日本全国にある犬の像にまつわるエピソードと、地元にあるあの像の意外な真実。

図書館でゴソゴソしてたら犬の像の来歴集めた本があったので、おっ読んでみるかーと読んでみた。
日本各地にある、「忠犬」または「著名な犬」の像の紹介をしている本である。著名な犬、としたのは、たとえば、南総里見八犬伝に出てくる八房のような、忠犬というにはちょっと違う、しかも実在しない犬も入っているから。ハチ公の像は有名だが、他にも、古いものから新しいものまで、全国各地に様々な来歴の犬の像があるのだ。

全国の犬像をめぐる: 忠犬物語45話 - 健二, 青柳
全国の犬像をめぐる: 忠犬物語45話 - 健二, 青柳

ぱらばらと見ていくと、実に様々な来歴があることが分かる。
警察犬や消防犬、学校や特定の場所など地域で愛された地域犬、弘法大師を救ったと言われる犬。豊臣秀吉がかわいがった、など、著名人に付随して有名になった犬の像もある。

で、私が目に留まったのはモラエス像の隣の犬である。
モラエスは、徳島市に住んでそこで没したポルトガル人。生前はあまり評価されていなかったようだが、今では、郷土史の授業などでも習うし、記念碑や記念館もあるので、地元民なら名前を知らない人はいない。

徳島の盆踊り―モラエスの日本随想記 (講談社学術文庫) - W.de モラエス, Moraes,Wenceslau de, 多希子, 岡村
徳島の盆踊り―モラエスの日本随想記 (講談社学術文庫) - W.de モラエス, Moraes,Wenceslau de, 多希子, 岡村

近年になって建てられた「モラエス像」には、隣に犬が建っている。
彼の書き残した本にはべつに犬が好きだったという話は出て来ないたのが、知らないだけでどこかに縁のある犬でもいたのかな、と漠然と思っていた。
なのだが…。

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なんと、この犬、なんの縁もゆかりも無かったのである。

「えっ…?」という感じだが、それについては、著者のブログにも書いてあるとおりだ。

【犬狼物語 其の六十四】 徳島県徳島市 モラエスと犬の像
http://asiaphotonet.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-4bc1.html

"この像を見て、よほどのひねくれ者でない限り、きっとこの犬はモラエスさんの愛犬なのだろうと思うと思います。

それでそれを確かめようと思い、市役所を訪ねました。でも、犬がどういった犬なのかは、知られていませんでした。

職員の人たちはいろんなところに電話してくれて、その中で、徳島日本ポルトガル協会で聞いた情報は、衝撃的なものでした。

それはモラエスさんは、猫好きであったらしいということなのです。猫を飼っていたという記述はあるそうですが、犬を飼っていたという証拠はないということでした。だから犬は、モラエスさんの愛犬ではないようだということがわかったのです。"


「え…そう…なんだ…。」という感じである。
いや、イッヌ連れて微笑ましい像やな~くらいに思ってたのに、まさかの…まさかの「像一体だけだと寂しそうだから像の作者が足してみた」っていう関係ない犬だった…。

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これはつらい!!
次回帰郷したとき、この像をどんな顔して見ればいいの。

著者の人が書いてるとおり、孤独に遠い異国で亡くなったモラエスが一人で寂しくないように、と付け足されたものだと想像して、なんとか納得するしかない。
南米の神話では、犬は魂の導き手であるという。死者は犬に導かれてあの世まで旅をするという。
ならば、この犬はきっと、迷えるモラエスを遠い故郷まで導いてくれた犬なのだ。

なんか、そういうことにしておきたい。