ヴァイキングの商業都市で見つかったガラスビースはローマ・ビザンツのモザイク画が原材料だった

ヴァイキングたちが作っていたガラス・ビーズの成分を分析したところ、ローマやビザンツから持ち帰ってきたモザイク・ガラスの破片が原料だった、という研究が出ていた。まさかのリユース品。ていうかモザイクガラスちまちま引っ剥がして使ってたんかい。っていうのは意外。

How Did Vikings Make Glass Beads?
https://www.archaeology.org/news/10877-221005-ribe-bead-workshop

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この話の前提となる知識は、「ガラス自体を精製するのと、精製されたガラスを加工するのは難易度が違う」ということだ。
ガラス自体を精製するほうが難易度が高く、良質な原材料があるところでないと出来ない。これはたとえば鉄や銅などでも同じで、金属自体を精製するのと、精製された金属を打ち延べて整形するのは工程も技術も別、ということである。

で、ヴァイキングたちは、ガラス自体の精製はしておらず、どこかで作られたガラスの元を加工してビーズにしていた。
その「元」は、何度もリユースされている通常のガラス製品ではなく、一回加工されたら長く飾られるモザイク画のテッセラ(細かく砕かれた色つきガラスの破片)のほうが品質が高かったので、そちらを使ったらしい、という話だ。

↓これが「テッセラ」
1024px-Tessel·les_de_vidre_de_mosaic,_segles_I_-_III_dC,_vil·la_Cornelius_de_l'Ènova.jpg

↓テッセラを並べて出来るモザイク画の例
arthur-brand-cyprus-mosaic-tease-super-169.jpg

参考

元から色のついてるガラスで、狙った色のものを集めて溶かしてビーズに再加工するだけなら難易度はそんなに高くはないがしかし、モザイクばらすのと色ごとに分けるのは面倒くさくなかったんだろうか…なんか、そんなことが気になってしまう…。

見つかった場所が商業都市ということで、おそらくこのビーズは交易品の一部だったのだろうが、リユース品で商品になるのはなんか面白いなと思ってしまう。

ちなみに、ローマのガラス生産は東地中海で盛んに行われていた。エジプトもその地域のうちの一つ。
もしかしたらヴァイキングたちの利用したガラスのどこかに、エジプト産も含まれていたのかもしれない。


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ローマン・ガラスの材料は何所から来たのか。地質学の知識で分析する新手法が公開される
https://55096962.seesaa.net/article/202007article_10.html

「ガラスの起源は古代エジプト」という不思議な説が出回っている件
https://55096962.seesaa.net/article/201610article_20.html