強靭な胃袋がなければこの本は書けない…「ブルキナファソを喰う」
民族系の料理の食レポ本で、アフリカの食レポ「ブルキナファソを喰う!」を読んでみた。
読む前からだいたいどんな系統の料理が来るのかは想像がついていた。…コメに脂ぎったソースかかった大量なやつだ。…知ってる。何度か爆死したことある。
そして期待通りの料理が出てきた。
写真がカラーだともっとわかりやすかったのではー、と思うが、そこは出版の都合で仕方がなかったのかもしれない。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%BD%E3%82%92%E5%96%B0%E3%81%86-%E5%8F%A2%E6%9B%B8-%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96-%E6%B8%85%E6%B0%B4-%E8%B2%B4%E5%A4%AB/dp/4865550666
この本は、著者がどうしてアフリカに惹かれるようになったのか、なぜブルキナファソをフィールドとして通うようになったのか、などから始まって、後半で食レポや、少しマジメに政治や歴史の話なども出てくる。
いくつか自分が食べてみたことのある料理も出てきたが、アレ完食できるのは相当の猛者。著者はかなりの健啖家だと思われるので、書かれている内容をそのまま信用してはいけない(笑) 「コメで腹一杯になった」と書いてある箇所は、おそらく2-3人いないと食べきれない量であり、一度食ったら丸一日動けないくらいになるはず。あと脂で腹壊す。私がそうだったからな!!!!!!! いや無理だから!!!!!!!! とくべつ胃腸が弱いわけではないはずなんだけど、うん。…無理なものは…無理です…。
ただ、分かる部分もある。確かに、やたら美味しい、味の遭う店とふと出会うことはある。
魚の素揚げ、コメにトマトソースからめた何か、やたら煮込まれた牛肉、それらがバーンと乗っかったワンプレートの定食、たまには食べてみたく思うこともある。
たぶんアジアの屋台にハマる人の感覚と似ている。独特の雰囲気と体験がある。行った国は違うし、滞在期間も全然違うけど、ああ、ここは分かるな…みたいな箇所があちこちにあった。
ガタイのいい男性に生まれていたら、もっと若い頃に無茶してあちこちバックパッカーも出来たのかなあ。などと今更思ってみた。(まぁ、子供と間違われるちっこい女だからこそ出来たこともあるんだが。)
という個人的な感傷はおいといて、中でも面白かったのは、アフリカ、特に西アフリカでは、伝統的なソルガムやミレットといった穀物の消費量が年々減っており、代わりにコメの消費量が増えている、一番良く食べられているのはメイズ(トウモロコシ)、というところだ。
どうもソルガムやミレットは下ごしらえが面倒らしく、コメなら「市場に精米されたの売ってるから水入れて炊けばOKで楽」らしい。あとトウモロコシに至っては、とりあえず蒸しとけば食えるしスープの具にも出来るし、栽培もコメより楽なのでよく食べられているのだという。
コメはアジアからの輸入が多いらしく、現地原産のアフリカ米ではなく、自分たちでは作らないという。
アフリカも、食のグローバル化に取り込まれているのだ。
※このあたりは、農水省が出している資料に詳しい。
https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/project/attach/pdf/180300_29cr08_05.pdf
あと、アフリカの米栽培を日本が支援している、という話は、以下でも書いた。
エチオピア・タナ湖近辺で作られているコメ、実は日本の支援で作付けされるようになったものかもしれない
https://55096962.seesaa.net/article/201906article_3.html
ヤムいもについては、米と同じく西アフリカ原産で現地で栽培化された種類がある。
アフリカの「肥沃な三日月地帯」、ヤムいもの起源を求めて
https://55096962.seesaa.net/article/201906article_2.html
日本では、伝統食だったコメの消費量が年々減り続けているというのに、アフリカでは年々上がっている、という面白さ。
さらに日本のコメはアジアへ高級米として輸出され、アジアのコメはアフリカへ廉価米として輸出されているという玉突きの状況。こんなところにもサプライ・チェーンが存在するんだ、ということを学んだ。
ある場所の「食」が、その国やその地域だけで完結していることは、今では殆どなくなった。それはアフリカ内陸でも、特に都市部では同じことで、よほどの田舎とか、他の地域と隔絶された場所でもなければあり得ないことになっている。この世界は、既にそうなっているのだ。
ウクライナとロシアの戦争によって小麦が輸出されなくなり、輸入に頼っていたエジプトやレバノンのような国が主食を失ったり、世界的な小麦高が発生したりしているが、それは何も小麦ひとつに限ったことではない。コメやトウモロコシ、ジャガイモなどの他の主食穀物も、副菜となる肉や野菜も、全部そう。
このサプライ・チェーンが崩れると、先進国と言われている国でも普通に飢餓状態に陥るし、食料自給率高めの国でもわりと厳しくなりそう。
ちなみに以前チベットに行った時にも、普通にトウモロコシやジャガイモは食卓にのぼっていた。
