マオリ神話がモチーフのアニメ映画「モアナと伝説の海」を見てみたわけだが(ネタバレあり)
「モアナと伝説の海」は、2016年公開のディズニー映画。マオリ神話がモチーフで、モトゥヌイ島に住む少女モアナと伝説の半神半人の英雄マウイが海洋冒険に出るお話。
遅ればせながら見てみたのだけれど すっげえ違和感あってイマイチだった という話をしたい…。
※要するに「自分には合わなかった」というダメ出しの話で、ネタバレばりばりなので、そういうのが苦手な人やこれから見る予定の人はここから下を読まないことをオススメする。
******************
この物語は、島に引きこもったまま「サンゴ礁の外に出てはいけない」という教えを堅く守る、両親や島の人々に反発し、「サンゴ礁の向こうには何があるのか知りたい!」と冒険に出ようとする、少女の旅立ちの物語である。
そして旅に出なければならない理由もあった。
祖母の語る言い伝えによれば、千年ほど前に英雄マウイが女神テ・フィティの「心」を盗み出してしまったせいで怪物たちが現われ、世界はいずれ闇に飲まれてしまうのだという。
モアナは海に選ばれ、テ・フィティの心を渡されて、さぁマウイを探して一緒にそれを返して来なさい、と運命を告げられる…。
●最大の問題点 「海」が味方
この物語は、「海」に選ばれた少女モアナが旅に出て、目的を果たして島に戻ってくるストーリーになっている。
つまり海は終始、味方側。絶対に裏切らない。なので海の上で主人公が死ぬことは絶対にない。
現実世界においては、海は美しいとともに恐ろしく、穏やかな顔から突然の嵐で荒れ狂うような脅威の自然である。しかし、スタート時点でその海が主人公をサポートする役目に固定されてしまう。この時点で、緊張感も何もなくなってしまう。
その「海」のサポートの徹底振りは、たとえば、序盤で航海知識ゼロのモアナが行き当たりばったりの初めての航海でマウイの封印されている島まで辿り着けてしまうくらいである。リアルでそんなことしてる人がいたら「海をナメすぎ」と怒られると思う。ていうか止めようとしてたお父さんのほうが常識人だよね。
海を擬人化して、決して裏切らない味方にしてしまったのは、失敗だったと思います…。
●もう一つの問題点 出発地「モトゥヌイ」
マウイがマオリ神話に出てくる英雄だから何となくポリネシア舞台だと思ってたけど、モトゥヌイだとニュージーランドですよね多分。そこ、ポリネシア人がいちばん最後に入植した場所。 つまり史実だと彼らはそこから先へはどこも新しい島へ航海していない。もう入植できる島ないです…
なのでモアナの祖先たちが航海をやめた本当の理由はそれだったはずだし、「船が帰ってこなくなった」のは怪物とかのせいじゃなく、そこから先の海盆が南極に近い荒海だからで…。
それなのに、エンディングで一家郎党引き連れてまた航海に出てしまう。う、うーん。いや、お話の中なのでまぁいいんですけど。せめてモアナだけで旅立ってくれ。
●目的地・攻略法・航路まで全て決められている
主人公モアナは序盤で「海」に役目と重要アイテムを託されており、マウイの居場所も、冒険に旅立つための船も、航路も、とくに苦労せず手に入るし航路も決まっている。つまり言われたとおり進めばクリアできる一本道RPGみたいなものなわけで、まずこれじゃ冒険として全然面白みがない。というか全然盛り上がらない。
海の加護があればクリアできる話なら、モアナじゃないほかの誰かでもべつに良かったんじゃ…。
辛うじて釣り針を取り返しに行くあたりは冒険ぽさが出ていたが、それ以外は攻略法の決まってることをするだけなので、とくに冒険でもなんでもなく、本当に決められた航路を辿るだけ。手探り感はゼロ。ラスボス戦に該当するテ・カーとの一騎打ちも、テ・カーの暴れていた理由が判明するや「いや、最初からそれ判ってればこんなに苦労しなかっただろ」みたいなやつで、わりと尻すぼみだった。
ていうか、序盤ではテ・カー以外にも海の魔物とかが甦って世界が大変なことになってる、という話だったはずなのに、まさかの魔物とか全然出てこないストーリーでしたからね!! ココナッツ海賊だけだし、あれ魔物じゃないよね…。世界が闇に飲まれる話はどうなったのか、どこまで行っても海はひたすら青く、そして、裏切るとかもなく味方のまま終了。
●ただしテーマ曲は良かった
エンディングの最初にも流れる、モアナのテーマ曲は良かった。
海の向こうに何があるのか知りたい、行ってみたい。それは、かつて海を越え、数多の島を巡り世界の果てまでも辿り着いたポリネシアンの魂に通じていると思うのです。
と言うわけで、自分にはいまいち合いませんでした。
もしモアナが、海の加護と祖先の残した船だけ頼りにして向こう見ずに海に飛びだす子ではなく、海に出たいという目的のために自ら船を作り、技術を磨いて冒険に挑む子だったら、もうちょっと好きになれたかな。
