蝶の羽根の色は曜変天目に似ている。自然界の「美」と人工の「美」の違いとは

5月目前ともなれば春生まれの蝶も舞い始める頃。晴れた日に外に出ると、優雅に花々の間を舞っている蝶たちの姿が見られるようになった。
それでなんとなく眺めていて、ふと、曜変天目っぽい蝶がいるな、、、と気がついた。

ルリタテハである。

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写真だけだと全然伝わらないが、この蝶は羽根に瑠璃色の筋を持ち、その部分は、光の当たる加減によって深い群青色にも、明るい浅葱色にも、ほぼ白のような色にも見える。蝶の羽根の色は鱗粉の複雑な発色と光の反射によって、人間の目から見るとなんとも言えない色合いになる。その、微妙で光によって色合いを変えるのが、曜変天目に似ていると思ったのだ。

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国宝になっている曜変天目は三碗あり、それぞれに発色や雰囲気が異なるが、藤田美術館が所蔵するものと、大徳寺龍光院の所蔵するものの中間あたりがルリタテハの色合いな気がした。鱗粉のつぶつぶ具合や、光の角度による煌めきといった神秘的な雰囲気は、面白いほどリンクしている。

人工物の美は、常に自然界の造形物の美に追いつき、追い越そうとして発展してきたものだが、まさか茶碗と蝶の羽根が似ているとは最近まで気づいていなかったので、自分でも面白いなと思った。


ただし、違いもある。
茶碗の美は固定して愛でられるが、蝶は常に羽ばたき動き続ける。
茶碗は割れてしまえばそれまでだが、蝶は毎年何度も新しい羽根で生まれ来る。

人の手で作られた造形物は長く保存出来るけれど脆く、生物の美は儚いけれど毎年のように再生を繰り返えす。その違いもまた、気づいてみれば興味深い。