうが、誰かを責めずに済んで気が楽だけどね。
消化活動が間に合わなかったなど、そもそものブラジルのインフラ設備の不備や消防士不足も関係していそうなので、どのみち失策ではあるのだろうが…。



さて、このニュースが多くの人に衝撃を与えたのは、世界でここにしかない貴重なコレクションが幾つもあったからだ。以下の記事に、そのうちのいくつかが記載されている。


収蔵品の約9割を消失、火災のブラジル国立博物館
南米最古の人類化石や恐竜、隕石など「替えのきかない品」2千万点
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/090500391/?P=1

●南米最古の人類化石とされる1万1500年前の頭蓋骨「ルチア」

●ブラジル固有の恐竜マシャカリサウルスの骨格

●世界最大級のグンバイムシのコレクションと、節足動物コレクション

●ブラジル先住民の言語の録音(死語含む)

●エジプトミイラなどエジプト・コレクション
(約700点との報道あり)
http://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/311017/Heritage/Ancient-Egypt/piece-Egyptian-collection-at-Brazils-National-Muse.aspx

●ベンデゴ隕石

ちなみに隕石だけは焼け残っている。まぁ隕石なんで。火災の炎は大気圏よりはだいぶ優しいので…。
隕石だけが焼け残った、絶望的な動画もUPされている。





エジプト・コレクションの焼失だけでもかなりキツいのに、ブラジル先住民の言語を録音した貴重な記録も焼失とか、SAN値チェック成功しまくっても最終的に発狂の道しか見えないじゃない!
まさに換えの効かないコレクションの焼失… 永遠に… 失われた資料たち…(´・ω・`)



たとえようもなく悲しい事件だし、他山の石としなければならないのは確かだけれど、こういう事件が発生した時、「日本も予算減らしてるからいつかこういうことが起きる」みたいな誰かを批判することで悦に入るやり方は好きでは無い。なぜならそれは、自分には関係ないこととして他人を見下して偉そうぶってるだけだから。普段から博物館とか行っててどこかの館に愛着があるなら、そんな思考にはならないと思う。

形あるものはいつか失われる。それもまた真理。

なので、いま出会えることを幸せと思って、またどこかの博物館に行こうと思う。

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