チリ(8) 再びチリ本土へ 天国の谷バルパライソ

年間通して20度くらいはあるイースター島にくらべて、チリ本土の首都サンティアゴ付近は冬は10度切るくらい。ちょっと肌寒い。
しかしそれにしてもちょっと寒すぎるなーとは思っていた。

雨のサンティアゴ一日一往復しかないイースター島からの飛行機(しかも遅れるし)を降り、ホテルで一泊したあと、中央駅から徒歩圏内にあるアラメダ・バスターミナルへ移動。
地下鉄だとアラメダじゃなくてU.D.cantiago(サンティアゴ大学)という駅。

この時点でのサンティアゴの天候は雨。
…まさか帰ってくるときにこれが雪になってるとは思いもよらなかったわけだが。

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アラメダ・バスターミナルからは、TUR BUSとPullman BUS という二社が、バルパライソ行きの長距離バスを出している。
どっちでも良かったんだがPullmanのバスの車体の後ろに中国宇通って書いてあったからTURにした。…いやさー、チャイナボカンの法則が南米でだけ回避できるとか、そんなことは流石の私も思わないよ!

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チケットバスのチケットは、こんなかんじの単なるレシート。往復で4300ペソだったので、別々に買うより安くなっているっぽい。こっちがイスパ語通じねぇと見るや、レジの兄ちゃんが身振りで色々親切にレシートの説明をしてくれた。とりあえず7-8のバス停行けということらしかった。

精算したところから出てすぐにバスターミナルがあり、15分ごとくらい頻繁にバスが出ている。バスにはでっかく行き先表示が出るのでまぁ、乗るやつは間違わないだろう。

行きのバスは時間と座席番号が指定されていているが、往復券の帰りは時間も座席も指定なし、テキトーに乗っていいらしい。


南米の長距離バスは乗り心地が非常にいいと評判だが、確かに良かった。サンティアゴからバルパライソまで1時間45分。出発すると枕が配られ寝ろといわんばかり。途中、いくつか中間のバス停に寄りつつ目的地のまでは静かで快適な旅。ドアが開きにくいが後部にトイレも一応ついている。


爆睡していると、目的地近くで乗務員が「もうじき着くよ」と起こしにきてくれるサービスっぷり。
おまけに観光客だと見るや「チケット記念にもってきな」と回収せずにおいといてくれた。なんというチリ人ぬくもりてぃ。

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ちなみに途中には料金所もあった。
風景は日本の高速道路とほとんど変わらないのだが、唯一違うところは周囲の山にバナナとサボテンが自生しているところ。南国風だ。あと山の形がなんかおかしい。おかしいっていうか断崖絶壁。

各地へ向かう長距離バス、特に国境越えていくようなバスもここでは何台か見かけた。南米の各国を長距離バスでめぐる旅とか楽しそうだよねー…。

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そんなわけでバルパライソにさくっと到着。
街並みが世界遺産らしいんだけど、正直どこらへんが遺産なのかよーわからん、ちょっとごみごみした下町って感じだ。

雰囲気はサンティアゴをせまくした感じただ、ここにはサンティアゴにはない庶民っぽさがあり、アンデス山脈さんの圧迫感がないかわりに海に開けた開放感がある。

ちなみにバルパライソの「バル」はバレー=谷、パライソはパラダイスのことらしい。バルパライソ=天国の谷。最初に移住した人が「とりあえず縁起のいい名前つけどばいいだろ」と考えたのが目に浮かぶようだ。

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港大航海時代に栄えた港町は今も貿易港として健在。
沢山のコンテナが積み下ろしされている港、物資を運ぶトラック。
港のあるあたりが、もともと町として栄え始めたころにできた街並みで、バス停や国会議事堂のある辺りは新しくできた町なのだそうだ。

で、お金持ちほど海沿いに住み、お金ない人ほど山のほうの不便な土地に住むんだそうで、町には階層社会が出来ている。

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びっしりと山の上のほうまで家がびっしり。人口密度がめっちゃ高い。

