ネアンデルタールやデニソワ人にも血液型があったことが明らかに。ネアンデルタール絶滅の理由は「繁殖率が低いから」かも
ネアンデルタールとデニソワ人にはABO式の血液型がある、というのが大発見として報じられていて、おおっ? と思ったのでメモっておくことにした。
なんと、今まで散々ゲノム解析とかしていたのに、血液型に関する部分を誰も気にして来なかったのだという。改めて調べてみたら現生人類と同じABO式の血液型が存在したというのだ。これがなぜ大発見かというと、オラウータンなど近縁の霊長類の血液型は固定で、今まで血液型が存在するのは現生人類だけだと思われていたから。ネアンデルタールやデニソワ人にも血液型があるのなら、血液型の発祥が共通祖先まで遡ることになるのだ。
共通祖先の中でも、おそらくホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)がABO式の血液型をもっていたのではないか、というのが現在の説になっている。だいたい70万年~20万年前くらいまで存在したとされる、現生人類とネアンデルタールの共通祖先だ。
しかも現生人類の中でもオーストラリアやパプワニューギニアなどと共通する特殊な変異が見つかるそうなので、おそらくネアンデルタールと現生人類が混血した際に一部変異が引き継がれていることになる。だとすると、両者が混血したのはアフリカから拡散した直後くらいではないかという。これはDNAの分析からも推定されていたことだが、血液型からも同じ結論になるようだ。
元論文
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0254175
英語記事
https://cosmosmagazine.com/people/anthropology/neanderthal-blood-same-as-modern-humans/
記事を読んでみると、どうも研究者たちは「ネアンデルタールに輸血するなら何型だろう」とか話しているうちにこの研究を思いついたらしい。身近な興味って大事。
そこで、今までにフルゲノムが解析されているネアンデルタール18人、デニソワ人1人のデータから輸血に関係する血液の抗原を調べてみたというのが発端。調べているのが ABO,Rh,Kell,Duffy,Kidd,MNS,Diego の7領域なのは、これらが一致すれば輸血が出来るから、らしい。なるほど。
なお、それぞれ抗原の種類や持っている人のパーセンテージについて概要は、調べてみたところこんな感じだった。
http://www.kochi-amt.org/academic/yuketu/2017/h291116.pdf
中の人にはこのへんの知識は無いので、もし血液とか循環器系が専門で内容わかる人は見てみるといいと思う。
で、重要そうなのが、今回分析された内容からしてネアンデルタールの血液抗原に多様性がなく、近親婚を繰り返していたか母数が少なかったらしいということ。(ピーク時で7万人と推定されている)
そしてもう一つが、ネアンデルタールの新生児は溶血性疾患(haemolytic disease)を抱えやすく、おそらく死亡率が高かっただろうということ。現生人類と混血しても約18%の確率で新生児が疾患を抱えてしまうらしい。
今まで、ネアンデルタール絶滅の理由は様々に語られてきていた。わりと最近のNHKの番組では脳筋的な狩りをしていたために現生人類より致命傷を負いやすかったのでは、などという説も紹介されていた。
しかし、進化の過程で致命的な遺伝的病を抱えてしまい、それが理由で繁殖の成功率が低かったのだとすれば…、今までの説は全て覆ることになる。
それが分かるようになったのは。古代のDNAも解析できるようになった、ここの10年くらいの成果なのだ。
もしかしたら10年後には、ネアンデルタール絶滅の原因は、まるっと書き換えられているのかもしれない。
なんと、今まで散々ゲノム解析とかしていたのに、血液型に関する部分を誰も気にして来なかったのだという。改めて調べてみたら現生人類と同じABO式の血液型が存在したというのだ。これがなぜ大発見かというと、オラウータンなど近縁の霊長類の血液型は固定で、今まで血液型が存在するのは現生人類だけだと思われていたから。ネアンデルタールやデニソワ人にも血液型があるのなら、血液型の発祥が共通祖先まで遡ることになるのだ。
共通祖先の中でも、おそらくホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)がABO式の血液型をもっていたのではないか、というのが現在の説になっている。だいたい70万年~20万年前くらいまで存在したとされる、現生人類とネアンデルタールの共通祖先だ。
しかも現生人類の中でもオーストラリアやパプワニューギニアなどと共通する特殊な変異が見つかるそうなので、おそらくネアンデルタールと現生人類が混血した際に一部変異が引き継がれていることになる。だとすると、両者が混血したのはアフリカから拡散した直後くらいではないかという。これはDNAの分析からも推定されていたことだが、血液型からも同じ結論になるようだ。
元論文
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0254175
英語記事
https://cosmosmagazine.com/people/anthropology/neanderthal-blood-same-as-modern-humans/
記事を読んでみると、どうも研究者たちは「ネアンデルタールに輸血するなら何型だろう」とか話しているうちにこの研究を思いついたらしい。身近な興味って大事。
そこで、今までにフルゲノムが解析されているネアンデルタール18人、デニソワ人1人のデータから輸血に関係する血液の抗原を調べてみたというのが発端。調べているのが ABO,Rh,Kell,Duffy,Kidd,MNS,Diego の7領域なのは、これらが一致すれば輸血が出来るから、らしい。なるほど。
なお、それぞれ抗原の種類や持っている人のパーセンテージについて概要は、調べてみたところこんな感じだった。
http://www.kochi-amt.org/academic/yuketu/2017/h291116.pdf
中の人にはこのへんの知識は無いので、もし血液とか循環器系が専門で内容わかる人は見てみるといいと思う。
で、重要そうなのが、今回分析された内容からしてネアンデルタールの血液抗原に多様性がなく、近親婚を繰り返していたか母数が少なかったらしいということ。(ピーク時で7万人と推定されている)
そしてもう一つが、ネアンデルタールの新生児は溶血性疾患(haemolytic disease)を抱えやすく、おそらく死亡率が高かっただろうということ。現生人類と混血しても約18%の確率で新生児が疾患を抱えてしまうらしい。
今まで、ネアンデルタール絶滅の理由は様々に語られてきていた。わりと最近のNHKの番組では脳筋的な狩りをしていたために現生人類より致命傷を負いやすかったのでは、などという説も紹介されていた。
しかし、進化の過程で致命的な遺伝的病を抱えてしまい、それが理由で繁殖の成功率が低かったのだとすれば…、今までの説は全て覆ることになる。
それが分かるようになったのは。古代のDNAも解析できるようになった、ここの10年くらいの成果なのだ。
もしかしたら10年後には、ネアンデルタール絶滅の原因は、まるっと書き換えられているのかもしれない。