世界各地の知られざる竹の仲間たち。「竹の文化誌」

発端→アマゾンの奥地で見つけた竹が現地原産の種類だった

アジアノイメージの強い竹だが、実は世界中に多種多様な種類がある。ぱっと見、竹っぽくないのもある。
竹を子供の頃から見慣れている我々日本人ですら、「…これ、竹なん??」ってなるような、カラフルだったり、一見草にしか見えなかったりするようなやつらも。
そんな竹についてある程度のことが判る、よさげな本をみつけた。

竹の文化誌 (花と木の図書館) - スザンヌ・ルーカス, 山田 美明
竹の文化誌 (花と木の図書館) - スザンヌ・ルーカス, 山田 美明

イギリス在住の人が書いているが、ヨーロッパには現在、自然に生えている竹は存在しない。
ゆえに園芸種などしか知らず、しかもイギリスの気候だと寒冷なので竹はそんなに増殖しない。もっさもさに茂った一面緑の竹も、増えまくって家を突き破る竹も知らないのか、若干、竹に夢を見すぎな感もあるところがある気もするが…まあ、そこはそれ、である。

各種の竹の生息分布図はこんなかんじである。

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日本に生えていない種類の竹もある、というのはびっくりする人もいるかもしれない。うんそう、草みたいなタイプの竹は日本にはないんだ…ていうかパタゴニアで見たイネっぽい茂み、この本の写真で見るとどうも竹の仲間だったらしく、「あれ竹だったんか」ってなった。そういや節っぽいのは確かにあった…あったが…言われないとわからん…。

竹というのは恐竜の時代から存在する古参植物なのだそうで、実に古い歴史を持ち、種類の分化も複雑なのだという。また花が毎年咲くものと、数十年に一度しか咲かないものがあり、後者は花での分類ができないため種の分類は難易度が高いらしい。研究が進みだしたのがここ数十年というのも納得できる。

この本はいちおう「文化誌」なので、竹を使った様々な工芸品や芸術、神話などの紹介がされているが、日本に住んでる人ならだいたいは知ってると思う。竹簡も、竹ひごも、竹かごも、たけのこ料理もかぐや姫伝説も。墨絵の竹や和歌も感じの竹へんも。半分くらいは知ってる内容だと思う。ただ残り半分の、アジア圏以外の竹に関する記述や、竹に依存する動物の生態などはとてもおもしろい。竹の中に溜まっ雨水にボウフラが湧いて作られる生態系とか、考えたことなかったな…。あとオラウータンって竹の葉食うんだ。

身近にあり、知っているはずなのに意外と知らない竹の世界。調べてみると、奥が深いのです。

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