エチオピアの「エルサレム」探訪 ラリベラの岩窟修道院巡り(1)
エチオピアの北部にある聖地ラリベラは、地名の由来ともなっているラリベラ王によって12世紀から建造された岩窟寺院群と、聖地まで行くのが遠いから自分とこに作っちゃえ! と作られた「ミニ・エルサレム」のある場所。
国境からわずか40キロの距離にあり、かつてエチオピアが隣国エリトリアとドンパチやってた時代には外国人の立ち入りが制限されていたが、近年は関係が良好なため訪れることが出来る。エチオピア北部随一の観光地である。
ただし 観光料は 高い。。。
主なものだけで11の寺院があり、全部回ろうとすると2日はかかる。でも大丈夫、チケットは5日間有効だから!!
地図はコレ。左下の①ベト・ギョルギスが、十字架の形をしていることで有名な一番の観光スポットだが、それ以外の教会群も興味深い。
町や主なホテルとの位置関係がこれ。
グループ1と2はほとんど距離が無いように見えるが、これがとんでもない計算違いで、なんと道は全て岩山(坂道)であった…。というか教会が町はずれの山の上に造られているので、ひたすら上り坂なんだよね。で、教会は岩を掘り下げて作られているので、ひたすら下って教会を見学し、また上ってくるという繰り返し。ちなみにラリベラの標高は約2500m~、予想外の空気の薄さと5月にも拘わらず40度近い暑さに「マジか…?」ってなりながら見学していた。
午後の暑い時間はホテルに戻って冷たいコーラでも飲まないとやってられません…。
エジプトと一緒だこれ。
あとホテルにクーラーなんて高級なものなかった。天井に扇風機ついてるだけだった。
あとこの町で夜に二回、停電を食らった。持っててよかったヘッドライト。でもシャワー中に停電するのはマジ勘弁してほしかった…。
と、滞在中最もハードな目に遭ったのがこのラリベラだったのだが、産業は何もなく、数十年前まで隣国との間に緊張があり観光客も呼べなかったような地方都市なので、インフラ周りは仕方ないと割り切ろう。
裏を返せば、現代においてさえそんな過酷な場所に、わざわざ硬い岩盤を刻んで「聖地」を再現しようとしたのがラリベラ王なのだ。そりゃ伝説にもなるわ。
さて、ここの岩窟寺院、何が凄いかというと、石を積み上げて作るのではなく、全て一枚の岩盤を掘り下げて作っているという部分だ。
こちらの第一教会群の教会を見て欲しい。床と壁面が融合しているのが判るはずだ。そう、切れ目はどこにも存在しない。なぜなら教会本体はすべて、床と同じ一枚の岩から出来ているから。
一枚岩であるがゆえに、長年の雨風でヒビが入っても修理が出来ない。
石を積んで作ったのなら、壊れた石をどけて新しい石に取り換えればいい。しかしこの教会は一枚の岩なので、ヒビが入ってもその部分だけ切り離して取り換えるとか出来ない。そのため、屋根をかけて保護することになる。
世界遺産なのでユネスコが支援して綺麗な屋根をかけてくれているとこもあるが…
地元で作った、なんとも素朴で古風全とした屋根もある。
上から見ると判るが、多くの教会は屋根が雨で削れていたり、壁に大きな亀裂が入っていたりとかなり傷んでいる。
傷んでいないのは、最後に造られたと言われる聖ギョルギス教会くらいのものだ。ここだけは、屋根がかけらずにそのまま建っている。
上から見下ろしたところ。
ここだけでなく他の岩窟教会も、岩盤掘り下げて作っているので、ふちから見下ろすとこんな感じで4F建てくらいの高低差がある。柵もなんもなく、岩の縁はすり減っており、落っこちる人もいるのではないかと思う…。救急車なんてものは期待できない場所なので、足元には注意しよう。
窓から電線が引き込まれているあたり最近だなぁって感じのw
ちなみに、下の方に人がいる場所が入り口。ぐるっと回りこんで洞窟みたいになった通路を抜けると、下のあそこに出る。つまり、教会を訪れるには4Fぶん下って、4Fぶん登る動作が必要ってこと。高地トレーニングで足腰が鍛えられる感があるぞ!
