「人間のように見える猫」、SNSとかでは人気だけど多分マズいやつだと思う。

人間のようにソファで寝てたり、二本脚で立ったりと、人間のようにふるまう猫の写真や動画はしょっちゅう出回っていて人気なのだが、あれって実はだいぶマズいのでは…? という話をしたい。
何がマズいかというと、猫が 本来の猫として振る舞うべき行動 を忘れかけているのではないかと思うからだ。


動物というものは、基本的に親や仲間の動きを見て自分の振る舞い方を覚える。これは人間でもそうだ。
オオカミに育てられた人間の話などは調べれば出て来る話だが、実際に狼に育てられたかはともかく結果として、最後まで人間社会には完全に馴染めず、人間らしくは生きられなかった。これは、生まれてから一定の学習期間内に、同種の人間と触れ合って学習出来なかった結果である。育児放棄によって幼児期に適切なコミュニケーションのとれないまま成長して社会性が十分に発達しなかった事例は、現代でも多々ある。

生後一定の学習期間内に学習しなければ生得出来ない必須項目があることは他の動物でも知られていて、この期間は「社会化臨界期」と呼ばれている。たとえば犬では、種類にもよるがだいたい4~8週、遅くとも12週までには終了するという。この期間は、親や兄弟など仲間と触れ合って「自分が何者であるか」「どう振る舞うべきか」ということ、犬の場合は同種での群れの作り方、コミュニケーションの取り方、甘噛みの力加減のような具体的な行動を覚えていく大切な時期になる。

これは、「母の乳を飲む」とか「もよおしてきたら排泄する」のような本能的に獲得されている生理行動とは別に、後天的に獲得されなけれ得られないものとなる。臨界期にその種族としての社会性を獲得できなかった場合は、仲間に馴染めないなど社会性の欠けた状態のまま成長する。



さて、もしペットショップ産の犬や猫が、早々に親や兄弟から引き離されてしまい、社会科臨界期に同種の仲間とのふれあいが希薄だったらどうなるだろう。
近くにいるのは人間だけである。

そりゃあ自分のことを人間と勘違いもするし、行動を真似する先は親ではなく人間になるよね…?


近年になって、あまりにも幼過ぎるペットは販売してはならない、という規制が出来たものの、そのぶん親と触れ合えるかというとそうとも限らず、捨て猫を拾った場合の単頭飼いなどでは模範となる大人猫がいない。そうすると、猫は猫らしい行動をどうにも獲得できなくなってしまう。

人間っぽい猫(犬でもそうだが)を見て喜んでいる人間、もしかしてガチで猫を可愛くて面白い愛玩動物としてしか見て無くないか。
しかも家飼いの猫って大抵は去勢されてるから、生殖機能まで奪ってオモチャ化しているとも言える。よく考えたら、いやよく考えなくても、かなり醜悪晒してない?

それでもきっと、人間に飼われている猫は幸せそうな顔をしていると、猫飼いの人は言うだろう。
しかし考えて貰いたいのは、我々は人間であり、相手は猫だということだ。本来、人間には人間の幸せがあり、猫には猫の幸せがある。人間が猫に対して抱いている感情は、単なる自らの願望の投影になっていないか。

野良猫がキツい環境で暮らしているのは知っているので、私も別にそこに文句は言わない。暖かな家の中で大切にされてまったり暮らすのと、自由だが厳しい外の世界で生きるのと、どちらかが良いかは一概に言えない。
ただ、猫はやはり猫として生きるべきだろうと思う。身体の構造も五感も寿命も、何もかもが違う猫に人間のような暮らしは無理がある。人間の都合で人間らしさを求められて自分が何者か判らなくなっている猫は、悲しい生き物だと思う。

この記事へのトラックバック