狩猟と農耕の人口密度の違いを図にしてみた

狩猟で生きてると人間はあまり増えないけど、農耕メインにしたとたん人口キャパがいきなり増えるんだよ。という話を図解してみる。


まず自然界において、人間も、エモノとなる動物も、極端に増減することはなく自然界のキャパに従って存在している。


具体例を挙げる。鹿は草や木の芽を食べる。食いつくすと鹿は全滅してしまう。従って、ひとつの山に住める鹿の数は、鹿が食べても植物が全滅しない程度の数ということで決まっている。また、鹿には天敵となる狼やクマといった動物がいて、鹿が増えると天敵も増えるので、一時的に鹿の数が増えたとしても、しばらくすると適正な数に調整される。


これが食物連鎖による数の調整で、人間も狩りをして暮らしているうちは、そのシステムの中に組み込まれる。

すなわち、その地域におけるエモノとなる動物(この場合は鹿とかクマとか)の数の上限が、人間の生存可能な数の上限を決定することになる。つまり、狩猟メインで暮らしている人間は、数が増えることはなく、だいたい一定数のまま世代を重ねることになる。


しかし人類の歴史を見る限り、人口は、ほぼいつの時代も微増し続けてきた。疫病や天災などで大きく人口が減ることがあっても、その後も増え続けてきたから今に至るのだ。


だが、その地域で生きられる数が限られているのに微増し続けるとどうなるか。



★狩猟(&採集)生活でのシミュレーション


AとB、同規模の2つの集団があり、どちらも、生存に必要な食糧を得るのに必要な面積は4x4マス分だと考える。

初期の状態では、2つの集団の狩りテリトリーは重ならず、互いに衝突も発生しない。しかしAの集団では人口は微増している。ということは、どこかの時点で集団のテリトリーはキャパの限界を迎えることになる。


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限界を迎えたAの集団から、半数が離脱して新たなテリトリーを獲得する。

この時点では、AとA'の集団は元の集団より規模が小さいため、3x3マスのテリトリーでもやりくり出来ている。


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AとA'の集団が元の集団と同規模に大きくなり、4x4マスのテリトリーを必要とするようになると、このとおり、A'とBの間に衝突が起きてしまう。

この場合、A'とBの間に争いが起きるか、どちらかが移住して別のテリトリーを持つしか解決策がない。なぜなら、狩猟・採集の場合、面積あたりで得られる食料の量は一定のまま変わることがないからだ。話し合いで争いを回避できたとしても、その土地に食糧がない問題はどうしようもない。


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★農耕(&牧畜)にすると面積あたり居住可能な人数が増える


では、人間の手で効率的に食料生産する農耕・牧畜に切り替えるとどうなるかというと、同じ規模の集団が生存に必要な食糧を得られる面積が減るんである。

山の中に住むイノシシ10頭を狩るには山を3つ4つ駆け巡らなければならないかもしれないが、ブタ10頭を飼うには家の裏庭があれば十分だ。山じゅうのクリを拾い集めるのと、里の田んぼ何枚かから得られるカロリーの量は同じになる。


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集団が生存に必要とする面積が減るということは、面積あたりに住める人口も増えるということ。

集団数が増えてもこのとおり。人間の数は食物連鎖による数の調整という上限を越えて増えるようになり、人口密度も上がる。


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もちろん、現実ではもう少し色んな要素が絡む。

たとえば農耕では、生産性の高い土地と低い土地があり、低い土地の場合は狩猟の場合と変わらないくらいの面積を必要とするかもしれない。また、農耕を続けるうちに塩害などで生産性が下がり、その土地が使えなくなってしまう場合もある。


それでも、人類の多くが農耕・牧畜社会へ移行してきたのは事実だ。農耕不可能なアラスカとか以外。




狩猟・採集メインより農耕・牧畜のほうが人口が増える、っていうのは、安定した生産が出来るからとか、定住できるからとかより、まずこっちの、「食物連鎖のリミットから外れられる」って理由からだろう。でもって高度な文明が誕生・発展するかしないかってのも、余剰食物うんぬんより、「人口密度が高くなっても集団を維持できる」「数が増えても移住しなくてよくなる」という部分が大きいんじゃないかと思うんだよ。

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