タイトルでだいぶ損してる気がするが中身は硬派「謎の海洋王国ディルムン」
「謎の古代文明」みたいなタイトルつけると途端に胡散臭くなるんすよね、まぁ分かる人なら出版社とかレーベルでテイスト分かるんだけども。
ちょっとタイトルで損してる感はあるが、内容的には年表や地図を多く使ってわかりやすく仕上げてくれていた。
謎の海洋王国ディルムン-メソポタミア文明を支えた交易国家の勃興と崩壊 (中公選書) - 安倍 雅史
同じ著者のレジュメとかはネットにも何本か落ちてる。
ディルムンとは何か、というと、メソポタミアとインダス地域の中間で海洋交易を担った国家。(現在のバーレーン) 最近まで正体不明だったのは確かなのだが。
http://jswaa.org/wp/wp-content/uploads/2022/03/9394f4f487ac1814c24a90d343684509.pdf
この本の内容がガチだなぁ…と思ったのは、本題の古代の話にはいる前に、現代の地理や風土の説明、バーレーンという国についての概要から入っているところ。
たとえば自分が古代エジプトの話を体系的にしようとする時なら、全く同じように現代のエジプトの話からはいると思う。どこにあって、どんな国で、どういう風景なのか。これが分からないと古代文明は生きた過去として、現代と連続する時間軸として想像出来ない。
雨量は極端に少ない島国ながら周囲を海に囲まれて湿度が高く暑いこと、地下に淡水を抱えているため湧き水が豊富なこと、かつて真珠産業で栄、その産業を日本の養殖真珠にぶっ壊されて石油や観光産業で頑張るようになったこと。
そこから、遺跡発掘の歴史へと入っていく。
ちなみに、忘れ去られていた"ディルムン"という古代の国がバーレーンにあったと特定され、学説として定着したのは、1950年代以降のことになる。再発見されたのは意外と新しい時期なのだ。
エンキ神の故郷ディルムンは何所にあったのか。「未知の古代文明ディルムン」を読んでみた
https://55096962.seesaa.net/article/202006article_13.html
で、ディルムンを海洋国家として成長させたのがアモリ人だったことが判明したのは、さらにごく最近のこと。
それまでは、埋葬様式が遊牧民っぽいしアモリ人関係してるかも、くらいだった。逆に言えば、ディルムンという国はすでにそこまで成り立ちや実態が分かってきているので、最近ようやく「謎」ではなくなった存在と言えるかもしれない。
で、この本でメモっておくべきなのは、このメソポタミアとの対比年表だと思う。
これがね…こうやって年代でまとめて並べるとめっちゃわかりやすいんね。メソポタミアの記録でディルムンの名前が出てくる時期と消えてる時期。
あと、インダス文明とのつながりについても。
これは本書内でも紹介されている「メソポタミアとインダスのあいだ」を読むとより分かりやすいと思う。
本書のあとがきにも書かれていた内容だが、文明は、一人では成長しない。
古代エジプト文明が隣のメソポタミアと随所で連動していたように、メソポタミアはペルシャ湾を通じてインダス文明と繋がったり、イランのエラムやその他、多くの周囲の異民族からの刺激を受けながら発展してきた。ディルムンも、そのつながりの上にある一つになる。
「文明の横のつながり」という概念は、21世紀的な、比較的新しい文明観だと想う。
ちょっとタイトルで損してる感はあるが、内容的には年表や地図を多く使ってわかりやすく仕上げてくれていた。
謎の海洋王国ディルムン-メソポタミア文明を支えた交易国家の勃興と崩壊 (中公選書) - 安倍 雅史
同じ著者のレジュメとかはネットにも何本か落ちてる。
ディルムンとは何か、というと、メソポタミアとインダス地域の中間で海洋交易を担った国家。(現在のバーレーン) 最近まで正体不明だったのは確かなのだが。
http://jswaa.org/wp/wp-content/uploads/2022/03/9394f4f487ac1814c24a90d343684509.pdf
この本の内容がガチだなぁ…と思ったのは、本題の古代の話にはいる前に、現代の地理や風土の説明、バーレーンという国についての概要から入っているところ。
たとえば自分が古代エジプトの話を体系的にしようとする時なら、全く同じように現代のエジプトの話からはいると思う。どこにあって、どんな国で、どういう風景なのか。これが分からないと古代文明は生きた過去として、現代と連続する時間軸として想像出来ない。
雨量は極端に少ない島国ながら周囲を海に囲まれて湿度が高く暑いこと、地下に淡水を抱えているため湧き水が豊富なこと、かつて真珠産業で栄、その産業を日本の養殖真珠にぶっ壊されて石油や観光産業で頑張るようになったこと。
そこから、遺跡発掘の歴史へと入っていく。
ちなみに、忘れ去られていた"ディルムン"という古代の国がバーレーンにあったと特定され、学説として定着したのは、1950年代以降のことになる。再発見されたのは意外と新しい時期なのだ。
エンキ神の故郷ディルムンは何所にあったのか。「未知の古代文明ディルムン」を読んでみた
https://55096962.seesaa.net/article/202006article_13.html
で、ディルムンを海洋国家として成長させたのがアモリ人だったことが判明したのは、さらにごく最近のこと。
それまでは、埋葬様式が遊牧民っぽいしアモリ人関係してるかも、くらいだった。逆に言えば、ディルムンという国はすでにそこまで成り立ちや実態が分かってきているので、最近ようやく「謎」ではなくなった存在と言えるかもしれない。
で、この本でメモっておくべきなのは、このメソポタミアとの対比年表だと思う。
これがね…こうやって年代でまとめて並べるとめっちゃわかりやすいんね。メソポタミアの記録でディルムンの名前が出てくる時期と消えてる時期。
あと、インダス文明とのつながりについても。
これは本書内でも紹介されている「メソポタミアとインダスのあいだ」を読むとより分かりやすいと思う。
本書のあとがきにも書かれていた内容だが、文明は、一人では成長しない。
古代エジプト文明が隣のメソポタミアと随所で連動していたように、メソポタミアはペルシャ湾を通じてインダス文明と繋がったり、イランのエラムやその他、多くの周囲の異民族からの刺激を受けながら発展してきた。ディルムンも、そのつながりの上にある一つになる。
「文明の横のつながり」という概念は、21世紀的な、比較的新しい文明観だと想う。