下に降りるための通路はこんな感じの坂道、もちろんここも岩をくりぬいて作られた回廊。
ここはエチオピアの一大聖地なので、観光客いがいにも信者の人もたくさん訪れている。お祭りの時などは人が凄いらしい。にも拘わらず、回廊がすり減っている感じが全然しない。
というのも、岩が堅いんだ…。
岩窟寺院はカッパドキアでも見たけれど、あっちは手で触ってるだけでも粉が零れてくるようなとても柔らかい加工のしやすい岩だった。(だから岩で家や教会を作ってた) それに対してこちらは、固くて掘りづらい岩盤をわざわざ掘り下げて作っている。手間暇が相当かかってるはずだ。
洞窟のような最後の穴を抜けると、入り口の前に出る。
入り口の真上に排水溝がついていて、雨が降ると入り口に水がダバァして信者を清める(?)仕様になっている。この教会は横から見ると天井がわずかに傾いていて、雨水を天井に貯めないうまい作りになっているらしい。
奥行はあまりなくて、団体ツアーなど来ると中がいっぱいになってしまう。
ここに限らず、岩窟寺院はどこもコンパクトなつくりなので、出来れば人の少ない朝イチなどに行くのがいいと思う。で、午後の暑い時間はホテルで寝る、と…。
なお壁に空いた穴は、物置だったり、楽器置き場だったり、お墓だったりと用途色々。
こちらが寺院の名前の由来になっている聖ジョージさん。
馬に乗ってドラゴン(巨大なヘビになってるのもある)を退治している。
天井にも十字架。
本当に一枚岩で出来ているんだな、というのは、中から見ると良く分かる。どこにも継ぎ目がない。床から柱、天井とひとつの岩が繋がっている。
ちなみに教会は民家に囲まれているので、そこらへん子供たちがお菓子を無心して回ってたり、露天の土産物やさんがしつこく声をかけてきたり、あと教会で靴を脱ぐ時の靴の番人(?!)をしてくれるからとチップをせびる人がいたり、と、外国人はとかく色んな人につきまとわれる。
アジアとか旅行しててもよくあるやつだ。
教会巡りをしていると、観光客はヨーロッパからの人が多かった。アジア人ほぼいない。ただ町のほうに行くと、中国人が道路作ってたりして(一路一帯!)、若干のアジア系の人もいる。土産物屋さんには「チャイナ? ジャパン?」と毎回ほぼ必ず聞かれた。なのでアジア人観光客はそんなに来ていないのだろう…。
かつては韓国のミッション系団体が熱心に布教に来ていたと聞くが、街中で全く見かけなかった。
尚、これらの教会は地元ガイドをつけるの推奨となっている。
ぶっちゃけいらんやろと思っていたが、「この教会は右の扉から入る」とか「xx教会はこの洞窟を抜けるとある」とか「この宗教画は撮影しちゃダメ」とか、細かいルールはガイドがいないと分からなかった。あと道がマジ迷路。ガイドさんがいないと遭難してしまう。
あと、途中の教会の前でお葬式してたんだけど、ガイドなしで観光してた外国人がカメラ構えて怒られてたのとか、見ててちょっとうーんと思った。お葬式の写真がNGなのはどこの国でも常識でしょう…。自分の親族が亡くなってお通夜してる時に見知らぬ外国人が物珍しがってパシャパシャやりに来たらフツー嫌でしょ。
とかあるので、ここは「観光地」というより「現役の聖地」という認識を持って、地元ルールに従ったほうがいいと思う。
後半へ続く。
****
まとめ読みは こちら
国境からわずか40キロの距離にあり、かつてエチオピアが隣国エリトリアとドンパチやってた時代には外国人の立ち入りが制限されていたが、近年は関係が良好なため訪れることが出来る。エチオピア北部随一の観光地である。
ただし 観光料は 高い。。。
主なものだけで11の寺院があり、全部回ろうとすると2日はかかる。でも大丈夫、チケットは5日間有効だから!!
地図はコレ。左下の①ベト・ギョルギスが、十字架の形をしていることで有名な一番の観光スポットだが、それ以外の教会群も興味深い。
町や主なホテルとの位置関係がこれ。
グループ1と2はほとんど距離が無いように見えるが、これがとんでもない計算違いで、なんと道は全て岩山(坂道)であった…。というか教会が町はずれの山の上に造られているので、ひたすら上り坂なんだよね。で、教会は岩を掘り下げて作られているので、ひたすら下って教会を見学し、また上ってくるという繰り返し。ちなみにラリベラの標高は約2500m~、予想外の空気の薄さと5月にも拘わらず40度近い暑さに「マジか…?」ってなりながら見学していた。
午後の暑い時間はホテルに戻って冷たいコーラでも飲まないとやってられません…。
エジプトと一緒だこれ。
あとホテルにクーラーなんて高級なものなかった。天井に扇風機ついてるだけだった。
あとこの町で夜に二回、停電を食らった。持っててよかったヘッドライト。でもシャワー中に停電するのはマジ勘弁してほしかった…。
と、滞在中最もハードな目に遭ったのがこのラリベラだったのだが、産業は何もなく、数十年前まで隣国との間に緊張があり観光客も呼べなかったような地方都市なので、インフラ周りは仕方ないと割り切ろう。
裏を返せば、現代においてさえそんな過酷な場所に、わざわざ硬い岩盤を刻んで「聖地」を再現しようとしたのがラリベラ王なのだ。そりゃ伝説にもなるわ。
さて、ここの岩窟寺院、何が凄いかというと、石を積み上げて作るのではなく、全て一枚の岩盤を掘り下げて作っているという部分だ。
こちらの第一教会群の教会を見て欲しい。床と壁面が融合しているのが判るはずだ。そう、切れ目はどこにも存在しない。なぜなら教会本体はすべて、床と同じ一枚の岩から出来ているから。
一枚岩であるがゆえに、長年の雨風でヒビが入っても修理が出来ない。
石を積んで作ったのなら、壊れた石をどけて新しい石に取り換えればいい。しかしこの教会は一枚の岩なので、ヒビが入ってもその部分だけ切り離して取り換えるとか出来ない。そのため、屋根をかけて保護することになる。
世界遺産なのでユネスコが支援して綺麗な屋根をかけてくれているとこもあるが…
地元で作った、なんとも素朴で古風全とした屋根もある。
上から見ると判るが、多くの教会は屋根が雨で削れていたり、壁に大きな亀裂が入っていたりとかなり傷んでいる。
傷んでいないのは、最後に造られたと言われる聖ギョルギス教会くらいのものだ。ここだけは、屋根がかけらずにそのまま建っている。
上から見下ろしたところ。
ここだけでなく他の岩窟教会も、岩盤掘り下げて作っているので、ふちから見下ろすとこんな感じで4F建てくらいの高低差がある。柵もなんもなく、岩の縁はすり減っており、落っこちる人もいるのではないかと思う…。救急車なんてものは期待できない場所なので、足元には注意しよう。
窓から電線が引き込まれているあたり最近だなぁって感じのw
ちなみに、下の方に人がいる場所が入り口。ぐるっと回りこんで洞窟みたいになった通路を抜けると、下のあそこに出る。つまり、教会を訪れるには4Fぶん下って、4Fぶん登る動作が必要ってこと。高地トレーニングで足腰が鍛えられる感があるぞ!
