古代エジプトの「ファイアンス」の再現に成功、のニュース(造形部分)

だいぶおせえよって言われそうですがまぁ別にこのテのニュースはリアルタイムで追わなくてもいいやつなので…。

文理融合研究により、古代エジプトの「ファイアンス」の再現に成功~「国際ガラス歴史協会」の学会(9月4日~7日/トルコ・イスタンブール)にて発表~
https://www.tokai.ac.jp/news/detail/947.html

古代エジプトの謎の物質とされてきたファイアンスがついに完全再現されたぞ! みたいなニュアンスの記事も見かけましたが、これ、「立体化の部分」ですね謎だったの。

ざっくりとした製法は既に判ってました。成分分析すりゃわかるんで。発色の方法もほぼ解明されてて、ジェセル王の階段ピラミッド内部に張られているタイルのような平面の造形物は量産できていた。ただ、「立体」のものや、細かい「細工」のあるものが出来なかった。

何でかというと原料が石英の粉で、水にとけないので水を混ぜてもボッソボソの砂の塊みたいなのにしかならなかったから…。

砂場の砂に水を混ぜて、小さな立体造形物を作ることは出来ないですよね。立体にしたり細かい装飾つけようとしたりするとどうしても巨大化してしまう。それが、↓ここの部分。

"・ファイアンスの主成分である石英(ガラスと同じ組成を持つ原材料)と炭酸カルシウム、アルカリを混合して水を添加して練り、造形物を作ろうとしても、立体造形や微細な装飾は不可能であった
(ファイアンスの練り粉は水で溶いた片栗粉のような性質を持つため)。この問題を克服し立体造形を作るために陶土を混ぜるしか方法がなかったが、陶土は古代エジプトのファイアンスには使われていないため、陶土を使わずに立体造形物を作る方法を模索し、今回のその方法を確立した

・化学工学の専門家である本学工学部応用化学科 秋山泰伸教授との共同研究により、石英・アルカリ・炭酸カルシウムの組成に漆喰(成分は水酸化カルシウム)を含ませることで材料に硬さを持たせることが可能になり、高さのある立体的な形状の成形が可能に"


陶土つまり粘土のようなものを混ぜればいけるけど、それが成分として検出されてないので使えないしどうしようかー、となってたところ、ピラミッドの石と石の接着剤としても使われていた水酸化カルシウムを主成分とする「漆喰」を混ぜれば、検出されている成分と矛盾なく立体が実現できることがわかった、というお話。

結局、粘り成分として何を使うかが最後のミソだったんですね。



詳しい手順は、たぶんそのうち論文か本かで出ると思うので、それ待ちですかねー。

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参考過去記事

古代エジプトの青い焼き物 「ファイアンス」
https://55096962.seesaa.net/article/201112article_14.html

横浜ユーラシア文化館「古代エジプト 青の秘宝ファイアンス」展 ~ファイアンスが廃れた理由とか
https://55096962.seesaa.net/article/201112article_6.html

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