カナダ先住民と疫病死亡率。北米もかなりの影響を受けていた
なんとなく図書館で見つけて読み始めた「カナダ先住民と近代産業の民族誌」という本。
ざっくり内容を要約すると、鮭をとって暮らしていた河口の民のもとにヨーロッパ移住民資本の企業が入り込んで近代的な漁業スタイルが広まり、伝統が近代へ適合していったというものだった。

カナダ先住民と近代産業の民族誌―北西海岸におけるサケ漁業と先住民漁師による技術的適応 - 立川 陽仁
同じ「鮭をとる」という行為でも、カヌーで魚が来るのを待ちながらやるのと、エンジンつきの船で刺し網積んで魚のいる場所を探して漁労するのとでは全然意味が違う。また自分たちが食べるためにやるのと、販売するためにやる、または缶詰工場などに雇われてやる、というのでは立場も異なる。
伝統は連続していると言えなくもないが、中の意味合いは近代に合わせて変化しているのだという話だった。
で、その内容自体は、同じカナダで捕鯨しているイヌイットや、エンジンつきスノーモービルでアザラシ狩ってる部族とかの話で読んだことのある内容と類似していたので、ふーん、という感じだったのだが、興味深かったのがヨーロッパからの入植者が入り込んだあとの人口減少に関する記述。
結核や天然痘で人が減りまくったという話は知っていたのだが、実際の数で見るとなかなかのインパクトである。

三年で人口の2/3が失われ、百年後には1/10くらいになっている。これは黒死病クラスの災害が地域に降り掛かったということを意味している。
ちなみに、過去にはこんな研究もあった。これは古代と現代のDNAを比較しての分析だが、この結果とだいたい一致している数字が出てきているので、妥当な数字と思われる。
ネイティブなカナダ人の60%は移民後に死亡している、という研究
https://55096962.seesaa.net/article/201611article_22.html
あと中南米の人口減少についてはこちら。中南米でも同じく百年で人口が1/10くらいになっている。
スペイン人の南米開拓時における人口減少の資料その2
https://55096962.seesaa.net/article/200909article_5.html
16世紀にメキシコで流行した疫病は何だったのか。病原体の検出から辿る科学×考古学
https://55096962.seesaa.net/article/202110article_15.html
抗体の全くない病気に対する人間の抵抗力はこんなもんなんだな…と、改めて思ってしまった。現代なら助かる結核や天然痘でも、ほんの数百年前にはこれほど恐ろしい病気だった。今回のコロナ禍も、数百年前ならかなりの死亡者を出していたのだろう。(というか現代でも、国によっては100万人以上死亡しているわけだが…。)
未知の病原体との接触はやっぱ怖いよな、っていうのと、新大陸と旧大陸の接触による影響は北米も南米も同様に大きいなっていうのを改めて認識した次第である。
ざっくり内容を要約すると、鮭をとって暮らしていた河口の民のもとにヨーロッパ移住民資本の企業が入り込んで近代的な漁業スタイルが広まり、伝統が近代へ適合していったというものだった。

カナダ先住民と近代産業の民族誌―北西海岸におけるサケ漁業と先住民漁師による技術的適応 - 立川 陽仁
同じ「鮭をとる」という行為でも、カヌーで魚が来るのを待ちながらやるのと、エンジンつきの船で刺し網積んで魚のいる場所を探して漁労するのとでは全然意味が違う。また自分たちが食べるためにやるのと、販売するためにやる、または缶詰工場などに雇われてやる、というのでは立場も異なる。
伝統は連続していると言えなくもないが、中の意味合いは近代に合わせて変化しているのだという話だった。
で、その内容自体は、同じカナダで捕鯨しているイヌイットや、エンジンつきスノーモービルでアザラシ狩ってる部族とかの話で読んだことのある内容と類似していたので、ふーん、という感じだったのだが、興味深かったのがヨーロッパからの入植者が入り込んだあとの人口減少に関する記述。
結核や天然痘で人が減りまくったという話は知っていたのだが、実際の数で見るとなかなかのインパクトである。

三年で人口の2/3が失われ、百年後には1/10くらいになっている。これは黒死病クラスの災害が地域に降り掛かったということを意味している。
ちなみに、過去にはこんな研究もあった。これは古代と現代のDNAを比較しての分析だが、この結果とだいたい一致している数字が出てきているので、妥当な数字と思われる。
ネイティブなカナダ人の60%は移民後に死亡している、という研究
https://55096962.seesaa.net/article/201611article_22.html
あと中南米の人口減少についてはこちら。中南米でも同じく百年で人口が1/10くらいになっている。
スペイン人の南米開拓時における人口減少の資料その2
https://55096962.seesaa.net/article/200909article_5.html
16世紀にメキシコで流行した疫病は何だったのか。病原体の検出から辿る科学×考古学
https://55096962.seesaa.net/article/202110article_15.html
抗体の全くない病気に対する人間の抵抗力はこんなもんなんだな…と、改めて思ってしまった。現代なら助かる結核や天然痘でも、ほんの数百年前にはこれほど恐ろしい病気だった。今回のコロナ禍も、数百年前ならかなりの死亡者を出していたのだろう。(というか現代でも、国によっては100万人以上死亡しているわけだが…。)
未知の病原体との接触はやっぱ怖いよな、っていうのと、新大陸と旧大陸の接触による影響は北米も南米も同様に大きいなっていうのを改めて認識した次第である。