美術館収蔵品の映像は美術館の「著作物」なのか? ネフェルティティの胸像を巡る論争のゆくえ

著作権とは、ざっくり言うと、オリジナリティのあるのものは作った人に権利があるから勝手に使ったり改変したりしちゃだめよ、という話。作った人の死後、一定期間を経ると消滅する権利である。しかしドイツのとある美術館が、収蔵品の3,300年以上前の胸像に対してこの権利を主張し、ちょっとした論争になっている。

対象は、誰もが知る有名な古代エジプトの像――ネフェルティティの胸像である。

https://slate.com/technology/2019/11/nefertiti-bust-neues-museum-3d-printing.html

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この胸像はドイツ・ベルリンの博物館島にある新博物館に収蔵されている。
行ったことがあるのだが、館内は写真撮影オッケーなのに一か所だけ、ネフェルティティの胸像のある部屋は写真撮影禁止になっていた。たくさんの警備員が常駐していて、こっそり撮影しようとする客に厳しく目を光らせ、カメラを構えようとしている人を見つけると駆け寄って注意していたのが印象的だった。

で、それが気に入らない誰かが詳細な3D画像をインターネット上に流出させて、博物館側がなんとか公開停止しようと数年ゴニョゴニョ揉めてて、結局今は誰でもアクセスできる状態で公開されるようになった――のだが、ここでひとつ問題が発覚した。

 博物館の作った映像ではないのに、なぜか胸像に著作権表示が入ってた。

著作権とクリエイティブ・コモンズのライセンス表示が胸像の映像に埋め込まれていたため、「著作権なんて切れてるだろww」「博物館の著作物じゃねーよww」とツッコミが入りまくり、論争になったのだ。

今回問題になったのは、博物館の「撮影禁止」の遺物を撮影してインターネットに流した映像である。それを流されたくないという気持ちはわからなくはない。しかし、そもそも博物館って人類の遺産を共有する場のはずなのに、果たしてこの態度は正しいのか。新博物館に対しては以前から、この胸像を金儲けに使いすぎなのではないかという批判も出ていた。わざわざネフェルティティだけ写真撮影禁止にしているのも、胸像めあての客を呼びたいためではないのか、とも。

2009年時点での記事
https://55096962.seesaa.net/article/200906article_16.html

今回の3D映像流出の顛末を見ていると、その批判もあながち的外れではないように思えてくる。

博物館の収蔵品を扱ったドキュメンタリー番組なら著作物と言われても違和感ないが、収蔵物そのものについては、どう考えても博物館の著作物ではないので、その画像についても著作権の主張は無理がある。収蔵品に関する所有権はあるので、映像の使い方について文句を言うのはアリだと思うが…



なお、ここで関係する「著作権」は厳密にはEUの著作権なので日本の場合とはちょっと違うのだが、日本の博物館が同じことをやったらどうなるのだろうか…。
(日本の博物館はわりと撮影禁止なところが多く、撮影してる人もあんまり見かけないので、このテの問題はあまり起きないような気もするが)

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おまけ

3D映像をいじるといろんな角度から楽しめる。
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