サバクトビバッタが猛威を振るっているさなか、他のバッタたちはどうしているのかというと
アフリカで大発生する(=蝗害を引き起こす)バッタは、サバクトビバッタ以外にも何種類か存在する。そいつらはあまり致命的な発生の仕方はしないらしく、モニタリングされていても表に出てくることがあまり無い。が、今どうしてるのかちょっと気になったので、少し調べてみることにした。
結論から言うと: 他の蝗害を引き起こすバッタは一年に一回しか繁殖しないので、大量発生してもそこまで凶悪にならない
単品での戦闘力はたぶんトノサマバッタのほうが高いのだが、戦いは数なので、爆発的に増えられる生態の奴らのほうが群れの戦闘力は上になる。
サバクトビバッタ以外で、代表的な大量発生するバッタは以下のとおり。
●Moroccan Locust モロッコトビバッタ
アフリカから中央アジアにかけて生息している。一年に1世代のみの繁殖で、卵で冬を越す。そのため増殖力はサバクトビバッタほどではない。通常春(4月ごろ)に成虫になり、夏には寿命で死んでしまう。また、一度に産む卵の数が30個と少なめ。
大量発生する条件は、「春の降水量が100mmmより少なく、気温が高い」状態が数年連続で続くことらしい。また成虫は気温が高くないと飛べないが、これはサバクトビバッタと同じ。
繁殖条件が厳しいため近年では減少傾向にあるとのこと。

●Italian Locust イタリアトビバッタ(?) ←和名が出てこない
アフリカからアジア、そしてロシアまで広く分布している種類。
特定緯度付近にしか生息しないため、生息域が東西に長い。イタリアンと名前がついているわりに、イランやアフガニスタンに多く生息しているらしい。この種類は緯度に応じて4月に孵化するパターンと6月~9月に孵化するパターンがあり、一年に一世代のみ発生する。農耕地の端や休耕中の畑での繁殖を好むため、発生した場合に作物に被害が出やすいという。
気温が高いと卵を沢山産みやすく、大量発生は気候条件次第。寒さには比較的弱いため標高1,000m以下でしか繁殖できない。大量発生しやすいのはカザフスタンからシベリア南西部にかけて。

●Asian Migratory Locust いわゆるトノサマバッタ
生息域が非常に広いが、各地域ごとに亜種がいる。オーストラリアやギリシャ、トルコなどでも近年群れが発生している。日本語で言うとトノサマバッタ(学名はLocusta migratoria)。寒さに強く、卵で越冬できるが、そのぶん繁殖サイクルは長いので、一年に一度の大量発生を警戒していれば対処は出来る。通常は夏に成虫になる。ただし熱帯で条件が合えば、一年に何度も繁殖する可能性があるという。
また、寒さに強いためチベット高原などにいる亜種は海抜高度4,000mでも生存可能。
日本や中国で発生する蝗害はこの種類によるものに限られる。

