古代エジプトのオリーブ絞りは現代とほぼ同じ、ただし手作業なので結構な力技だった

古代エジプトでは、古王国時代のピラミッドを作ってた時代からオリーブオイルが使われていた。
もともとはギリシャから渡ってきたもののようだが、どこか果樹園のようなところで栽培し、王家など地位のある人々がほぼ独占していたらしい。物証としてゴミ捨て場から炭化したオリーブが見つかっていたりするが、それ以外では、墓の壁面に描かれた「オリーブ絞り」のシーンが知られている。

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こちらは貴族プイムラー(Puimra)のテーベ対岸の墓の壁画だが、古くは第四王朝のカフラー王の息子で宰相職にあったネベマケット(Nebemakhet)の墓から似た絵が存在する、という。
紀元前2500年頃なので、今からざっと4600年前。この時代のオリーブオイル製法とは、「何か布みたいなものでオリーブを包んで人力でギュギュっと絞る」という方法だったようなのだ。

そこで考古学者は、オリーブをまず砕いてキッチンタオル(もち米蒸す時に下に敷くようなやつ)で包んで絞ってみる、という方法で再現を試みているようだ。

Archaeologist seeks to recreate ancient Egypt’s 'torsion method' for olive oil production
https://www.egypttoday.com/Article/4/116629/Archaeologist-seeks-to-recreate-ancient-Egypt%E2%80%99s-torsion-method-for-olive

なお、現代のオリーブ絞りでは、最初は「砕く」「撹拌する」「種のカスなど固形物を選り分ける」からスタートしている。
だとすれば、この墓の壁画にあるのは、オリーブ油を絞っているシーンというよりは、固形物と油+水分の部分を分けているのではないかと思われる。

参考
https://www.ishinoss.jp/olive.html

そして、固形物と液体が分離できたら、今度は液体から余計な水分を取り除く。これは、時間が経つと水分や残った固形物が下に沈み、油が上に浮くという特性を利用する。
この写真を見ると分かるが、古代エジプト人が油を絞ったあと液体を入れているオイル壺が、まさにこの形状なのである。

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古代エジプト・カフラー王の時代も、現代も、使ってる道具が違うだけで、実はやってる工程は同じなのだ。
手作業でやるからオリーブの種まで砕けない、とか、布の目が粗いから固形物の取りこぼしが多い、とかくらいの違い。なので再現実験からなんとなく結果は見えているのだが、手作業で全工程やるのはとても大変だったろうな…と思うのだ。