トンガ噴火で気候変動? その理由は火山性ガスではなくまさかの「水蒸気」

今年1月に起きたトンガの大噴火。
火山噴火は大量の火山性ガスを噴出するものだし、今回は成層圏まで到達するような大噴火だったので、寒冷化など気候変動に結びつく可能性はあるのでは…。と思っていた。

その研究で興味深い論文が出ていた。
今回の噴火は火山性ガスとしてはあまり出ていない。(おそらく海水に吸収されて放出されなかった)
ただ、海で起きたため、膨大な量の水蒸気が成層圏まで打ち上げられ、全世界で成層圏上の水蒸気量が5%以上も上昇している可能性があるのだという。

Water vapor injection into the stratosphere by Hunga Tonga-Hunga Ha’apai
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abq2299

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中の人がこのへんあまり明るくないこともあり、大気中の水蒸気計測のやり方などはいまいち理解できていない。
しかし、噴火後の状況からして海水がふっとばされたのは間違いないわけで、一瞬にして蒸発した水蒸気がどこへ行ったのかと言えば噴煙と一緒に上空に登るしかないので、大気圏に打ち込まれたというのは納得のいく内容だ。

その量はおよそ5000万トン分。
想像もつかない規模の水が上空へ移動していることになる。

問題は、これがどんな気候変動を起こすのかが分からない、ということだ。

微粒子が大気圏にとどまれば寒冷化する、というのはよく知られている。温暖化ガスなら温暖化する。しかし水蒸気は…?
論文では、水蒸気があるぶん成層圏は冷却され、逆に地表面は熱の放出が滞って温暖化するのでは、と推測されているが、それが正しいかも分からない。また水蒸気の場合は、どのくらい空にとどまるのかもデータがそこまで揃っていないように見える。

トンガの噴火はソニックブームが地球を何周もしたり、日本まで津波を到達させたりと有史以来では初の事象が多く観測された事件だったが、噴火によって生じる気候変動の方向性についても、まだまだ未知数なところのある「前代未聞」の興味深い噴火だったのだなと思う。