「多民族国家」イスラエルの光と闇。
イスラエルについて書かれた本は沢山あるのだが、それらの切り口は実に多種多様だ。
単に歴史として追うだけでも、「どの視点から追うか」でぜんぜん違う。たとえば、この本の場合は、著者はシオニズムに反感を抱いているところから関わりだしたらしいのだが、そうコトは単純ではなかったとあとがきに書いているとおり、どういう切り口から見ればいいのか迷いながら書かれた本になっている。だが逆にその迷いっぷりが面白いとも言える。
本の中で最初に触れられているのは、「誰がユダヤ人なのか」という問題。
イスラエルというとユダヤ国家を名乗っているのだから皆ユダヤ教徒で、ユダヤ人しかいないのだろう、というとそういうわけでもない。イスラエルが建国される前から住んでいたアラブ人が現在も2割いる。そしてユダヤ教徒といっても世界中に散らばっていたところから集まってきたわけなので、中東出身、アフリカ出身、ヨーロッパ出身など文化も言語も、教義さえもまちまちだったりする。
中でも、主にドイツから移住してきたヨーロッパ出身のユダヤ人「アシュケナジーム」と、主に中東のイスラム教圏から移住してきた「ミズラヒーム」は、教育や経済のレベルが違っており、一種の階級社会になってしまっているという。
また、移住者とは別に元からイスラエルに住んでいたユダヤ人、「超正当派」と言われるガッチガチの宗教重視の派閥に属する人もいるという。
同じ「ユダヤ教徒」で「ユダヤ人」と言いつつも、あまりにも多様な人々が暮らす国。
イスラエルとは、そういう国なのだ。
立場が違えば、意見も変わる。どの視点に立って語るか。同じイスラエルという国について語るにも、様々な視点が存在し得る。ホロコーストに対する見方さえ意見が分かれるという話を読んで、へえそうなのか…と思った。てっきり、そのあたりは国からのトップダウンで視点が固定されているのかと思っていた。
イスラエルは、単にシオニズムに突き動かされて出来た国ではないし、かならずしもシオニストの勢力が一番強いわけでもない。ということが良く判る内容になっていた。
あと、歴史に関する記述部分はほかの本でも読めるのだが、前から欲しかったデータがまとまって載っているのは嬉しかった。
たとえば政党の変遷とか。ニュース見ててもこのへん、よく判らんかったんだよね…
あと現在のイスラエル内の人口比率。
アラブ人比率が高まりつつあるようで、いずれ逆転するという試算もあるそうだ。もしそうなった時、果たしてイスラエルはどんな国なっているのだろうか。
それとユダヤ人の移住元の統計。
多種多様な国から移住してきているのが判る。当然のことながら、これらの全てが古代の「イスラエル」に住んでいたユダヤ人の子孫というわけではない。
この国は多民族国家であり、価値観も考え方も多種多様な人々が寄り集まりながら、アイデンティティに迷いつつ進んでいるのだろうと思う。それは、日本に住んでるからには皆日本人だろう、と無条件に考えることが出来、隣近所を見回しても同じような容姿に同じ言語を持つ人々に囲まれているこの国では想像しづらい状況である。
いろんな本を読んではみたものの、イスラエルという国をどうとらえればいいのかは、自分もよく分からない。だが、いつかは自分なりの解釈をもてるようになりたいとは思っている。
単に歴史として追うだけでも、「どの視点から追うか」でぜんぜん違う。たとえば、この本の場合は、著者はシオニズムに反感を抱いているところから関わりだしたらしいのだが、そうコトは単純ではなかったとあとがきに書いているとおり、どういう切り口から見ればいいのか迷いながら書かれた本になっている。だが逆にその迷いっぷりが面白いとも言える。
本の中で最初に触れられているのは、「誰がユダヤ人なのか」という問題。
イスラエルというとユダヤ国家を名乗っているのだから皆ユダヤ教徒で、ユダヤ人しかいないのだろう、というとそういうわけでもない。イスラエルが建国される前から住んでいたアラブ人が現在も2割いる。そしてユダヤ教徒といっても世界中に散らばっていたところから集まってきたわけなので、中東出身、アフリカ出身、ヨーロッパ出身など文化も言語も、教義さえもまちまちだったりする。
中でも、主にドイツから移住してきたヨーロッパ出身のユダヤ人「アシュケナジーム」と、主に中東のイスラム教圏から移住してきた「ミズラヒーム」は、教育や経済のレベルが違っており、一種の階級社会になってしまっているという。
また、移住者とは別に元からイスラエルに住んでいたユダヤ人、「超正当派」と言われるガッチガチの宗教重視の派閥に属する人もいるという。
同じ「ユダヤ教徒」で「ユダヤ人」と言いつつも、あまりにも多様な人々が暮らす国。
イスラエルとは、そういう国なのだ。
立場が違えば、意見も変わる。どの視点に立って語るか。同じイスラエルという国について語るにも、様々な視点が存在し得る。ホロコーストに対する見方さえ意見が分かれるという話を読んで、へえそうなのか…と思った。てっきり、そのあたりは国からのトップダウンで視点が固定されているのかと思っていた。
イスラエルは、単にシオニズムに突き動かされて出来た国ではないし、かならずしもシオニストの勢力が一番強いわけでもない。ということが良く判る内容になっていた。
あと、歴史に関する記述部分はほかの本でも読めるのだが、前から欲しかったデータがまとまって載っているのは嬉しかった。
たとえば政党の変遷とか。ニュース見ててもこのへん、よく判らんかったんだよね…
あと現在のイスラエル内の人口比率。
アラブ人比率が高まりつつあるようで、いずれ逆転するという試算もあるそうだ。もしそうなった時、果たしてイスラエルはどんな国なっているのだろうか。
それとユダヤ人の移住元の統計。
多種多様な国から移住してきているのが判る。当然のことながら、これらの全てが古代の「イスラエル」に住んでいたユダヤ人の子孫というわけではない。
この国は多民族国家であり、価値観も考え方も多種多様な人々が寄り集まりながら、アイデンティティに迷いつつ進んでいるのだろうと思う。それは、日本に住んでるからには皆日本人だろう、と無条件に考えることが出来、隣近所を見回しても同じような容姿に同じ言語を持つ人々に囲まれているこの国では想像しづらい状況である。
いろんな本を読んではみたものの、イスラエルという国をどうとらえればいいのかは、自分もよく分からない。だが、いつかは自分なりの解釈をもてるようになりたいとは思っている。