落書きなどで有名なのが山の上のほうなので、観光客が貧困街に迷い込んでカツアゲされることもあるようだ。それで危ない町という印象を持たれているようだが…。まぁ町中は至って普通。

中には日本のマンガやフィギュアを売っている店もあり、メインストリート沿いの店を覗いて歩くだけでも楽しい。

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あんまり素敵とは…有名なバルパライソの落書き。こんなかんじ。
自分があんまりこういうポルノグラフィティ系のアートに興味ないんで、どこがいいのかはイマイチわからず。上手いとは思うけど。別に無くてもいいんじゃね… とか思ってしまう。

あちこち落書きが無秩序に存在して、どこ写真に撮ってもあんまり美しくないというか、歴史的な街並みって感じにならなかったのはちょっと残念。旅行パンフの写真は、プロが上手に撮ってるんだねたぶん。


市場のあたりは興味深い文化を見ることができる。

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サンティアゴ同様ここも食料品を売る店が一箇所に集中していて、かなり大胆かつテケトーに品物を山積みして売っている。

後ろの黄色い建物の中がまるごと市場になっていて、ここもデカいカボチャやアボカド山積み。庶民の豪快なお買い物風景が楽しめる。

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大胆に山積みで売られるウニ…。



ただ、この一角は売れ残りの腐った野菜や魚のアラがそのへんの道路にテケトーに放り投げられていて、汚さも半端ない。この豪快さが南米らしくて私は好きなんだが、人混みが多くて油断してる人はスリとかあいそうだし、他の人にはお勧めしない…。

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と、そうこうしているうちにイベントが発生。
わらわらどうやらこの日は学生による大規模デモの日だったらしく、海軍本部が学生の群れに囲まれてしまっていた。

教育改正のデモだとかで。
道が封鎖されはじめたので隣の町ビーニャ・デル・マルへ移動。

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きれいな電車リゾート都市ビーニャ・デル・マルとバルパライソの間は、海岸通りの電車でつながれている。電車はサンティアゴ同様にフランス製の最近できたもの。海沿いを走っていくので景色がいい。

…地震・津波の多いチリでこんなもん海岸に作って大丈夫なのかは心配なんだが。

町並みはビーニャのほうが綺麗。
レストランなども、バルパライソだと立ち食いの店ばっかりなのがビーニャだと座って食べられる観光客向けの店が多いので、ゆっくり休憩するならビーニャに移動したほうがいいと思う。

むちゃくちゃ見るものが山盛りというわけでもなく、日が暮れる前に撤収することも考えれば観光時間は町2つで一日あれば十分だ。

意外だったのは大統領官邸がビーニャにあったことで、国会議事堂は隣のバルパライソだし、チリって首都に政治機能置いてないんだなぁと…。
あれは何でなんだろうか。


で、最終日。
帰りにバスに乗ってサンティアゴ着いたら何故か吹雪でえらい目に遭う。おい、サンティアゴって冬でも雪ふらねーんじゃなかったのかよ…。

なんか20年かぶりの雪だったそうで、地元在住のキューバ人が「雪みたのはじめてなんですよー!」とかむっちゃ騒いでたけどそのうち寒すぎて大人しくなった。むしろ死ぬ。
空港行くまでの時間つぶしにアラメダ・バスターミナルと中央駅の間のショッピングモールで暖をとりつつ衣類など見ていたが、もともと雪降らない国だけあって厚手のセーターとか売ってない。ていうかコートも売ってない。町をいく人の防寒着はせいぜいがジャンパーとスカーフ、そら寒いやろな…。

ホットコーヒー飲みつつ、チェーンもつけずにノロノロ走る大渋滞と真っ白なアンデス山脈を眺めながら時間を潰し、その後は空港へ。
そして帰路は行きと同じくアメリカ経由で日本へ。

というわけで、最終日に欲しくもないのにチリから持ち帰ったおみやげは、止まらない鼻水だったとさ。
いやさすがに20年ぶりに雪が降るとか予想しませんから。コート持ってってませんから…。

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