本屋が何故かシベリア特集をやっていたので…。シベリアの歴史と「シベリア送り」の実体とは
シベリア特集やってたんですよね! 何故か!!
うんまあ、赤い本とかダイレクトにロシアの本とか並べたら政治的な意図がもにゅもにゅになるんで、いいチョイスかなと。
今回読んでみたのは、復刊の「シベリアの歴史」。元々がかなり古い時代に出されたものだが、扱っている情報は時事的なものではないため、今でも通用する内容になっている。
シベリアの歴史 新装版 - 加藤 九祚
シベリアについては少し前に「アジアとしてのシベリア」という本も読んだが、その時にシベリアの図を出した。
このオレンジ色で書いた「シベリア」部分と極東部分をこの本では扱っている。
スタートは紀元前1000年あたりの遺物からなので、いわゆる有史以前からだ。もっとも、人が最初に住み始めたのは、マンモス飼ってた数万年前になる。そのあたりは古代史なので、「氷河期の極北に挑むホモ・サピエンス」あたりの参考書をオススメしておく。
で、この本の真骨頂は、記述が先史時代からシームレスにロシア支配時代に入っていくところ。
ロシア人が入ってきたあと昔から住んでた先住民とどう関わっていくのか、どう人が入り込んできたのか。
だだっ広い永久凍土で砂金探しや鉱山採掘のために送り込まれた犯罪者たち、いわゆる「シベリア送り」の過酷さや、その実体。また「アジアの中のシベリア」でも触れられていた、ポーランドからの開拓移民の話も出てきた。
驚いたのはシベリア送りになった正味の人数で、これは民族比率変わるのも当然だなって規模だった。
南米に行ったヨーロッパからの移民の規模とあまり変わらないのではないかと思う。
ただ、送り込まれた人数のうち1/3から1/5くらいは道中で野垂れ死んだり、逃亡して行方不明になったりといつの間にか消えてしまったという。
またシベリア送りになった人々の大半が男性で、生活レベル的にも家族をもつことの出来ない余裕のない過酷な状況だったため、子孫を残すまでいかずに死に絶えた率も高そう。
一言で言うと、シベリア送りはマジでシベリア送りだなって感じ。
キツい。
そして、この本の最後で著者が思う「シベリアのこれから」が書かれているのだが、初版の時代が1963年なのである。
昭和38年、ロシアはシベリアに国力を費やして開発していくだろう、というその予想は…まあ、当たっていなくもないのだが…。
この本が出た当時、ソ連崩壊は何十年も先のことだった。
そしていま世間を騒がせている欧米vs露という事態も知るよしもない出来事だった。
過去から現在はたしかに繋がっているのだが、過去の時点で予測していた未来は、実際にそこにいる我々から見たものとはずいぶん違っているように思える。
最終章は、未来から見た過去への答え合わせをしながら読んで甘酸っぱい感覚を味わうのもいいかもしれない。
うんまあ、赤い本とかダイレクトにロシアの本とか並べたら政治的な意図がもにゅもにゅになるんで、いいチョイスかなと。
今回読んでみたのは、復刊の「シベリアの歴史」。元々がかなり古い時代に出されたものだが、扱っている情報は時事的なものではないため、今でも通用する内容になっている。
シベリアの歴史 新装版 - 加藤 九祚
シベリアについては少し前に「アジアとしてのシベリア」という本も読んだが、その時にシベリアの図を出した。
このオレンジ色で書いた「シベリア」部分と極東部分をこの本では扱っている。
スタートは紀元前1000年あたりの遺物からなので、いわゆる有史以前からだ。もっとも、人が最初に住み始めたのは、マンモス飼ってた数万年前になる。そのあたりは古代史なので、「氷河期の極北に挑むホモ・サピエンス」あたりの参考書をオススメしておく。
で、この本の真骨頂は、記述が先史時代からシームレスにロシア支配時代に入っていくところ。
ロシア人が入ってきたあと昔から住んでた先住民とどう関わっていくのか、どう人が入り込んできたのか。
だだっ広い永久凍土で砂金探しや鉱山採掘のために送り込まれた犯罪者たち、いわゆる「シベリア送り」の過酷さや、その実体。また「アジアの中のシベリア」でも触れられていた、ポーランドからの開拓移民の話も出てきた。
驚いたのはシベリア送りになった正味の人数で、これは民族比率変わるのも当然だなって規模だった。
南米に行ったヨーロッパからの移民の規模とあまり変わらないのではないかと思う。
ただ、送り込まれた人数のうち1/3から1/5くらいは道中で野垂れ死んだり、逃亡して行方不明になったりといつの間にか消えてしまったという。
またシベリア送りになった人々の大半が男性で、生活レベル的にも家族をもつことの出来ない余裕のない過酷な状況だったため、子孫を残すまでいかずに死に絶えた率も高そう。
一言で言うと、シベリア送りはマジでシベリア送りだなって感じ。
キツい。
そして、この本の最後で著者が思う「シベリアのこれから」が書かれているのだが、初版の時代が1963年なのである。
昭和38年、ロシアはシベリアに国力を費やして開発していくだろう、というその予想は…まあ、当たっていなくもないのだが…。
この本が出た当時、ソ連崩壊は何十年も先のことだった。
そしていま世間を騒がせている欧米vs露という事態も知るよしもない出来事だった。
過去から現在はたしかに繋がっているのだが、過去の時点で予測していた未来は、実際にそこにいる我々から見たものとはずいぶん違っているように思える。
最終章は、未来から見た過去への答え合わせをしながら読んで甘酸っぱい感覚を味わうのもいいかもしれない。