「顔っぽい物体」はなぜか男性と判断されている。認知心理学として面白い研究

まずはこちらを見てもらいたい。よくある「顔っぽく見えるいろんなもの」の写真である。

face-pareidolia.jpg

これらの「顔」の年齢がいくつくらいに見えているのか、性別は男女どちら寄りなのか、表されている感情は喜怒哀楽のどれなのか。――つまりは、人間の脳が「顔」を「どう」認識しているのか、というのをアンケート調査が行われている。そして、出てきた結果がとても興味深いものとなっている。

Do you see faces in things?
https://www.uq.edu.au/news/article/2021/12/do-you-see-faces-things

結論から言うと、現時点での結果ではなぜか「男性寄り」。
しかも色合いを変えたり背景を変えたりしても、どれも男性と認識する人が多いのだというのだ。さらになぜか年齢は低めに見られることが多い、という。

論文
Illusory faces are more likely to be perceived as male than female
https://www.pnas.org/content/119/5/e2117413119

GraphShowingRatingsOfFaceRecognitionEmotionAgeAndGender.jpg

これは面白い。
「顔っぽいもの」を景色の中に見つけ出してしまうPareidolia(パレイドリア)現象の認知には、実は一定方向のバイアスがかかっている、という話だからだ。

ちなみに、「顔っぽいものが見える」現象は、かつては夏の特番でおなじみだった「心霊写真」でもよく使われていた。フォトショップが無かったような時代だと、なんの変哲もない写真のわずかな光の濃淡や、不明瞭に写り込んだ何かが「人間の顔に見える」というので盛り上がれたものなのだ。
ただ、心霊写真だと女性の霊っていうのが多かった気がする…。
あれは顔自体の造形が女性っぽいというよりは、影に長い髪の毛っぽいものが写っていたからだったんだろうか。


この研究はまだ続くらしいのだが、文化圏ごとの差異とかはありそうなので、ぜひほかの国でも試してみてほしいな。
アフリカとアジアとヨーロッパとか、全然違う結果になりそうな気もする。

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