貝塚を作ろう! 貝塚を築くにはどのくらい貝を食えばいいか計算してみた

貝塚というものに説明は不要だろう。昔の人が貝食って貝殻捨てた跡がうずたかい層を成し、塚のごとき様相となったもののことである。農耕やってなかった時代の日本人は貝めっちゃ食ってたんである。

では、貝塚を作るにはどのくらい貝を食えばいいのか。

それをちょっと計算してみた。


●基本データ

とりあえずアサリでやってみることにする。
現代の商業用アサリは、1個平均30g。可食部12g。殻は18g。身のカロリーは4kcal。


●一人分の量を計算

身長・体重にもよるが、成人男性の一日の必要カロリーはだいたい1520kcal。
これをアサリだけで採ると380個必要になる。

重量にすると30g×380個=11400g=11kg

…なんかしょっぱなから凄い数字になってきたぞ。貝が11キロって10キロの米袋の重量で想像するととんでもない。

これを殻の部分だけで考えると、アサリ1個18g ×一日380個 = 6840gのゴミが出る
一年の半分を貝で暮らすとして一年に1,231,200g=1.2t

一人が一年、貝をメインに食って暮らすだけでなんとトン単位の貝殻がゴミに出る計算になってしまった。一家で貝を食べれば一年で数トンなんて余裕である。
…今までは貝塚で貝殻数十トン出たとかいう話を聞いてすげーなと思っていたが、計算してみると、実は大したことない量だったことが判ってきた。俺らでも貝塚が築けそうな気がしてきたぞ。


●貝の種類別

ちなみに今回はアサリで計算してみたが、ほかの貝の場合はまた重量が変わってくる。また、総カロリーのどのくらいの割合を貝から得ていたかにもよって、貝塚の築かれるペースは変わる。

現代の商業用の貝は昔そのへんでとれていた天然のものに比べて小粒のまま出荷しているという話もあるので、昔の貝殻は今より大きかったはずで、必ずしも今回の計算通りになるわけではないが、貝は大量のゴミを発生させるので、貝をメイン食料の一つとして選択すれば、貝塚は必然的に築かるということが良く判った。

逆に言うと、海岸部の貝の採りやすい場所にほとんど貝塚が無かったなら、たとえそこから遺物が出ていたとしても、長期間まとまった人が暮らしていたとは考えにくいのではないだろうか。



参考までに、沖縄で食料として選択された貝の種類と重量のリスト。(出典/島の先史学 パラダイスではなかった沖縄の先史時代/ボーダーインク)

画像


重量に対して得られる身の割合の大きい貝ほど、食料としては効率がいい。
また、身が大きくても沖合いまでいかないと採れない貝はあまり選択されない。
海岸で簡単にとれるハマグリが好まれたのは、そういう理由からなのだそうだ。

この記事へのトラックバック