キリスト教史がまた1ページ…ウクライナ正教会、モスクワ総主教庁管轄から離脱。

昨年10月から言われていたウクライナ正教会の離脱をコンスタンティノープル総主教が承認。
ほかの正教組織がどう反応するかは分からないけど、たぶんほとんどは追従でしょうかね。これでロシア正教会は信者の1/4くらい失うことに。

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●昨年10月時点の記事

ウクライナ正教会、ロシア正教会から独立へ
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/101600240/

 ロシアとウクライナの信徒を合計すると、世界のその他の正教会の信徒全員を合わせた数を超える。現在、モスクワ総主教庁が抱える1億3600万人の信徒の4分の1はウクライナ人が占め、また1万8000カ所ある教会区の3分の1はウクライナにある。ウクライナ正教会の分離は、1000年におよぶ正教会の歴史上「最悪の危機」になると見られている。



●今回の記事

Ukraine Orthodox Church granted independence from Russian Church
https://www.bbc.com/news/world-europe-46768270

コンスタンチノープル総主教が、ウクライナ正教会の独立を認める文書に署名した、というニュース。


●ここまでの大雑把な流れ

1686年 ウクライナ正教会がロシアのモスクワ総主教庁の配下に入る
1991年 ソビエト解体、ウクライナは国として独立するが教会組織は変わらず
2014年 ロシアのクリミア併合で両国の関係値が急速に悪化
2018年 ウクライナ正教会、モスクワ総主教庁からの独立を示唆
2019年 正教系の総主教座の中でいちばん権威がある(とされる)コンスタンチノープル総主教が離脱承認

** 今ココ **


●ちなみにロシア側の反応

ロシア正教会、総主教庁と断絶 ウクライナ正教会の独立
https://news.infoseek.co.jp/article/kyodo_kd-newspack-2018101601001290/

コンスタンチノープルと関係を絶つ! プンスコ!
(なお日本の正教会はモスクワ系なんですが、どうなるのかな…)



正教会ってなんやねんキリスト教と違うの? →
キリスト教です。キリスト教は大きく西方系(カトリックとかプロテスタントとか)と、東方系(いろんな国に協会組織がある)に別れてて、教義とか儀式のやり方とか、あと大きなところではイベント関連の暦が若干違います。

なぜ今のタイミング? →
正教会のクリスマスは1/7だから、新年を迎える前に独立宣言したようです。

独立するとどうなるの? →
教会組織にロシアから口出しされなくなります。あとウクライナ国内にある、ロシアが承認してない教会組織も一つになれます。教義とかは変わりません

ちなみに宗教が国家への帰属意識、愛国心とも結びついているので、ウクライナ的には「ロシアととにかく縁切りたい」「教会を通じて行使されるプーチンとかの影響力(あるかどうかは不明)をなくしたい」という意図があるらしい。

これからどうなる? →
とりあえず見えているのは、ロシアのモスクワ総主教庁と、トルコのコンスタンチノープル総主教庁の断絶。正教系はローマ教皇のような一人の権威がトップにいるわけではなく、各国・各地域に教会組織や総主教庁があるので、それらがどう動くか次第。少なくとも、正教会世界の力関係が変わったのは間違いないです。

ていうか教会史的には、イギリスがローマ教皇下から離れたくて国教会作ったときなみのインパクトのある歴史イベントじゃないかと思うんだけど。まあなんつうか、宗教と政治って今の時代でも密接に絡み合うものなんだなぁ…とか…。

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