「ホルスの瞳」には眉毛と睫毛が必要だった。リアルのハヤブサと比べるエジプト美術

「ホルスの目」とは、古代エジプト美術でよく出てくるコレ。

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まゆげやまつげ、くるくると巻いた特徴的な涙のような部分などがあるが、これら全てがセットになった状態で「完全な目」とされていた。
何でこんな形状になったのか、あんまり意識していなかったのだが、実はこれは現実世界のハヤブサたちの模様をデザイン化したものだ、という。

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…という話を、ウロウロしてた時に偶然見つけたドキュメントで読んで、なるほどと思った。

Insights into Egyptian Horus Falcon Imagery by Way of Real Falcons and Horus Falcon Influence in the Aegean in the Middle Bronze Age:
https://journals.uair.arizona.edu/index.php/jaei/article/view/4294

地中海~エジプト付近に住む、Common Kestrel(チョウゲンボウ)や、Lanner falcon(ラナーハヤブサ)には、確かに、目の周りに黒い模様がある。
古代エジプトの神ホルスはハヤブサの頭を持つ神として描かれるが、まさにこれら、現地で見かけるハヤブサがモデルなのだろう。

また、同じくハヤブサの頭を持つ神であるコンス神の顔にも、確かに、いつも黒い線がある。
これデザイン的にカッコいいとかより前に、リアルの鷹の顔がこうだから、だったのかー。という感じ。

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古代エジプトの美術は、元ネタを知ると納得する部分がたくさんある。よく観察してるなあ、というのと、よく現実をこんな洗練されたデザインに落とし込めるなあ、といつも驚かされる。見慣れているはずでも、新しい発見がいくつも隠れている。

古代人のデザインセンスは侮れない、と思うのです。

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