ピラミッドの製造技術の「意味在る手抜き」。日干レンガで作られたピラミッドでも後世には残るという話

古代エジプトのピラミッドは、最初は全て石材で作られていたのだが、だんだん小型化して、しかも石材は玄室周りと表面だけに使われるようになっていく。
…という工法の変遷の話は別で読んでもらうとして、フル石材ではなく日干レンガを芯に使うようになった時代のピラミッドは、概して残りが悪い。後世に石材が転用されてしまったあと、中身の日干レンガが雨風にさらされて少しずつ泥に戻っていってしまうからだ。
具体的に言うと、こうなる。

1024px-Pyramid_of_Teti_2010.jpg

247407.png

うん、ただの山だね?!
よーく見ないと、レンガ積みが埋もれているのとか、きっちり四角錐の形になっているのとかに気づかない…。

みんながイメージする石材だけで作られた巨大なピラミッドは第四王朝。この、ほとんど土の山と化してしまったピラミッドは第六王朝。
コストカットしたピラミッドが作られるようになったのは、前の王たちが良質な石材を使いまくったせいでの石材不足、財政負担が大きすぎる、あるいは太陽信仰のあり方の変化などが理由として挙げられることが多い。
いずれの理由にしても、全て石材でガッチリしたピラミッドを作る必要性が薄れていた時代なのだ。

だが、意外にも、この第六王朝の日干レンガ・ピラミッドは、けっこう残っているのである。


テティ王のピラミッド内部
In_the_Pyramid_of_Teti_2.jpg

ペピ1世のピラミッド内部
pepi-i-burial-chamber_med_hr.png

メルエンラー王のピラミッド内部
merenre-i-burial-chamber_med_hr.png

そう、地上部分が日干レンガでも、玄室周りだけはちゃんと良質の石材で丁寧に組んでいるのだ。
玄室と棺の形が残ってて、壁に残されたピラミッド・テキストが読めれば、地上部分が崩壊してても、墓としての役割は十分果たせている。手抜き工法と見せかけて、実は手をかけるべきところにはちゃんと手をかけている計画的コストカットなのでは…? と思うのだ。ていうかてずれの王も棺の部分だけは巨大な硬い一枚岩から掘り出しているので、墓作りに手間と金をかけてるのは間違いない。

現在残っている姿がただの土塊だからといってナメてはいけない。
何しろ、作られてから四千年も経っているのだ。実は形が残っててまだ名前とは読める、って時点で他の文化圏に比べて相当頑張っている(埋葬にめちゃめちゃ労力かけてる)と思うのだ…。