遅ればせながら見てみたのだけれど すっげえ違和感あってイマイチだった という話をしたい…。
※要するに「自分には合わなかった」というダメ出しの話で、ネタバレばりばりなので、そういうのが苦手な人やこれから見る予定の人はここから下を読まないことをオススメする。
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この物語は、島に引きこもったまま「サンゴ礁の外に出てはいけない」という教えを堅く守る、両親や島の人々に反発し、「サンゴ礁の向こうには何があるのか知りたい!」と冒険に出ようとする、少女の旅立ちの物語である。
そして旅に出なければならない理由もあった。
祖母の語る言い伝えによれば、千年ほど前に英雄マウイが女神テ・フィティの「心」を盗み出してしまったせいで怪物たちが現われ、世界はいずれ闇に飲まれてしまうのだという。
モアナは海に選ばれ、テ・フィティの心を渡されて、さぁマウイを探して一緒にそれを返して来なさい、と運命を告げられる…。
●最大の問題点 「海」が味方
この物語は、「海」に選ばれた少女モアナが旅に出て、目的を果たして島に戻ってくるストーリーになっている。
つまり海は終始、味方側。絶対に裏切らない。なので海の上で主人公が死ぬことは絶対にない。
現実世界においては、海は美しいとともに恐ろしく、穏やかな顔から突然の嵐で荒れ狂うような脅威の自然である。しかし、スタート時点でその海が主人公をサポートする役目に固定されてしまう。この時点で、緊張感も何もなくなってしまう。
その「海」のサポートの徹底振りは、たとえば、序盤で航海知識ゼロのモアナが行き当たりばったりの初めての航海でマウイの封印されている島まで辿り着けてしまうくらいである。リアルでそんなことしてる人がいたら「海をナメすぎ」と怒られると思う。ていうか止めようとしてたお父さんのほうが常識人だよね。
海を擬人化して、決して裏切らない味方にしてしまったのは、失敗だったと思います…。
●もう一つの問題点 出発地「モトゥヌイ」
マウイがマオリ神話に出てくる英雄だから何となくポリネシア舞台だと思ってたけど、モトゥヌイだとニュージーランドですよね多分。そこ、ポリネシア人がいちばん最後に入植した場所。 つまり史実だと彼らはそこから先へはどこも新しい島へ航海していない。もう入植できる島ないです…
なのでモアナの祖先たちが航海をやめた本当の理由はそれだったはずだし、「船が帰ってこなくなった」のは怪物とかのせいじゃなく、そこから先の海盆が南極に近い荒海だからで…。
それなのに、エンディングで一家郎党引き連れてまた航海に出てしまう。う、うーん。いや、お話の中なのでまぁいいんですけど。せめてモアナだけで旅立ってくれ。
●目的地・攻略法・航路まで全て決められている
主人公モアナは序盤で「海」に役目と重要アイテムを託されており、マウイの居場所も、冒険に旅立つための船も、航路も、とくに苦労せず手に入るし航路も決まっている。つまり言われたとおり進めばクリアできる一本道RPGみたいなものなわけで、まずこれじゃ冒険として全然面白みがない。というか全然盛り上がらない。
海の加護があればクリアできる話なら、モアナじゃないほかの誰かでもべつに良かったんじゃ…。
辛うじて釣り針を取り返しに行くあたりは冒険ぽさが出ていたが、それ以外は攻略法の決まってることをするだけなので、とくに冒険でもなんでもなく、本当に決められた航路を辿るだけ。手探り感はゼロ。ラスボス戦に該当するテ・カーとの一騎打ちも、テ・カーの暴れていた理由が判明するや「いや、最初からそれ判ってればこんなに苦労しなかっただろ」みたいなやつで、わりと尻すぼみだった。
ていうか、序盤ではテ・カー以外にも海の魔物とかが甦って世界が大変なことになってる、という話だったはずなのに、まさかの魔物とか全然出てこないストーリーでしたからね!! ココナッツ海賊だけだし、あれ魔物じゃないよね…。世界が闇に飲まれる話はどうなったのか、どこまで行っても海はひたすら青く、そして、裏切るとかもなく味方のまま終了。
●ただしテーマ曲は良かった
エンディングの最初にも流れる、モアナのテーマ曲は良かった。
海の向こうに何があるのか知りたい、行ってみたい。それは、かつて海を越え、数多の島を巡り世界の果てまでも辿り着いたポリネシアンの魂に通じていると思うのです。
と言うわけで、自分にはいまいち合いませんでした。
もしモアナが、海の加護と祖先の残した船だけ頼りにして向こう見ずに海に飛びだす子ではなく、海に出たいという目的のために自ら船を作り、技術を磨いて冒険に挑む子だったら、もうちょっと好きになれたかな。