…えー、改めてちゃんと調べてみて判ったんだけど、一年の間に4回も5回も卵産んですさまじい勢いで増えていくバッタって、サバクトビバッタくらいなんだね…。ごく一部、トノサマバッタの亜種が条件が合えば一部地域で繁殖しやすいってくらいで、他のは一年一回の繁殖だった。そりゃサバクトビバッタが一番警戒されるわけだわ、と納得。
生息域の広さや、食べる量の多さなどはトノサマバッタも厄介なのは間違いないのだが、実はトノサマバッタはサバクトビバッタに比べるとかなりの偏食である。イネ科の植物が好きなので米や麦を好んで食べるが、他の植物はあまり食べない。しかも麦の中でも大麦は食べられない。(食べると成長が阻害される物質を含むため) なんだろうこのスペックは高いけど当たらなきゃ問題ない的な感じ。まあ、日本ではもう土地の開拓が進んで発生することはほぼ無くなったからね…。中国では今でもけっこう発生してるんだけど。
ちなみに、生息図を見てもらうと判るように、サバクトビバッタが多く発生するアフリカの砂漠地帯はこの種類のバッタの生息域から外れている。逆に言うと、サバクトビバッタはこの種類のバッタと競合しない場所での繁殖を得意としている。サバクトビバッタがかたくなに進出しないアフリカ南部がトノサマバッタの領域だというのは、今回調べてみて初めて知った。生物の進化は実に面白い。
というわけで、サバクトビバッタ以外の奴らは孵化する季節が春~夏で固定されているため、大量発生してヤバいことになるとしても夏前だということが分かった。また一つ、いつ役に立つのかよく分からない無駄知識を得たのであった。
参考
http://www.fao.org/locusts-cca/bioecology/distribution-areas-in-cca/en/
*******
念のためもう一度書いておきますが、
・サバクトビバッタは中国には行きません(いけません)、途中の山を越えられないです。
・パキスタンで発生しているバッタにアヒル軍を送ってバッタを食べさせる、というのはデマニュースです。
中国国内で過去に発生したトノサマバッタの蝗害にアヒルやニワトリなどを投入したことがあるのは事実ですが、今回はアヒルの出番はありません。
・中国で発生する蝗害はトノサマバッタで、季節は夏です。
この程度の情報も調べられないメディアがショボいだけなんですよ…。
ワイドショーとか間違った情報流しても訂正もせず平気な顔でよく生きてられるよなあとしか。
イナゴの群れが中国に到達! というクソみたいなデマが流れていたので、バッタの進行の見方を解説する
https://55096962.seesaa.net/article/202002article_20.html
結論から言うと: 他の蝗害を引き起こすバッタは一年に一回しか繁殖しないので、大量発生してもそこまで凶悪にならない
単品での戦闘力はたぶんトノサマバッタのほうが高いのだが、戦いは数なので、爆発的に増えられる生態の奴らのほうが群れの戦闘力は上になる。
サバクトビバッタ以外で、代表的な大量発生するバッタは以下のとおり。
●Moroccan Locust モロッコトビバッタ
アフリカから中央アジアにかけて生息している。一年に1世代のみの繁殖で、卵で冬を越す。そのため増殖力はサバクトビバッタほどではない。通常春(4月ごろ)に成虫になり、夏には寿命で死んでしまう。また、一度に産む卵の数が30個と少なめ。
大量発生する条件は、「春の降水量が100mmmより少なく、気温が高い」状態が数年連続で続くことらしい。また成虫は気温が高くないと飛べないが、これはサバクトビバッタと同じ。
繁殖条件が厳しいため近年では減少傾向にあるとのこと。
●Italian Locust イタリアトビバッタ(?) ←和名が出てこない
アフリカからアジア、そしてロシアまで広く分布している種類。
特定緯度付近にしか生息しないため、生息域が東西に長い。イタリアンと名前がついているわりに、イランやアフガニスタンに多く生息しているらしい。この種類は緯度に応じて4月に孵化するパターンと6月~9月に孵化するパターンがあり、一年に一世代のみ発生する。農耕地の端や休耕中の畑での繁殖を好むため、発生した場合に作物に被害が出やすいという。
気温が高いと卵を沢山産みやすく、大量発生は気候条件次第。寒さには比較的弱いため標高1,000m以下でしか繁殖できない。大量発生しやすいのはカザフスタンからシベリア南西部にかけて。
●Asian Migratory Locust いわゆるトノサマバッタ
生息域が非常に広いが、各地域ごとに亜種がいる。オーストラリアやギリシャ、トルコなどでも近年群れが発生している。日本語で言うとトノサマバッタ(学名はLocusta migratoria)。寒さに強く、卵で越冬できるが、そのぶん繁殖サイクルは長いので、一年に一度の大量発生を警戒していれば対処は出来る。通常は夏に成虫になる。ただし熱帯で条件が合えば、一年に何度も繁殖する可能性があるという。
また、寒さに強いためチベット高原などにいる亜種は海抜高度4,000mでも生存可能。
日本や中国で発生する蝗害はこの種類によるものに限られる。
…えー、改めてちゃんと調べてみて判ったんだけど、一年の間に4回も5回も卵産んですさまじい勢いで増えていくバッタって、サバクトビバッタくらいなんだね…。ごく一部、トノサマバッタの亜種が条件が合えば一部地域で繁殖しやすいってくらいで、他のは一年一回の繁殖だった。そりゃサバクトビバッタが一番警戒されるわけだわ、と納得。
生息域の広さや、食べる量の多さなどはトノサマバッタも厄介なのは間違いないのだが、実はトノサマバッタはサバクトビバッタに比べるとかなりの偏食である。イネ科の植物が好きなので米や麦を好んで食べるが、他の植物はあまり食べない。しかも麦の中でも大麦は食べられない。(食べると成長が阻害される物質を含むため) なんだろうこのスペックは高いけど当たらなきゃ問題ない的な感じ。まあ、日本ではもう土地の開拓が進んで発生することはほぼ無くなったからね…。中国では今でもけっこう発生してるんだけど。
ちなみに、生息図を見てもらうと判るように、サバクトビバッタが多く発生するアフリカの砂漠地帯はこの種類のバッタの生息域から外れている。逆に言うと、サバクトビバッタはこの種類のバッタと競合しない場所での繁殖を得意としている。サバクトビバッタがかたくなに進出しないアフリカ南部がトノサマバッタの領域だというのは、今回調べてみて初めて知った。生物の進化は実に面白い。
というわけで、サバクトビバッタ以外の奴らは孵化する季節が春~夏で固定されているため、大量発生してヤバいことになるとしても夏前だということが分かった。また一つ、いつ役に立つのかよく分からない無駄知識を得たのであった。
参考
http://www.fao.org/locusts-cca/bioecology/distribution-areas-in-cca/en/
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念のためもう一度書いておきますが、
・サバクトビバッタは中国には行きません(いけません)、途中の山を越えられないです。
・パキスタンで発生しているバッタにアヒル軍を送ってバッタを食べさせる、というのはデマニュースです。
中国国内で過去に発生したトノサマバッタの蝗害にアヒルやニワトリなどを投入したことがあるのは事実ですが、今回はアヒルの出番はありません。
・中国で発生する蝗害はトノサマバッタで、季節は夏です。
この程度の情報も調べられないメディアがショボいだけなんですよ…。
ワイドショーとか間違った情報流しても訂正もせず平気な顔でよく生きてられるよなあとしか。
イナゴの群れが中国に到達! というクソみたいなデマが流れていたので、バッタの進行の見方を解説する
https://55096962.seesaa.net/article/202002article_20.html