【マジか】北海道の天然記念物「ヒブナ」、実は100年ほど前に新たに誕生した種だったことが判明

鮮やかな体色を持つ「ヒブナ」、色合いからして「金魚との交雑」説があったものの決定打もなく、「突然変異では?」と言われてきたのが、やっぱり金魚との交雑で、しかも100年ほど前に新たに誕生した種だったことがDNAの解析から判明。
種ってそんな簡単に発生するものなんだ? っていうのと、従来言われてきた「フナと金魚は交雑出来ない」っていうのは何だったの? っていう気持ち。

★京大のプレスリリース、これが分かりやすい

天然記念物ヒブナの起源を解明
―クローン繁殖のはずなのにキンギョと交雑―
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-10/221021_watanabe-4ed82cdccd46f6cd33d2aedb13277a8c.pdf

★もうちょっと詳しく知りたい人は論文のほうで読むといいかと

Origin of scarlet gynogenetic triploid Carassius fish: Implications for conservation of the sexual–gynogenetic complex
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0276390

まずフナに天然で3倍体とか4倍体(染色体の数が通常より多いということ。通常は両親から1セットずつ遺伝して2倍体)がいることを知らなかった。3倍体は通常、交配不可なのだが、フナの場合はその状態でクローンを作って繁殖出来るらしい。で、極稀に雌雄で交雑できる2倍体が存在したり、3倍体や4倍体なのに相手の遺伝子を取り込んでオスメスでペアの交配出来てしまうこともある、という。

この稀な減少が過去に起きて、金魚の鮮やかな体色を作る遺伝子がフナに取り込まれた結果、金魚みたいな色をした「ヒブナ」が誕生。
以降、クローンで増殖して一つの種として確立。

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決定打となったのは、ヒブナのいくつかの系統で金魚しか持ってないミトコンドリア配列を取り込んでいることがわかったからで、これは交雑しない限り混じらない。また、ミトコンドリアDNAに金魚の配列が混ざっていないものは、ミトコンドリアは母系でしか遺伝しないことから、オス側が金魚だったということになる。
つまりは金魚の遺伝子を取り込む交雑は何度か起きていたことになる。
面白いけど、まさに「自然を使った野外進化実験」だなぁ…。いや、たぶん研究者の人、これ見つけたときはアハ体験してると思うんよね。プレスリリースにある「それはそれとして金魚は放流するなよ! いいか絶対だぞ!」みたいな注意って、自制の意味を込めて、なのかと…w

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生物の多様性について、気候変動で絶滅のスピードが上がっている! というような危機敵な状況ばかり叫ばれることが多い。
しかしながら、この例のように、環境の変化は新たな種を誕生させるスピードも上げる

今回はたまたま人間の手が入っているが、たとえば湖が地震で決壊して隣の湖と繋がったとか、乾燥地域に雨がふるようになり新たな川が誕生してそこに固有種が生まれるとか、渡り鳥の飛行ルートが変わって出会うはずなかった近縁種と交雑したりとか、そういうのは幾らでもあり得る。

そして純血種というのも、いつ時点での純血なのか、そもそも意味のある概念なのか、という問題が生まれる。
このヒブナは金魚とフナから100年前に生まれた種族だが、500年後には「純血のヒブナ」なる概念が生まれているかもしれない。

そもそも人間の手で作り出してしまった生物なのに天然記念物として保護しているのも若干の矛盾は含まれる。動物園から逃げ出したサルと交雑したニホンザルは隔離されるのに…とか。


種の絶滅と誕生、人間の保護概念は、どこかで矛盾なく折り合いをつけることが出来るものだろうか。