古代エジプト:プトレマイオス朝の神官たちのあり方について

少し前の記事だが、ウロウロしていたら見つけたのでメモしておく。
プトレマイオス初期の神官たちが神職以外のパートタイム的な仕事をしていたのでは、という研究だ。

Egyptian priests worked part-time, researcher finds
https://scienceinpoland.pap.pl/en/news/news%2C84003%2Cegyptian-priests-worked-part-time-researcher-finds.html

678900.png

やってた仕事としてはミイラづくりや鍛冶職、農園経営などのようだが、知識や技術がないと出来ない特殊職、あるいは文字の読み書き必須の職業なので、知識人がほぼ神官しかいない世界だと神官職と兼任は理解できる。
ただ、これ、たぶん現代の聖職者と比較してしまっているのが問題で、状況としては中世のキリスト教修道院に近いのではないかと思う。修道士たちも、修道院に付随する農園を経営し、ワインづくりなどの特殊技能を使って収入を得ていた。

古代エジプトの神殿は直轄地を持っており、荘園制度に近かったようなので、現代と比較するよりは中世だろうなと思う。


なお、類似する研究に、プトレマイオス朝の半ばで、神殿に一般人が自分の意志で「奉仕」に出られるという制度があった、というものがある。これは神殿が労働力として人を雇う権限を持っていたという話で、ここでも、いわば「企業」のような働きをしていたことが読み取れる。

プトレマイオス朝のエジプト人が神殿を労務からの避難所として使っていた可能性について
https://55096962.seesaa.net/article/202105article_12.html

古い時代は分からないが、少なくとも末期王朝以降の古代エジプトの神殿は、聖と俗の入り交じる場所だった、と理解しておくのが妥当だろうなと思う。