改めて、グローバル時代の食というものを考えさせられたのであった。
読む前からだいたいどんな系統の料理が来るのかは想像がついていた。…コメに脂ぎったソースかかった大量なやつだ。…知ってる。何度か爆死したことある。
そして期待通りの料理が出てきた。
写真がカラーだともっとわかりやすかったのではー、と思うが、そこは出版の都合で仕方がなかったのかもしれない。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%BD%E3%82%92%E5%96%B0%E3%81%86-%E5%8F%A2%E6%9B%B8-%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96-%E6%B8%85%E6%B0%B4-%E8%B2%B4%E5%A4%AB/dp/4865550666
この本は、著者がどうしてアフリカに惹かれるようになったのか、なぜブルキナファソをフィールドとして通うようになったのか、などから始まって、後半で食レポや、少しマジメに政治や歴史の話なども出てくる。
いくつか自分が食べてみたことのある料理も出てきたが、アレ完食できるのは相当の猛者。著者はかなりの健啖家だと思われるので、書かれている内容をそのまま信用してはいけない(笑) 「コメで腹一杯になった」と書いてある箇所は、おそらく2-3人いないと食べきれない量であり、一度食ったら丸一日動けないくらいになるはず。あと脂で腹壊す。私がそうだったからな!!!!!!! いや無理だから!!!!!!!! とくべつ胃腸が弱いわけではないはずなんだけど、うん。…無理なものは…無理です…。
ただ、分かる部分もある。確かに、やたら美味しい、味の遭う店とふと出会うことはある。
魚の素揚げ、コメにトマトソースからめた何か、やたら煮込まれた牛肉、それらがバーンと乗っかったワンプレートの定食、たまには食べてみたく思うこともある。
たぶんアジアの屋台にハマる人の感覚と似ている。独特の雰囲気と体験がある。行った国は違うし、滞在期間も全然違うけど、ああ、ここは分かるな…みたいな箇所があちこちにあった。
ガタイのいい男性に生まれていたら、もっと若い頃に無茶してあちこちバックパッカーも出来たのかなあ。などと今更思ってみた。(まぁ、子供と間違われるちっこい女だからこそ出来たこともあるんだが。)
という個人的な感傷はおいといて、中でも面白かったのは、アフリカ、特に西アフリカでは、伝統的なソルガムやミレットといった穀物の消費量が年々減っており、代わりにコメの消費量が増えている、一番良く食べられているのはメイズ(トウモロコシ)、というところだ。
どうもソルガムやミレットは下ごしらえが面倒らしく、コメなら「市場に精米されたの売ってるから水入れて炊けばOKで楽」らしい。あとトウモロコシに至っては、とりあえず蒸しとけば食えるしスープの具にも出来るし、栽培もコメより楽なのでよく食べられているのだという。
コメはアジアからの輸入が多いらしく、現地原産のアフリカ米ではなく、自分たちでは作らないという。
アフリカも、食のグローバル化に取り込まれているのだ。
※このあたりは、農水省が出している資料に詳しい。
https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/project/attach/pdf/180300_29cr08_05.pdf
あと、アフリカの米栽培を日本が支援している、という話は、以下でも書いた。
エチオピア・タナ湖近辺で作られているコメ、実は日本の支援で作付けされるようになったものかもしれない
https://55096962.seesaa.net/article/201906article_3.html
ヤムいもについては、米と同じく西アフリカ原産で現地で栽培化された種類がある。
アフリカの「肥沃な三日月地帯」、ヤムいもの起源を求めて
https://55096962.seesaa.net/article/201906article_2.html
日本では、伝統食だったコメの消費量が年々減り続けているというのに、アフリカでは年々上がっている、という面白さ。
さらに日本のコメはアジアへ高級米として輸出され、アジアのコメはアフリカへ廉価米として輸出されているという玉突きの状況。こんなところにもサプライ・チェーンが存在するんだ、ということを学んだ。
ある場所の「食」が、その国やその地域だけで完結していることは、今では殆どなくなった。それはアフリカ内陸でも、特に都市部では同じことで、よほどの田舎とか、他の地域と隔絶された場所でもなければあり得ないことになっている。この世界は、既にそうなっているのだ。
ウクライナとロシアの戦争によって小麦が輸出されなくなり、輸入に頼っていたエジプトやレバノンのような国が主食を失ったり、世界的な小麦高が発生したりしているが、それは何も小麦ひとつに限ったことではない。コメやトウモロコシ、ジャガイモなどの他の主食穀物も、副菜となる肉や野菜も、全部そう。
このサプライ・チェーンが崩れると、先進国と言われている国でも普通に飢餓状態に陥るし、食料自給率高めの国でもわりと厳しくなりそう。
ちなみに以前チベットに行った時にも、普通にトウモロコシやジャガイモは食卓にのぼっていた。
改めて、グローバル時代の食というものを考えさせられたのであった。