「小さなヒト」の島の「巨大な鳥」。フローレス島の巨鳥L・ロブスタスは飛べた可能性が示唆される

レプトプティロス・ロブスタスとは、現在のインドネシアのフローレス島で骨が見つかっている、既に絶滅した巨大なコウノトリの仲間だ。
高さが成鳥で1.8mほどとかなり巨大であり、2010年の発見当時はモアやドードーのような「島で特殊化した飛べない鳥だろう」と推測されていた。それが、新しく見つかった骨の分析によって、翼に退化の兆候が見られないこと、十分な飛行能力を有していたと思われることから、「上昇気流などを利用すれば飛べた可能性が高い」と結論付けられた。

フローレス原人がいた島の巨鳥は空を飛べた、定説覆る新発見
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/071900327/?P=1

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※この記事ではタイトルが「空を飛べた」になっているが、出た論文では「飛べた可能性が高い」までである。当たり前だが、実物の鳥が生き残っているわけでもなく、骨の分析に過ぎないので、飛べたことを証明し切ることは出来ない。また、複数個体が見つかるうちに、「絶滅前には飛べない方向に衰退していた」などが明らかになる可能性もある。

※そもそも発見されたのが2010年、しかも前回は不完全な骨格しか見つかっていなくて、「飛べなかったのでは?」くらいのニュアンスに見えるので、「定説が覆る」というほど定説化してもいない。あまり深く考えずテンプレに沿っただけと思われる。

ちなみに元論文はこちら。

More bones of Leptoptilos robustus from Flores reveal new insights into giant marabou stork paleobiology and biogeography
https://royalsocietypublishing.org/doi/full/10.1098/rsos.220435

やってることは、L・ロブスタスの骨と、近縁種の骨の比較。ここから、「飛べた可能性が高い」と導き出しているわけだ。
さすがに6万年以上も昔の骨だと、残りがいいと言っても全身骨格が余すところなく手に入っているわけではない。関節部分の形状や骨の大きさ、長さなどを推定することは出来るが、抜け落ちている情報もあるはずだ。

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現代に生き残っている巨大な鳥、たとえばアホウドリなども、長い助走をつけて風の助けを借りて舞い上がる。
体重が推定16キロもあるんだから飛ぶの苦労するのでは? というのはさておき、現状ではこのような結論になっている。ちなみに骨から、アフリカからユーラシア大陸にかけて骨が見つかっている類似の種 Leptoptilos falconeri  から派生した種ではないかというのも示唆されている。だとしたら、現代に生きるこいつらの仲間である。

https://en.wikipedia.org/wiki/LeptoptilosLesser_adjutant.jpg

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復元図もそういう感じで描かれているが、まぁうん…まぁうん…これが1.8m…上から見下されるんだ、へえ…(ガクガク

で、ここからが本題になるのだが、元記事のタイトルになっている「フローレス原人がいた島の巨鳥」。
フローレス原人というのは、7-8万年前までインドネシアのあたりに生息していた、小型のヒトである。ホモ・フロレシエンシスという名前で、背丈の小ささから、トールキンの有名ファンタジー「指環物語」にちなんでホビットと呼ばれるようになった。

参考:
「ホビット」と呼ばれる小型ホモ属の進化に新たな観点/現生人類との交雑と小型化への道
https://55096962.seesaa.net/article/201808article_13.html

人類学の論争:ホビットの祖先は「どこ」から来たのか? 「いつ」までそこにいたのか?
https://55096962.seesaa.net/article/487258390.html


現生人類とは直接繋がりのないホモ族なのだが、この原人の生息期間と、今回の巨大コウノトリの生息期間が重なっているのだ。
ホモ・フロレシエンシスは愛称が「ホビット」なところからも分かるように小型のヒトなので、L・ロブスタスよりもずっと小さい。
だとしたら、ハゲワシに狙われる子供の如く、こんな感じで襲われることもあったのでは…?

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このコウノトリは現代のアフリカにいる巨鳥たちと同じような腐食性で、死んだ動物を食べていたのでは? と言われているので、「ホビット」たちが巨鳥と戦っていた可能性は意外と低くない。しかも、もし彼らが上空から飛来してくる鳥だったとしたら、対処が難しかったのではないだろうか。

それとも、気性の粗さと集団戦で巨大コウノトリとも戦えていたのか…?
真実はまだ分からないが、これはなかなか想像力をかきたてられる話である。