エジプト、発電大国へ。何といっても太陽が…輝いてるから…

エジプトはかつて、ナイル川に作った巨大なダムらか得られる水力発電にかなり依存していた。
国内で産出した石油を使った火力発電を足しても需要をまかない切れず、停電が頻発していた時代もあった。しかし、もはやそれは過去のものになろうとしている。

エジプトからスーダンへ売電開始、太陽光・風力発電が増加
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/01d633de3a96bf15.html

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ひとつは、ここ5年くらいで頻繁に報道されるようになった、大規模な太陽光発電施設の増加。
以前書いた記事が以下。

200年後、いつか遺跡になるこの場所。エジプトの世界最大規模の太陽光発電施設
https://55096962.seesaa.net/article/201908article_3.html

何しろ年間降水量が0に近い地域すらあり、国土の大半が人の住んでいない砂漠なのだ。太陽光パネルを見渡す限りの一面に並べたって誰も文句言わない。そりゃ効率もいい。

さらに最近では、紅海沿岸に風力発電設備もたてている。砂漠だと風がない時間も長いし、春には砂嵐が起きるので設備が壊れる可能性がある。その点、海沿いなら、海風がほぼ常に吹いているし、場所的にハリケーンもほぼ来ない。

たとえば以下のような場所に作られていて、日本も出資している。
https://www.jica.go.jp/oda/project/EG-P33/index.html

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https://www.toyota-tsusho.com/press/detail/191206_004521.html

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エジプトはある意味、太陽光発電と風力発電のボーナスステージみたいな国なのだ。
かつての電力不足がまるで嘘のように、今では余剰電力を輸出できるまでになろうとしている。そして、相対的にナイルの水力発電の重要性が低下しようとしている。

かつてのエジプトは、ナイルが無ければ文明活動の出来ない国だったのだが…。
新首都をナイルから離れたところに移転する件もそうだけど、こんなところでもナイル離れが進んでいるんだよなあ、とシミジミと思ってしまう。


なお、エジプトさんはロシアさんの協力を得て、去年あたりから原子力発電にも手を出そうとしている。
ナイル川にあるアスワン・ハイ・ダムもロシア(というかソ連)の支援だから、昔からの縁ではあるのだが…。なんていうか、ロシアさんとの対立を選んだヨーロッパがエネルギー危機の一方、仲良く握手してる国のほうは余裕しゃくしゃくなの、文明の発展や生存と、倫理的なお題目の両立って難しいよね…と思ってしまうところである。いろんな意味で。

#皮肉