生命の冒涜か、新たな可能性か。「三倍体」海産物の台頭
デパ地下の海産物売り場に三倍体牡蠣が並んでいて「ん?」となった。少し前まで実験段階だったはずなのだが、いつのまにか広く流通するまでに実用化されていたらしい。
【研究報告】「交配×三倍体」で作られる新しい牡蠣品種。「収益改善×環境配慮」を実現するこれからの養殖業を支援
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000044483.html
三倍体というのは、染色体が3nの個体のこと。通常の個体は2nで、オスとメスからそれぞれnを1つずつ貰っている。これを特殊な処理によって染色体が3nの状態の個体を作り出した海産物が、最近ではトレンドなのである。
作り方は、海産物の種類によって異なる。
たとえばサーモンだと、こんな感じで「受精卵にストレスをかける」という方法。
https://www.pref.nagano.lg.jp/suisan/jisseki/salmon/dekirumade.html#:~:text=(1)%E6%99%AE%E9%80%9A%E3%81%AE%E3%83%8B%E3%82%B8%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%81%AE,%E5%80%8D%E4%BD%93%E3%82%92%E4%BD%9C%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
まだ実用化はされていないようだが、ウニだと、まず4倍体を作って人工的に2倍体と掛け合わせる方法が考案されている。
染色体の数が通常より多いということは、自然な生殖は不可能。つまり不妊個体となる。
生殖に栄養を使わない分、体が大きくなったり、旬の時期が長続きしたりするため、養殖して出荷するには都合がいい。また、養殖場から逃げ出した個体が野生のものと交雑する心配もないため、「環境にやさしい」などと謳われていることもある。
生殖、種の存続は、生命の第一優先事項である。
それなのに、食べるために人工的に生物を不妊化するわけだから、見方よってはなかなかの生命冒涜といえる。だが、この「三倍体海産物」は、最近では、何とSDGsだと言われている。海の生物を乱獲することなく食を賄えるから、ということらしいのだが、「持続可能…とは…???」みたいな、煙に巻かれた気分にもなる(笑)
いや、たしかに、野生の海洋生物は守られるんだけど。
これはこれで…。
ただ、見方を変えれば、これは人類が「海洋生物の家畜化」という新たなステージに挑戦した結果とも言える。
ウシやウマ、ニワトリなど、家畜化された動物たちは、既に元の野生種とは似ても似つかぬものとなり、カイコのように人間の助けなしに繁殖出来ないものもいる。三倍体の海産物は、まさに陸上の家畜たちと同じ道を辿ろうとしている。
三倍体の海産物が秘めた可能性は大きい。
いつか、寿司屋に並ぶ海産物の多くが、養殖/家畜化された海産物になる日も、来るのかもしれない。
【研究報告】「交配×三倍体」で作られる新しい牡蠣品種。「収益改善×環境配慮」を実現するこれからの養殖業を支援
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000044483.html
三倍体というのは、染色体が3nの個体のこと。通常の個体は2nで、オスとメスからそれぞれnを1つずつ貰っている。これを特殊な処理によって染色体が3nの状態の個体を作り出した海産物が、最近ではトレンドなのである。
作り方は、海産物の種類によって異なる。
たとえばサーモンだと、こんな感じで「受精卵にストレスをかける」という方法。
https://www.pref.nagano.lg.jp/suisan/jisseki/salmon/dekirumade.html#:~:text=(1)%E6%99%AE%E9%80%9A%E3%81%AE%E3%83%8B%E3%82%B8%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%81%AE,%E5%80%8D%E4%BD%93%E3%82%92%E4%BD%9C%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
まだ実用化はされていないようだが、ウニだと、まず4倍体を作って人工的に2倍体と掛け合わせる方法が考案されている。
染色体の数が通常より多いということは、自然な生殖は不可能。つまり不妊個体となる。
生殖に栄養を使わない分、体が大きくなったり、旬の時期が長続きしたりするため、養殖して出荷するには都合がいい。また、養殖場から逃げ出した個体が野生のものと交雑する心配もないため、「環境にやさしい」などと謳われていることもある。
生殖、種の存続は、生命の第一優先事項である。
それなのに、食べるために人工的に生物を不妊化するわけだから、見方よってはなかなかの生命冒涜といえる。だが、この「三倍体海産物」は、最近では、何とSDGsだと言われている。海の生物を乱獲することなく食を賄えるから、ということらしいのだが、「持続可能…とは…???」みたいな、煙に巻かれた気分にもなる(笑)
いや、たしかに、野生の海洋生物は守られるんだけど。
これはこれで…。
ただ、見方を変えれば、これは人類が「海洋生物の家畜化」という新たなステージに挑戦した結果とも言える。
ウシやウマ、ニワトリなど、家畜化された動物たちは、既に元の野生種とは似ても似つかぬものとなり、カイコのように人間の助けなしに繁殖出来ないものもいる。三倍体の海産物は、まさに陸上の家畜たちと同じ道を辿ろうとしている。
三倍体の海産物が秘めた可能性は大きい。
いつか、寿司屋に並ぶ海産物の多くが、養殖/家畜化された海産物になる日も、来るのかもしれない。