木がないならマンモス牙を削ればいいじゃない。極限の北の大地に挑む人類のワザ

氷河期のロシアを舞台に、ヒトがどのように生きてきたのか、というお話。
第一部と第二部に分かれているが、第一部はマンモスの牙を加工する技巧についての説明となっていて、なるほどこの研究はロシアじゃないと出来んわ…と納得の内容になっていた。

氷河期の極北に挑むホモ・サピエンス マンモスハンターたちの暮らしと技
氷河期の極北に挑むホモ・サピエンス マンモスハンターたちの暮らしと技

マンモス(ケナガマンモス)の生きていた時代、そこには森林などは無く、草原が広がっていた。エモノはいたけれど木材はない。そこで人間が選んだ方法は、エモノの骨を加工して道具を作る、という方法を編み出した。
…ただ、モノがあってもどうやって作ったかは分からない。
そこで、考古学者は同じ条件で、同じようにマンモスの牙を加工して実践で実証しようとしている。マイナス25度とか40度とかの条件下で加工する鬼のような考古学実験。ガチすぎる…!

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水につけてほどよく湿気を含ませないとうまく加工できないとか、重しを乗せて長時間かければ曲がった牙を真っすぐに出来るとか、実際にやってみないと分からないような知見が一杯。あと、何の道具か分からないものを、実際に使ってみてできる使用痕から用途を特定しているのは面白いと思った。

たとえば、↓この謎の「コロバハ」という道具は、キャンプ用品でいうところの「ペグ」で、キャンプする時に家をつくる布(か皮のようなもの)を地面にとめるために使われていたものだろう、という。こんなものまでマンモス牙から作っちゃう古代人すごい…。

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単に牙を割る・削るだけでなく、まっすぐにしたものをきれいに割って槍を作ったり、牙を削りだして像のような小さなものを作りだしたり、実に多彩な使い方をしている。こうした加工技術は、気候が変動し、木が増えてマンモスが消えていくと失われていった。マンモスたちと隣同士で暮らしていた時代ならではのわざだ。

この本は考古学メインなのでマンモス牙を加工していたマンモスハンターたちの遺伝的な系譜についてはあまり触れられていなかったが、氷河期の北の大地に生きた人々の生活の一端を知ることの出来る興味深い本だった。

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