「絵に描いたモチ」ならぬ「深海の財宝」。サン・ホセ号の財宝とその行方

2015年あたりに騒いでいた、超高額なお宝を積んだ沈没船の帰属の行方がまだ争われている、とニュースになっていた。
カリブ海に沈んだサン・ホセ号という300年以上前の難破船。かつての所属はスペイン。現在沈んでいる場所はカリブ海。そして積まれている財宝はカリブ沿岸のかつてのスペイン植民地から奪われたもの――。(さらに、最初に発見したのは自分たちだと主張するアメリカのサルベージ会社もいる)

・日本語記事だとこのあたりが概要をまとめている。

サンホセ号の最大級の財宝めぐり三者が名乗り
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/b/121000058/

・自分で書いた過去記事

コロンビアでスペインのガレオン船「サン・ホセ号」が新発見!→実は1982年にもう見つかってた
https://55096962.seesaa.net/article/201512article_7.html

ここで重要なポイントだが、実はこの船は最近見つかったものではなく、何十年も前に既に見つかっていたのだ。
ではなぜ今まで、騒ぐだけで誰も実際には引き上げなかったのか、というと、

沈んでいる場所が深すぎて、実際には引き上げが行えない

からだ。

この船がある場所は3,280 フィート、つまりおよそ海深1000mほどの場所であり、機材を入れるにしてもせいぜいカメラで映像撮ってくるか、リモートアームで一部の遺物をつまみあげて持ち上げるくらい。一気に大量に回収するなどは難しい。
そもそもこの深さまで降ろせる機材は数も数られるだろうし、調査も高額になる。
そしてコロンビア一国では、そこまでの機材も財力もない。
というか引き上げにかかるお金と、船の財宝とでトントンになる可能性すらある。つい最近、北海道の海深100mに沈んだ観光船を引き上げるのに、1回1.4億円かかったと報道されていたのを思い出してほしい。

沈没船の引き上げには、莫大な金がかかるのだ。


以下のコロンビア政府がアップしている動画を見てほしいのだが、真っ暗な深海に降りていく機械と、ライトが照らし出す海底の沈没船の姿がよく分かる。
この深さである。

Declaración del Presidente Iván Duque sobre el galeón San José - 6 de junio de 2022
https://www.youtube.com/watch?v=JB6-Zu7TcGo

345667711.png

なので、この話は沈没船のロマンだけでも、財宝を巡る人間同士の醜い争いというだけでもない。

・コロンビアは財宝があることは分かってるので所有権は主張しておかないといけない。ただし自国では引き上げは出来ない。
・スペインも当然、自国だけで引き上げるのがキツいのは知っているので、巧くコロンビアと折半できると一番いい。
・南米諸国は被害者ムーブをかまして、あわよくば引き上げがされた時におこぼれに預かりたい。
・最初に所有権を主張してたアメリカのサルベ会社も、うちが引き上げ請け負うから一部くれ! と言っていた

誰も一人では手を出せない状態で、財宝をうまく自分に有利に山分け出来ないか、みたいなのをずっと言いあってるんである。
まあそれはそれとして、沈んでる場所はコロンビアなので、今回みたいにコロンビアさんがちょっとずつでも情報公開してくれれば沈没船ファンや歴史ファンはそれなのに楽しめるのではないかと思う。

この沈没船の財宝が引き上げられるとしても、たぶんずっと先。
深海探査の技術や機材が充実するか、価格が下がってからか、あるいはコロンビアさんがいきなりお金持ちの独裁国家になるか…何か変化があってからになると予想しておく。