ユネスコ「マチュピチュ人多杉。減らして」ペルー「新空港作って観光客呼ぶでー^^」←今ココ

ペルーさんも最近エジプトさんっぽいノリになってきたわね…というお話。

<<前提>>

ペルーにはインカおよびプレ・インカの遺跡が多数あるが、目玉は何といってもマチュ・ピチュ。
しかしあまりにも観光客が押し寄せ過ぎており、大混雑で遺跡の保護が危ういところまで来ている。

※ちなみに中の人が訪れた2013年の時点で、この混雑ぶりだった。ここから毎年、人数が上乗せされているので今は…ウン。


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そしてあまりにも人が増えすぎたため、2019年からは入場制限をさらに厳しくし、時間制にするという報道があった。
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=83629

ところが、ペルーさんはなぜか「マチュピチュへのアクセスをもっと簡単にするゾイ」と言い出したのだった…。


<<今回の報道>>

マチュピチュの新空港、反対押して建設に着工 ペルー
https://www.cnn.co.jp/travel/35137820.html

"CNN) 南米ペルー政府はこのほど、インカ遺跡で有名なマチュピチュの玄関口となる新しい国際空港を建設する作業が始まったと発表した。空港建設に対しては、「聖なる谷」と呼ばれる周辺の遺跡や環境に影響が及ぶとして反対運動が巻き起こっていた。

山頂に築かれたマチュピチュ遺跡は険しい山脈や渓谷に守られて、何百年もの間、近寄りがたい場所だった。しかし新空港ができればかつてなくアクセスが容易になる。

新空港は、現在マチュピチュへの玄関口となっているクスコの町とマチュピチュ遺跡との間にあるチンチェロに建設される。

空港建設に反対してインターネットで署名運動を展開しているペルーの美術史家は、「歴史的にも考古学的にも世界最重要級の地の保全が危険にさらされる」と危機感を募らせる。"


Work has begun on Machu Picchu's new airport, despite protests
https://edition.cnn.com/travel/article/machu-picchu-airport-peru-scli-intl/index.html

'It would destroy it': new international airport for Machu Picchu sparks outrage
https://www.theguardian.com/cities/2019/may/15/archaeologists-outraged-over-plans-for-machu-picchu-airport-chinchero

問題はいくつかあるが、まず空港の建設地がインカ時代の街並みや伝統の残るチンチェーロのすぐ側ということ。遺跡や町の雰囲気が壊れるのでは? と言われている。
また、飛行機はオリャンタイタンボの上を飛ぶことになるようなので、オリャンタイの要塞の石組に悪影響が出るかもしれないと懸念されている。

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もう一つが、飛行場から出た排水が、クスコの水源でもあるPiuray湖に流れ込んで水源を汚染するのでは?という問題。写真を見ると確かに湖近すぎる気がする…。

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しかし最大の問題はやはり、「これ以上、観光客を増やしたらヤバいのでは」という部分だ。

アクセスを容易にして、より効率的に観光客を回転させていこう、というのだとしても、そもそもマチュピチュが山の崖の上にある遺跡だという点は変えられない。ふもとから、ひたすらピストンするバスは果たして安全なのか。毎日何千人もの人間に踏みつけられた遺跡の石組は耐えきれるのか。山頂は狭く、トイレや飲食店は明らかに数が足りていないし、ふもとの村に宿が林立すれば環境は当然、悪化する。それは観光資源の価値を下げるのみならず、文化財でもある遺跡の破壊につながるのではないか。


貴重な外貨獲得のための資源とはいえ、それが損なわれちゃたら意味がないし、マチュピチュだけでなく、オリャンタイタンボやチンチェーロの文化財に致命的な影響が出ないかどうか、慎重に検討して運用されていればいいのだが…。

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