エジプトおっぱいと聖アガタの話/おっぱい菓子の聖人伝説

色々さまよっている間に見つけてしまったのですよ… おっぱい聖人、聖アガタ。
別名シチリアのアガタ。

この人は3世紀にシチリアに生きた、とされ、侵略者ローマに抵抗して拷問で乳房を切り落とされ、それでも信仰を貫いて昇天した、とつたえられている聖女。そのため、切り落とされた自らのおっぱいを手に、悲しげな顔をしている女性として描かれる。

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解説ページとかは以下

2月6日 聖アガタおとめ殉教者
https://www.pauline.or.jp/calendariosanti/gen_saint50.php?id=020601

…と、ここまでは何となくわかるのだが、なぜか彼女の祭日には 切り落とされたおっぱいに因んだおっぱい菓子を食べる ことになってしまった。
何でそうなる?!

そして、そのお菓子がこちらだ。思ってたよりおっぱいだった

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だが時々緑色のものまである、おっぱいなのに…これでは意味がない…なぜわざわざ食欲が失せるような色をつけるのか。小一時間ほど文句を言いたいところだが、そこはぐっと我慢して、話を先に進めよう。

なぜおっぱい食べることになったのか気になってあれこれ探していたのだが、どうも彼女は実在の証拠がない後世に作られた聖人らしく、せいぜい6世紀までしか遡れないという。そして、原型にエジプトのイシス女神への信仰があるらしいのだ。

そう、エジプト。

食いついた理由はお察し下さい。

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これは言われて特に違和感のある話ではない。
イシス女神は確かにエジプトの女神なのだが、エジプト本国よりむしろローマで大人気で、広く信者を得ていた。シチリア島で信仰されていたとすれば、その信仰は、他の地域と同じく、ローマがキリスト教を国教とした後もしぶとく信仰され続けただろう。

だとすると、ローマとしては、聖アガタというキリスト教の聖女を作り上げてでも異教の信仰を上書きしたかったのではないだろうか。古来の儀式にイシス信仰の痕跡が多々残っており、信仰が6世紀くらいまでしか遡れないというのは、そういうことじゃないかと思う。

あと、Bona Deaという女神への信仰も一部混じってるのではないかという説があった。
こちらもイシス同様、女性の信仰を集めていた女神のようなので、なるほどなぁという感じ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Bona_Dea

だからもしかしたら、古代の信仰の中では、おっぱいのお菓子は女性たちが女神に捧げる秘儀や、多産や、乳の出をよくしてほしいといった祈りの象徴だったのではないかと想像してみる。それがキリスト教世界では、男たちに切り取られて死んでしまった悲しいおっぱいに変わっていったのかな、と。

とはいえ、実際の聖アガタのおっぱいお菓子は、みずみずしく色艶もよく、ぷるんとしていかにも美味しそうだ。
緑色のゾンビおっぱいはノーサンキュー。やはり食するなら、ほんのりピンクかかったイキのいいおっぱいを口にしたいものである。

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