ネアンデルタールは脳筋狩りプレイヤーではないかもしれない
最近放映されたNHKの「人類誕生」で放映された内容が、さっそく書き変わるかもしれない。
というより、暫定で定説となっていた説に異論が出てきているのだ。
問題となっている部分は、ネアンデルタールが近接武器で大型肉食獣と戦う脳筋プレイヤーで、狩りのさいの致命傷でしょっちゅう命を落としていた。という部分。それに対してホモ・サピエンスは慎重でどちらかというと臆病な狩りをしていた、という説があったのだが…
実際はネアンデルタールはホモ・サピエンスより危険な狩りをしていたわけではないんじゃないか。
というのである。
Skull damage suggests Neandertals led no more violent lives than humans
https://www.sciencenews.org/article/skull-damage-suggests-neandertals-led-no-more-violent-lives-humans
・頭部外傷は石器時代の狩りには一般的なもので、両者に差はない
・調査されていた母数が少ない
・頭部外傷だけで全身骨格の状態まで比較されていない
といった問題点が指摘されている。
また、集めたサンプル次第では、ホモ・サピエンスのほうが外傷率が高くなることがあり、この程度では確かに誤差の範囲だろう。
ネアンデルタールの頭蓋骨 114 →外傷9
ホモ・サピエンスの頭蓋骨 90 →外傷12
というか、そもそも頭部の外傷だけで「狩りで命を落とした」とするのは乱暴だなと思う。大型の肉食獣が狙ってくるのは確かに頭が多いだろうけども、獲物には草食獣もいるわけだし。狩りで致命傷を負ったかどうかなら全身のほかの部位の傷も見ないとわからない。というかゾウなんかと戦って死んだのなら、腹を刺されて骨に傷が残らないとかありそうだし。
そんなわけで、ネアンデルタールはもしかしたら、筋肉モリモリで近接武器で大型の獲物に挑む脳筋バカではなかったかもしれないぞ。研究は始まったばかりだ。専門家同士で殴りあった結果に期待しよう。
****
NHKスペシャル「人類誕生」1-2集、現状としては無難な作り
https://55096962.seesaa.net/article/201806article_7.html
番組の感想で、「無難な内容ではあったのだが、今回の番組の内容は十年後には変わっているだろう。」と書いたのは、こういうのがあるから。まだ何も分かっていなくて、日々書き換わり続けている研究分野なのです…。
というより、暫定で定説となっていた説に異論が出てきているのだ。
問題となっている部分は、ネアンデルタールが近接武器で大型肉食獣と戦う脳筋プレイヤーで、狩りのさいの致命傷でしょっちゅう命を落としていた。という部分。それに対してホモ・サピエンスは慎重でどちらかというと臆病な狩りをしていた、という説があったのだが…
実際はネアンデルタールはホモ・サピエンスより危険な狩りをしていたわけではないんじゃないか。
というのである。
Skull damage suggests Neandertals led no more violent lives than humans
https://www.sciencenews.org/article/skull-damage-suggests-neandertals-led-no-more-violent-lives-humans
・頭部外傷は石器時代の狩りには一般的なもので、両者に差はない
・調査されていた母数が少ない
・頭部外傷だけで全身骨格の状態まで比較されていない
といった問題点が指摘されている。
また、集めたサンプル次第では、ホモ・サピエンスのほうが外傷率が高くなることがあり、この程度では確かに誤差の範囲だろう。
"Harvati’s group analyzed data for 114 Neandertal skulls and 90 H. sapiens skulls. All of these fossils were found in Eurasia and date to between around 80,000 and 20,000 years ago. One or more head injuries appeared in nine Neandertals and 12 ancient humans. After statistically accounting for individuals’ sex, age at death, geographic locations and state of bone preservation, the investigators estimated comparable levels of skull damage in the two species. Statistical models run by the team indicate that skull injuries affected an average of 4 percent to 33 percent of Neandertals, and 2 percent to 34 percent of ancient humans."
ネアンデルタールの頭蓋骨 114 →外傷9
ホモ・サピエンスの頭蓋骨 90 →外傷12
というか、そもそも頭部の外傷だけで「狩りで命を落とした」とするのは乱暴だなと思う。大型の肉食獣が狙ってくるのは確かに頭が多いだろうけども、獲物には草食獣もいるわけだし。狩りで致命傷を負ったかどうかなら全身のほかの部位の傷も見ないとわからない。というかゾウなんかと戦って死んだのなら、腹を刺されて骨に傷が残らないとかありそうだし。
そんなわけで、ネアンデルタールはもしかしたら、筋肉モリモリで近接武器で大型の獲物に挑む脳筋バカではなかったかもしれないぞ。研究は始まったばかりだ。専門家同士で殴りあった結果に期待しよう。
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NHKスペシャル「人類誕生」1-2集、現状としては無難な作り
https://55096962.seesaa.net/article/201806article_7.html
番組の感想で、「無難な内容ではあったのだが、今回の番組の内容は十年後には変わっているだろう。」と書いたのは、こういうのがあるから。まだ何も分かっていなくて、日々書き換わり続けている研究分野なのです…。