下に降りるための通路はこんな感じの坂道、もちろんここも岩をくりぬいて作られた回廊。
ここはエチオピアの一大聖地なので、観光客いがいにも信者の人もたくさん訪れている。お祭りの時などは人が凄いらしい。にも拘わらず、回廊がすり減っている感じが全然しない。
というのも、岩が堅いんだ…。
岩窟寺院はカッパドキアでも見たけれど、あっちは手で触ってるだけでも粉が零れてくるようなとても柔らかい加工のしやすい岩だった。(だから岩で家や教会を作ってた) それに対してこちらは、固くて掘りづらい岩盤をわざわざ掘り下げて作っている。手間暇が相当かかってるはずだ。
洞窟のような最後の穴を抜けると、入り口の前に出る。
入り口の真上に排水溝がついていて、雨が降ると入り口に水がダバァして信者を清める(?)仕様になっている。この教会は横から見ると天井がわずかに傾いていて、雨水を天井に貯めないうまい作りになっているらしい。
奥行はあまりなくて、団体ツアーなど来ると中がいっぱいになってしまう。
ここに限らず、岩窟寺院はどこもコンパクトなつくりなので、出来れば人の少ない朝イチなどに行くのがいいと思う。で、午後の暑い時間はホテルで寝る、と…。
なお壁に空いた穴は、物置だったり、楽器置き場だったり、お墓だったりと用途色々。
こちらが寺院の名前の由来になっている聖ジョージさん。
馬に乗ってドラゴン(巨大なヘビになってるのもある)を退治している。
天井にも十字架。
本当に一枚岩で出来ているんだな、というのは、中から見ると良く分かる。どこにも継ぎ目がない。床から柱、天井とひとつの岩が繋がっている。
ちなみに教会は民家に囲まれているので、そこらへん子供たちがお菓子を無心して回ってたり、露天の土産物やさんがしつこく声をかけてきたり、あと教会で靴を脱ぐ時の靴の番人(?!)をしてくれるからとチップをせびる人がいたり、と、外国人はとかく色んな人につきまとわれる。
アジアとか旅行しててもよくあるやつだ。
教会巡りをしていると、観光客はヨーロッパからの人が多かった。アジア人ほぼいない。ただ町のほうに行くと、中国人が道路作ってたりして(一路一帯!)、若干のアジア系の人もいる。土産物屋さんには「チャイナ? ジャパン?」と毎回ほぼ必ず聞かれた。なのでアジア人観光客はそんなに来ていないのだろう…。
かつては韓国のミッション系団体が熱心に布教に来ていたと聞くが、街中で全く見かけなかった。
尚、これらの教会は地元ガイドをつけるの推奨となっている。
ぶっちゃけいらんやろと思っていたが、「この教会は右の扉から入る」とか「xx教会はこの洞窟を抜けるとある」とか「この宗教画は撮影しちゃダメ」とか、細かいルールはガイドがいないと分からなかった。あと道がマジ迷路。ガイドさんがいないと遭難してしまう。
あと、途中の教会の前でお葬式してたんだけど、ガイドなしで観光してた外国人がカメラ構えて怒られてたのとか、見ててちょっとうーんと思った。お葬式の写真がNGなのはどこの国でも常識でしょう…。自分の親族が亡くなってお通夜してる時に見知らぬ外国人が物珍しがってパシャパシャやりに来たらフツー嫌でしょ。
とかあるので、ここは「観光地」というより「現役の聖地」という認識を持って、地元ルールに従ったほうがいいと思う。
後半へ続く。
****
まとめ読みは こちら